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ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

28.講師のスキルとマインド

2016-06-27 19:15:01 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 最近、キャリアコンサルタントとしての仕事の依頼が増えた。特にセミナー・研修講師の仕事だ。セミナー講師というと、あちこちを講演して回るようなイメージもあるかもしれないが、自分は地道な仕事が多い。なるべく地元の仕事を優先しているので、講師料単価も、中には有り難い金額のものもあるが、概ね地味な金額だ。

 それでも、仕事が増えてきたことはありがたいし、やりがいを感じている。何がやりがいかというと、続けてやれることだ。例えば、職業訓練生対象のキャリア支援講義やキャリアコンサルタント養成講座などは、同じ受講生と数か月間密接なかかわりを持つ。よって、その間に受講生が成長してゆく過程が見られることがある。単発一回限りのセミナーは、スキルやノウハウ等の表面的な話や情報提供に終始しがちだが、数か月間何回も一日がかりの講座を担当するとなると、準備もしっかりしないといけないし、受講生が飽きないような工夫もする。講師としてのスキルも磨かれる。

 また、「楽しく、厳しく、ためになる」をモットーにしてやっているが、なるべく一人一人の状態や感情、個性や価値観に対する配慮を大切にしている。そして、自分の体験談や価値観も含め、本音の話をする。決して、押しつけや独りよがりにならないように気をつけながらも、表面的でない少し深い話もする。

 もちろん、皆に気に入られようとか、わかってもらおうとか、そんな期待もゼロではないが、無理なことも十分わかっている。でも、こちらが本気で正直で相手のことを思うマインドでかかわらないと、相手も本気にはならないし、本当の姿は見せないし、お互いの成長にもつながらない。パートナーともよく話すことだが、講座終了後に受講生から、おもしろかったとか、楽しかったといってもらえると、やはり嬉しい。そして、終了後も対等な付き合いが続くとなお嬉しい。
 
 
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26.人生いろいろ、キャリアもいろいろ。

2016-06-23 11:01:39 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 「キャリア」という語感からくるイメージは、人それぞれだろう。教科書的な定義は「人が生涯を通じて関わる一連の労働や余暇を含むライフスタイル」とあるが、簡単に言うと「人の進路、職業、生き方」という意味だ。官庁や大企業などのエリートコースや、転職を重ねて出世することだけが「キャリア」ではない。人の生き方という意味と考えると、地方の中小企業の一社員、自営業者、職人、スポーツ界、学生、主婦、定年後の高齢者や障害を持つ人なども含め、いろいろな人生そのものが広い意味のキャリアである。

 「キャリア」の語源は、「轍」(わだち=馬車が通った後に残る車輪の後)を意味している。よって、「キャリア」のイメージは、人それぞれが積み重ねてきたすべての経験と、今の自分、そこから描く将来像のようなものと考えてもよい。

 写真にこじつけて高速道路に例えると、一本道をすいすい行くこともあれば、渋滞もあるし視界不良の時もある。制限速度を守って行くこともあれば、スピード出し過ぎて覆面パトカーに捕まることもあるかもしれない。景色の良い場所もあれば長いトンネルもある。SAや休憩所もある。ただ、どこかで下りないと目的地には着かない。

 高速道路(キャリア)は逆走できないから、出口やインターチェンジ(転機)では進路を間違えないように気をつける。でも、そんなに緊張しなくてもよいかもしれない。もし間違えても、一度下りて方向転換してまた乗ればよいし、一般道の方が早く目的地に着くこともある。あまり肩肘張らずに、安全(健康)運転する(生きる)方が長距離は楽かもしれない。

 高速道路は舗装された路面や頑丈な橋脚、吊り橋に支えられている。常に整備、点検、清掃、補修等の管理をする人々に守られている。自分らしい人生も、人の支えや助けがあってこそ近づいて行けると思う。

 

 
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25.職業倫理はお題目?

2016-06-21 20:50:54 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 昔、「・・・リンリ、リンリと夜も眠れず」という川柳か何かを習った記憶がある。

 前回のブログの最後に、人の話を「聴く」時に大切なことは、「他者を尊重するマインド」と書いた。その「マインド」を形にしたものが「倫理」だと思う。どのような業界でも、何らかのルールや規則、慣例があるが、「職業倫理」が確立されている仕事は案外少ないように思う。「お題目」としての倫理綱領のような形はあっても、本音では「現場でそんなきれいごとは言っていられない」とか、「倫理で飯が食えるか」などと考えている者も少なくないと感じる。多少ルールに反しても、ばれないように要領よくやればよいという思いもあるかもしれない。何度も起きる企業や公務員の不祥事や謝罪会見を見ていると、そう思う。

