のぶのぶの音楽雑記

演奏会のお知らせだけでなく、色々なことを書いていこうと思います。

ResonanCeのR/B meets M/Cとは

2024-03-27 22:51:43 | 日記



横文字ばかりですねぇ(笑)

そもそもResonanCe(レゾナンス)というのは私(大内)が渡邊に声をかけてできたグループです。古い音楽と近現代の音楽だけでコンサートをしたい、というところから始まりました。R(ルネサンス)B(バロック)とM(モダン)C(コンテンポラリー)のmeets(出逢い)です。有名なショパンやベートーヴェンなんかが演奏されません。ある意味マニアックなコンサートですね。
後に紅一点ソプラノの東城が加わり今のグループになりました。東城は両方を(古いのも新しいのも)担当するので大変そう(他人事)。

言ってしまえば大学時代の私の思いつきから始まったようなもんです。第1回は2018年でした。3人の地元、福島で9月、10月にコンサート。思いついたことをとにかく詰め込んだ会でした(笑)12月には東京で。


2019年には地元の郡山でStoriesという、演劇と音楽を組み合わせたコンサートを。たくさんのお客さんの前で演技と演奏をするとは…レゾでなければ私はやらなかったことでしょう(笑)

2020年にはコロナ流行直前。R/B meets M/C第2弾を。



その後はYouTubeでの配信コンサートなんかをやってましたが、2020年の8月に初めてのオリジナル曲「ラベンダーとひまわり」を発表。


2021年には初めて小学校で演奏。私と東城の母校という思い出深い会になりました。

2022年には久しぶりのコンサート。クレッシェンドライブってのをやりました。


2023年にはオリジナル曲「ラベンダーとひまわり」のストーリーを朗読とピアノで。


そして2024年の4月21日には久しぶりにR/B meets M/Cを。非常にマニアックなコンサートです。私は主軸としているブクステフーデやらパッヘルベルなんかを演奏します。東城とは初めてのバッハを!バッハのカンタータを演奏します。
たくや君はハチャトゥリアンとベルクの歌曲を。濃い会になりそうですね。

元々3人は違う方向を向いていた人間です。終着点は同じ場合がありますが、そこに行き着くまでの道程がバラバラ。でもかなり仲良し。コロナ禍以降、それぞれがそれぞれに忙しくなり、音楽への向き合い方と言いますか、音楽との関わり方のようなものに各々の中で変化があったように思います。それはきっと個人個人では特に変わったことはない気がしているのかもしれませんが、心境の変化というものはそういうもんですよね。こんなことを言ったら2人は不快に思うかもしれませんが(笑)私も2人から見たら変わったのかもしれませんし。それはそれぞれの生活というものがありますので、当然のことと思います。
しかしそれぞれのコンサートには遊びに行ってますので、会う度に「次いつやる〜?」みたいな話はずっとしているんですよね。

合わせの日、3人で昔のコンサートの映像を見ました。なんというか...今は失われた「何か」が見た目とは別に「響き」として確実にそこに在りました。演奏に関する幼さのようなものはもちろんあるのですが、若さのような勢いみたいなものが先行しており、何より音楽がイキイキとしていました。
何と言いますか、悪い意味で3人でコンサートをする「慣れ」が出てきていたのかもしれません。コンサートの回数が少ない分、1回1回を大事にしているつもりではあります。しかし、目に見えないところで悪い意味の仲良しが出てきてしまっていたのかもしれないと思いました。

まずは4月21日、お客様もですが、我々も楽しめる会になることを願って準備しております。ぜひ聴きにいらしてください。

昔あったものを取り戻すことは不可能かもしれません。ですが、初期よりも個々の力は上がっているはず(そうでなければならないのですが...)ですので、より良いコンサートは出来ると思うのです。それは演者である我々の気持ち次第なのかなぁという気がしました。個々の活動が増えたために、1つの会を3人で創るという部分に足並みが揃っていなかったのかもしれません。相変わらずの仲良しを良い方へ繋げていけるといいなと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