 サラリーマンだった頃、ある取引先の社長に「倫理は自分の身を守るため」と教えられたことがある。当時勤めていた会社は、営業至上主義で、現場では「数字を作り上げる」ことがほぼ絶対的な使命だった。そのため、少なからぬ社員が無理をしたり時にルール違反をして、結局、会社として監督官庁や社会から制裁を受けることになった。しかし、「数字を作らせた」成果は自らの手柄としながら、批判や制裁を受けることになると「ルールを破れとは言ってない」と責任を下に転嫁した“上司”もいた。一方、実力や正攻法で結果を出していた者もいたし、責任を取らされた上司もいた。

 今でも、その社長の言葉を時々思い出す。そして、今は個人事業主であり会社というバックがない分、倫理観を身に沁みこませるよう心がけている。体に必要な水分のようなイメージだ。

 現場ではいろいろな問題が起き、判断に迷うこともある。でも、迷った時こそ倫理観と言う水分を補給する。それは、自分を守るためだけでなく、他者を尊重するマインドを潤すからだ。

 

 
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24.「聞く」と「聴く」の違い

2016-06-21 00:09:07 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 講座が始まった。仕事や職業を軸にして人の成長や生涯に関する、対人援助職を目指す講座である。試験対策の講座ではないが、講座で基礎理論や面談技法をしっかり習得すれば、自ずから関連する国家資格取得の可能性も高まる。

 講座内容の大きな柱として、人の話の聴き方(傾聴)を習得することがテーマになっている。そこで、「聞く」と「聴く」の違いをイメージしてもらうため、カリキュラムを少し変えてみた。講座初日に、受講者の自己紹介をすることになっているのだが、「他己紹介」に変えてみた。ペアで相手の自己紹介を聞いて、相手のことを簡潔に他の受講者に紹介する方法である。やり方を説明して、「さあ始めてください」と言うと、案の定、皆がペンとメモを持って「聞き取り」を始めた。そこで、ペンとメモは使わないよう指示すると皆が戸惑ったが、そのかわり相手の話を集中して聞いていた。一人3分程である。その後、他己紹介をしてみたら、皆、相手のことを大きな過不足なく紹介できた。

 対人援助の仕事にも様々なやり方があるが、「こちらの聞きたいことを聞く」ことと「相手の話したいことを聴く」の違いを身につけておくことが大切だと実感している。「聴く」は耳と目と心で「聴く」。相手の話す事柄ばかりをメモしても、それは「聴いてるつもり」に過ぎないのかもしれない。

 「傾聴」は、対人援助の現場だけでなく、営業や士業の相談業務においても活用できるスキルだ。口がうまい、プレゼンがうまい、アドバイスがうまい、それぞれ必要なことかもしれないが、「聴き上手」が相手の信頼を得やすいという現実もある。頭ではわかっていても、身についてないとできないもの。

 14日間の講座の中で何度もトレーニングする。大切なことは、スキル(技法)よりも相手を尊重するというマインドである。
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22.ちょっと誇らしい?仕事に向かう人

2016-06-17 23:44:50 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 ある日の昼、小さな警備会社の古びたビルの前を通ると、青地に白線の入った警備服を着た7,8人の若者らが、日に焼けた顔の警備員を囲み何やら話をしていた。赤い交通誘導灯の使い方などを指示されている様子だった。一人の若い警備員が、年輩の警備員に腰からはみ出していたシャツを直され、ポンと尻をたたかれると皆の笑いが起きていた。

 少し離れた大通り交差点の手前に停めた車の前では、黒のスーツにイヤホンをつけた7,8人の大人が集まって、地図のようなものを見ながら何か確認していたかと思うと、2,3人づつに分かれて散っていった。

 大通りに出ると、反対側からTVカメラがこちらを向いて並んでいた。「報道」の腕章をつけたスタッフらが行き交う様子から、誰かVIPが来るのだろうとわかった。この時期、国政トップの遊説かと思いつつ少し待ってみたが、始まらないので仕事に向かった。

 警備員の仕事は、普段は工事現場や大型イベント会場などで行われることも多いのだろうが、身勝手なクレームを言われたり、邪魔者扱いされることも少なくないらしい。黒スーツの大人たちは、要人警護の県警SPや若手刑事だろう。普段は地道な捜査活動をしているのだろうが、仕事柄身の危険を感じることもあると思う。

 両者ともに、ミスや万一の事態は許されないという緊張感はあったと思うが、VIP到着(本番)前の気合と言うか、高揚感のようなものも感じられた。聴衆や交通の混乱を予防し、VIPの安全と円滑な遊説を担保する役割。多くの人が見ている前でやる仕事ながら、問題なくやって当然の裏方仕事。それでも、短い時間ながら手ごたえのある仕事を任された、信頼されたという気持ちが、彼らの表情を生き生きと、どこか誇らしげにさせていたのかもしれない。