榎本智史さんの私的演奏協会:シェーンベルク《3つのピアノ曲》

2024-03-24 02:29:52 | 日記

友人であり、シェーンベルクの研究・演奏を中心に活躍されている榎本智史さんの「私的演奏協会:シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11」に行ってきました。部分的に抜き出し解説を受け、一通り聴かせていただくという贅沢な時間です。
以前、2023年の9月9日にはシェーンベルクの「ピアノのための組曲Op.25」を同じ手法で演奏されました。

シェーンベルクと言えばやはり十二音技法というイメージでしょうか。私はResonanCeでおじょーがシェーンベルクの歌曲Op.2への並々ならぬ想いを受け、しばらくは十二音技法前のシェーンベルクにハマったものです。後期ロマン派の流れを汲むというのはよく言われていることですね。

「十二音技法」ということこそ知れど、曲は難解というイメージがどうしても先行してしまいます。ところが榎本さんの解説を聞きながら演奏を聴くと、ポイントを掴めるのか、立体的に聴こえるのです。以前、榎本さんとの合わせの時、シェーンベルクのジーグはジーグなのか?という質問に対し、丁寧に説明しながら演奏してくださったのですが、最初に演奏した時と解説後とでは全く違って聴こえるのです。しっかりとジーグの輪郭が浮かび上がります。これは解説による効果と、しっかりとそれに乗せた演奏だからこそなのだと思います。

なんとも掴みどころがなく思えた音楽が「あ、なるほど」となる瞬間は面白いものです。この試奏会シリーズでは時折思想面のお話も出てきます。これが私の日々考えるバロック・古典に重なる部分が多々あるのです。恐らくどこかに不動の礎となるものがあるのだろうと考えることがあります。聖書、そこから派生する神秘思想のようなものがもっと掴めれば十二音がもう少し自分にとって近いものになるような感覚があります。そういった意味でも榎本さんのお話、演奏はとても面白く同時にとても興味深いものです。

シェーンベルクの弟子であるウェーベルンはとある手紙の中で(ライヒに送ったものだったか?)「プラトンを読んだが、ノモス(法則)はまた旋律のことでもあった」というような文がありました。これは彼の作品に影響があるようで、非常に興味深い部分です。
シェーンベルクのもとで勉強したウェーベルンは、その期間の一区切りとしてOp.1のパッサカリアを書きました。私が注目するのは「パッサカリア」という古い形式・形態で、ニ短調というこれも古いと捉えられる調性が曲全体の世界を決定づけています。
ウェーベルンはゲーテの形態学を引用しており、変奏について話しています。これはゲーテの根本的同一性という部分を使っているのですが、パッサカリアにはまさにこの部分が見て取れます。同じテーマ(種)の中から変奏(茎から枝葉)が生まれるという、それがウェーベルンにとっての「ノモス」だったのではないかと考えています。
また別の手紙には「音列自体がすでに1つの法則を表します」という文がありました。これは十二音の音列のことでしょうが、ウェーベルンにとってその「ノモス」は大事なものだったに違いありません。それがシェーンベルクのもとで勉強した後の曲に決定的に現れているというのはシェーンベルクからの影響があるのか…?

脱線しましたが、榎本さんのこの会ではそういったことをふと考えさせられます。演奏にも説得力があるからこそ、そのような気持ちになるのでしょう。気付きの多い楽しい会です。榎本さんの私的演奏協会を聞いていくうちに様々な疑問が今後明らかになっていきそうです。
ここでは質問もOKですが、咀嚼するだけで精一杯です。ワクワクしながら通ってます(笑)
次回はベルクを取り上げるとのことで、今から非常に楽しみです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベートーヴェンのピアノソナタ第32番

2023-11-11 17:07:00 | 日記
先日実家に帰省した時、2年前初めてソロリサイタルをした時の音源が出てきました(笑)実は一度も聴いたことなかったんですよね。福島県の二本松でのコンサートでした。ここは子供の頃から発表会でずっと出ているホールで思い入れがありましたので、初めてのコンサートはここ、と決めていました。

テーマは「バッハへの道 そして バッハからの道」でした。前半はバッハへ影響を与えた作曲家、後半はバッハの影響を受けた作曲家でまとめました。
その時のプログラムは

ヴィヴァルディ=大内編曲:2本のヴァイオリンのための協奏曲
バッハ=ストラダル編曲:オルガンソナタ
パッヘルベル:シャコンヌ ヘ短調
ブクステフーデ:シャコンヌ ホ短調

モーツァルト:幻想曲 ニ短調
シューベルト:即興曲 D899-3
ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番

という、まぁまぁ重めなプログラムでした。
前半については今も弾いてる曲がいますね。

まぁ、今まで聴かなかったというのは聴かなかったなりの理由があるわけですよね(笑)
ヴィヴァルディなんかは今と全然違う弾き方で、まるで私ではないような演奏です。(レゾのメンバーに聴かせたい笑)
何度も弾いているパッヘルベルのシャコンヌすら緊張している😂

初めて約1時間半独りで弾くんですから、そりゃ緊張もしますよ(笑)加えてコンクールも出たことない、仲間と何かやることもほとんどないときた。ずっと緊張してた気がするんですよねぇ(笑)

さて、取り上げた曲は全て大切にしてきたし、もちろん何よりも「好き」な曲たちです。中でもパッヘルベルやブクステフーデは自分の軸となる作曲家です。一般的にはマイナーな作曲家かもしれませんが、だからこそ地元では弾きたかったりするもんです。

中でも思い入れ具合が一番強いのはベートーヴェンでした。ベートーヴェンの32番は…衝撃的な出会い!とか何かがあったわけでもないのに思い入れが強いという謎(笑)大学の卒業試験でも弾きました。初めて聴いたのは小学生の頃でしたでしょうか。ミケランジェリのBBC音源でした。その頃の私は「どうやら悲愴、月光、熱情以外にも最後の3つも3大ソナタと呼ばれるらしい。そしてそれらはとても難しいらしい。」くらいのことしか知りませんでした(笑)ただ、この録音で一聴惚れしてしまったんですよね。

ようやく弾くことが出来たのは大学4年でした。その時は色々な資料を読んだり沢山の演奏を聴きましたねぇ。大学の図書館にあったCDは全部借りました。今でもウォークマンに68種類の32番が入ってます。良い演奏はいっぱいありましたが、あー!これ!ってものには出会えませんでした。そんな中、学校外で受講していた講義の先生にお借りした音源と、先生の書かれた32番についての論文を読みました。当時は今よりもおバカだったので、何が書いてあったかちんぷんかんぷんでしたね(笑)ただ、音源は素晴らしかった…というより衝撃的だった。(音楽のスタイルは)これ!って思った。極めて私的な録音なのでお名前などは出せないのですが。

話を戻しまして…コンサートで32番を弾くにあたり、その先生のレッスンを受けたりもしましてね。それもあってか2楽章の最後の5ページは悪くないんですよ。ただ、最後の長いトリルから自我が芽生えちまいましてね。そこからは失速してるし酷いんです(笑)
何はともあれ2年空いてようやく聴いた音源でした。

さて、その録音を聴いて、この32番にもう一度改めて取り組もうと思いました。先日、件の先生に頭を下げてきました。生きてるうちにこの曲をまともに弾きたい、という想いのみですね。しかも私が唯一「これだ!」と思わせてくれた演奏を創られた方がいるのだから、レッスンを受けられるのなら受けておかねば、と。

本日初レッスンでした。聴講される方もいらっしゃいますが、先生の言われることを噛み砕くので手一杯。そして改めて目からウロコ。先生にも「時間のかかることだから」と言われておりますし、腰を据えて頑張りましょう。

ではまた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

類は友を呼ぶ??