 仕事帰りに同じ場所を通ると、いつもの夕暮れの雑踏があった。
 
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21.感じのよい面接官

2016-06-15 21:02:25 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 大企業の新卒採用がほぼ終了しているこの時期に、市民会館2階ロビーに面した一番小さな貸会議室で“新卒”採用面接が行われていた。

 部屋のドアが開いて、ポロシャツにジャケット、ジーンズにリュックの若い男性と、30代半ばくらいの長身男性が談笑しながら出てきた。長身男性は、丈の短いグレーのスーツ、白のシャツにノーネクタイ、スリムパンツ、あご髭にパーマ。「じゃあ、今日はこれで!」と挨拶すると、若い男性が階段を下りて行くまで頭を下げて見送っていた。階段まで20メートルくらいだが、よくガソリンスタンドなどで見かける光景である。おそらくアパレル関係の採用面接だろう。長身男性は、裸足にブラウンのローファーだった。


 開いたドアから室内が見えたが、机椅子の配置から1対1面接と分かった。長身男性が部屋に戻りしばらくすると、今度はカジュアルな服装の若い女性が少し緊張した面持ちで階段を上がってきた。部屋を探していると、男性が部屋から出てきて声をかけた。「〇〇さんですね、お待ちしてました、こちらへどうぞ!」と部屋へと笑顔で招き入れた。座った女性の背中が見えたのに、男性は椅子の横に立ち何か話しかけている。「後ろのドア閉めても大丈夫ですか?」「あっ、はい。」そんなやり取りがあってから男性はドアを閉めた。しばらくすると、室内から何か談笑する声、笑い声が漏れてきた。


 若い男性も女性も、採用になるのかどうかはわからないが、応募先に対する印象は良くなったことだろう。不採用としても、お客様にはなってくれるかもしれない。採用する側も、応募者がたとえ未熟で自社と合わないイメージだったとしても、人として尊重し、良さを引き出すようなコミュニケーションを取る姿勢が大切だと思う。面接官も(応募者に)見られているという意識が大事と感じた現場だった。
 
 
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20.「社会人基礎力」がアンバランスな人

2016-06-13 19:36:22 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 ベテラン講師がぼやいた。ある事業で協働した、60代の女性キャリアコンサルタントである。キャリア関連の事業の企画委員になっているが、(私に)研修講師を依頼できないかという。ありがたい話ではあるが、他県で行われる事業であり詳細も未定だったので「改めてお話を伺ってから、お役に立てることがあればお願いします。」と答え、「地元に講師のできる方はいらっしゃらないのでしょうか?」と聞いてみた。

 彼女は少し苦笑しながら言った。「候補は何人かいるんだけど、その中の二人が、言いたいことばかり言って会議をまぜくりかえして困っているのよ。決めたことも後からひっくり返すし、他のメンバーとも対立するから、一緒にやっていくのは難しいのよ・・・。」

 私も現在、個人事業主であるが一人でやってきた仕事はあまりない。特に、公共関連のキャリア支援事業などは、受託企業から依頼を受けて協働して進める。講義や個別面談は一人でするが、全体を見れば、複数の講師やパートナー、受託先の関係スタッフらと役割分担して連携している。チームワークが大事なのである。

 経済産業省が定義づけた「社会人基礎力」の3つの能力のひとつに「チームで働く力」(多様な人々とともに、目標に向けて協力する力)という柱がある。厳しい言い方だが、その二人は「社会人基礎力」の大切さを教える立場でありながら「社会人基礎力」が足りないのではないか。当然、誰しも強み弱みはあるが、それらを自分で認識してバランスを取る努力は必要だと思う。

 もう少し具体的に言うと、「社会人基礎力」能力要素の中の、「傾聴力」や「状況把握力」等を高める努力が必要なのかもしれない。頭(考える力)が良くて、行動力や自己主張(踏み出す力)が強いが、チームワークの意識の足りない人。どこの業界にもいるのかもしれないが・・・。
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18.楽しそうに働く大人

2016-06-11 20:30:34 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 今年から、高校生(1、2年生)にキャリア関連の講義をする仕事が時々入ってくる。普段は、中高年を対象に講師をすることが多いのだが、仕事の感覚をリフレッシュする意味でなるべく受けている。

 生徒から見ると私たち講師は、親兄姉や先生以外で直接接する数少ない社会人(大人)である。だからと言って、「教えてやる」という上から目線ではなく、なるべく一人の若者として尊重し、目線を合わせて、雰囲気を感じながら臨機応変に進めて行く。進行表や居眠りさせないための仕掛け(グループワークなど)もあるのだが、一番大切なのは講師自身が楽しそうに仕事(講義)をする姿勢を見せることだと思う。