2023-11-06 00:52:42 | 日記


生徒さんがフィッツウィリアム・ヴァージナル・ブックを購入されました !(※写真は私の楽譜です)
フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブックをご存知ですか?イギリスのルネサンス終わりからバロック初期の鍵盤楽器のための曲を集めた楽譜です。総数298曲 !そりゃこんな分厚さにもなりますね🤣エリザベス一世に好かれた作曲家なんかも多いですね。チェンバロやオルガン、クラヴィコードでも演奏可能です(3段の楽譜はありません)。

珍しいところで言えばフィリップスが編曲したカッチーニのアマリリ、ファーナビーが編曲したダウランドの涙のパヴァーヌetc..とにかく宝庫なのです。
バード、ブル、ファーナビー、ギボンズ(バードとギボンズはグールドの素晴らしい録音がありますね)を中心に、スウェーリンクやフィリップス、ピッキなどが収められており、作曲者不詳の曲も多くあります。

生徒さんは雑談の多い私のレッスンからこの楽譜のことを知り、思いのほか安かったらしくすぐ購入されましたの届くまでには時間がかかりましたが、図鑑を観ているような感じだと話されてました(笑)いやぁ..沼にハマりつつありますね(*´艸`)
この中から小さな曲を1つやることになりました。4段ほどの小品ですが、テクニック的にも難しい曲です。しかも、現代の和声学のようなものが通じない部分が多々あります。そのようなことを紐解きながら一緒に勉強していきましょう。しかもモダンピアノで演奏するのですからとても楽しみです!

ではまた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

演奏会当日の珍道中

2023-10-17 18:43:37 | 日記

珍「道中」と言うか初っ端からですね。
演奏会当日の朝イチの便で羽田から北九州空港まで飛びました。7:40発です。私の家からだと1時間40分ほどかかってしまうんです。なので前日、羽田に近い叔父の家に泊めてもらいました。30分ほどで着きます。

予想外のハプニングその1
前の晩から雨が降り始めました。お借りした部屋の雨戸にちょうど雨粒が当たるようで、それがかなりのボリュームなんです(笑)イヤホンをしても響く雨音。実はコンサートでは雨だれを弾いたのですが、「いや、絶対あんな美しい音楽じゃないだろ!!!」と思いましたね。ご存知の方は私の雨だれのスタイルが重なると思いますが…より自信を持って弾けます(笑)
結局私が眠りについたのは2:30ごろでした。眠れて3時間といったところか(笑)

ハプニングその2
無事起きた私。外はザーザーの雨。最寄り駅まで徒歩9分。余裕を持って15分前に出発。叔父は寝ていたようなのでこっそり家出。Googleマップを頼りにーと言ってもまっすぐの一本道ー歩みを進める。が、到着予定の時間が延びている…はて?
なんと、Googleマップの向いている方向と進むべき道が正反対。なんで大事な時にお前はそうなんだ!!スマホを逆さまに持ちながら全力ダッシュ。数日前に椎間板ヘルニアになったばかりというのに…ダッシュ!ギリギリ間に合いました。

ハプニングその3
蒲田駅から京成蒲田駅まで歩かねばならない。ここまで読んだ皆さんは大方予想がついているでしょう。その通り。何やら開店準備をされているお姉さんに駅の場所をお聞きしーとても丁寧に雨の中傘もささず道へ出て教えてくださいました、本当にありがとうございました!ーその日の体力を絞り出すようなダッシュ。まだ起きぬ住宅街をスーツケース引きずり回し本日2度目のダッシュ。果たして俺の腰は大丈夫なのか?いや、それより福岡へたどり着かねば!という一心でダッシュ。
なんとか間に合いました。