 ムードメーカの生徒が大声で挨拶すれば、こちらも負けないくらいの大きな声で挨拶する。誰かが冗談を言って笑いが起きれば一緒に笑う。いじられ役の生徒が発言して突っ込みが入るとフォローする。大事なことは伝えながらも、教壇の上に立つだけでなく教室内を回りながら質問する、当てる。そうすると、開始早々から居眠り態勢に入っていた生徒も、面白そうだから話し聞いてみるかと顔を上げる。最初は様子を観察していた先生も、一緒になって教室を回り始める。

 高校生に、進学や就職も含めた自らのキャリアや将来のことを考えるきっかけとする主旨なのに、大人がつまらなさそうに話をしたり、上から目線で教えようとしても、考えてみようという気持ちにはならないだろう。担当する高校は、いわゆる進学校ではないので、進学組と就職組に分かれる。3年生になって多くの生徒が進路選択を迫られるのだ。

 終了後アンケートに、「楽しかった」「おもしろかった」「将来について考えてみようという気持ちになった」など、ちょっと前向きな気持ちになってもらえたならそれで十分と思ってやっている。実際、やっているうちに楽しくなってくる。
 
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16.仕事の流儀

2016-06-09 00:18:43 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 個人事業は、依頼がなければ仕事はない。あたり前のことだが、長年サラリーマンだった自分にとって、退職して個人事業を始めた頃、それは大きな課題であった。どうすればいいのか、やっていけるのか?起業セミナーや異業種交流会、経営相談会などにも参加して、人の話を聞いたり、勉強したり、情報集めをしたり、手探りだった。

 そんな中で、しっくり来た話がある。「こうすれば成功できる!」といった類の話ではない。「事業は細く長く続けることの方が難しい。仕事を通じて社会に貢献し続けるためには、地道に長く続ける方策を考えて実行するべき」という主旨だった。家族や支援者のバックアップも期待できず、資金力もなく、地方都市でそれまでの会社の看板もなくやって行くには、地道に経験と信用を積み重ねて行くのが合っていると、腹落ちした覚えがある。

 今の仕事は、講師業と相談業務のウェイトが高いが、それらの仕事の大半を一つの事業者から受託することにしている。そこからは、最初は単発の仕事を細々ともらっていたが、様々な縁や機会があって徐々に依頼が増えて、新しい仕事や比較的高い報酬の仕事も任せてもらえるようになった。個人事業者の中には、割りのいい仕事を選んであちこち渡り歩く者もいる。勿論、それも仕事のやり方ではあるが、自分は原則一社から軸足をはずさず、相手から当てにしてもらってきた。中には同業者があまりやりたがらない仕事や、難しい割りに報酬の低い仕事もあった。しかし、どんな仕事にも正面から向き合い、周囲の人とも協力し、試行錯誤しながら取り組み続けてきたことは、自分の実績や信用にもつながったと思う。

 3年やってだめなら就職活動をしようと引き際を決めて始めた個人事業。今年8年目となった。仕事を通じて関わった人達との人脈も広がってきた。今は、地域に根ざした次の事業展開を考えている。
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15.言うは易し、聴くは難し

2016-06-08 00:04:49 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 仕事柄、いろいろな人の話を個別に聞くことがある。きれいな言い方をすれば、ライフプランやキャリア相談ということになるが、実態は、その人の抱える問題や悩み事、困りごとの相談が多い。一応、暮らしやお金に関すること、職業や就職に関する相談を受けることになっているが、内容や問題の背景は多様で複雑である。中でも行政の無料相談は、概要が予約を受ける際に聞き取りされている。しかし、実際に話を聞くと、さまざまな展開を見せる。順序だてて話をする人もいれば、脈絡のない話をする人、感情的になる人など、いろいろなケースがある。

 相談員として心がけていることがある。それは、まず話を「聴く」こと。「傾聴」の姿勢である。具体的なアドバイスもするが、「こうした方がいいですよ。」と言ってみたところで、それを相手が納得したり実践したりできなければ意味がないと思うからである。そもそも、一度や二度の相談で解決できるほど簡単な相談は少ない。聴くたびに「人生いろいろ」を実感する。

 相談担当を始めた頃は、限られた時間で的確なアドバイスをしなければと身構えたりもしたが、振り返ってみると多くの場合が、ただ話を聴いただけである。話を聴いているうちに時間が来て、「今日は来てみてよかったです(嬉)」「話しを聴いていただいてありがとうございました(涙)」と帰っていく人もいる。先日も、中年男性が「いやあ、思い切って話をしてみて、頭の中が整理できました。」と言ってくれた。

 話を聴いてもらいたい人、自分の悩みを認めほしい人はたくさんいる。「問題を解決する力は相手の中にある。」と信じて、話を聴こうと心がけているのだが、これが難しい。自分自身の状態や感情にも揺れが生じることがあるからだ。でも、難しく感じられるということは成長の過程と考えて、相談の度に虚心坦懐に話を聴くことを心がけている。
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