ハプニング4
起きて1時間少しとは思えない体力の消耗を感じつつ羽田第1ターミナルへ。前日の晩、叔父には「国内線は新幹線に乗るようなもんだから」と言われていた私。搭乗開始の20分前に到着するも、荷物検査を終え搭乗口へ…え、なにこんなに遠いの?歩けども歩けども着かぬ搭乗口。結果ギリギリの搭乗。羽田の広さを甘く見ていた。

もうね、起きて飛行機に乗るまでの1時間半で一日の体力を絞り出したような気がします。朝5:30に起き、そこそこ強い雨の中ヘルニアダッシュを2本キメ、ようやく飛び乗った飛行機。北九州空港に着いた頃にはヘロヘロです。その時のInstagramに載せたストーリーズが全てを物語ってます。あまりの疲れで語彙力を失ったのです。

わー海きれー!くらいなもんです。
果たして演奏会は…?それは次のブログにまとめますね。

ではまた。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

数小節のレッスン

2023-10-11 20:03:20 | 日記
昨日はチェンバロのレッスンでした。
レッスン曲はブクステフーデの小品。この曲に取り組み始めてもう2年以上になるでしょうか。本当に短い曲ながらも、ブクステフーデらしさと言いますか、彼の大きな作品へも繋がる作曲法がなされているように感じています。

さて、昨日は練習をしていて気になった数小節だけをレッスンしていただきました。先生に「ここだけで2時間終わっちゃうよ?いいの?」と聞かれましたが(笑)いいです!ここだけ細かくレッスンしてください、と。

レッスンってものは言われると見えてくるものが多々あるものですが、昨日は本当に多くのことが解決していく時間となりました。
いやまぁ…分かったとて弾けるかどうかは別問題なもんで(笑)昨日も今日もその復習です。

たった8小節。全体から見たら10分の1にも満たない量です。それでも日頃の練習で引っかかっていた部分。細部へ拘りすぎて全体が見えなくなるということは良くないですが、もしかしたら作曲家が何か仕掛けを施した部分かもしれません。そこを一緒に紐解いてくたさいました。

レッスンを受けるというのは、エサをもらう鯉のように口を開けてパクパクして教えを待っているのではなかなか進めません。私ももう学生ではありませんしね。弾けるようになる、のではなく、音楽創りをしていく、という感じでしょうか。要求されるレベルが上がるというのは次に進めたと思って、どこまで自分が食らいついていけるのか…

先生の根気もすごいです。一音でもその響きが出来ていなければ何度もやり直し。地道なことですが、それを何度も繰り返していかないといけないというのは痛いほど分かってます。それでも目の前の楽な方に人って飛びつきたいもんなんですよね(笑)

譜読みではなく、練習というのはひたすらどこまで自分を追い込めるか、だと思います。少しでも自分に甘い顔をしたらそこで音楽が止まってしまうように思います。

さてさて、そんなことを言っていたら、福岡でのコンサートは4日後です。とにかく体調を崩さないよう、しっかり食べてしっかり休む。急に寒くなってきましたね。どうぞ風邪など召されませんよう、お過ごしください。

ではまた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おじょーのデュオリサイタル

2023-09-10 16:53:37 | 日記

ResonanCeで一緒に活動している東城里奈(おじょー)のデュオリサイタル。1年以上前から準備の話は聞いていたのでとても楽しみにしていました。

とっても良いコンサートでした。
歳でしょうかね、彼女が出てきて入った時点で涙腺うるうる。だってこういう形で彼女を見るのは初めてだもの。

あ、本人に言ったらなんて言われるか分かんないけど(うそ、なんとなく予想はつく)、ヴォルフについて語り出した途端、早口でニヤニヤしてたところが個人的に演奏以外でのハイライト。すっごい早口で楽しそうなの(笑)本当にヴォルフ好きねぇ〜ダダ漏れてました。

後半はピアノソロを挟んで日本歌曲とシューマンのミルテから。
個人的に、「終わりに」がとにかく素晴らしかったです。その次に献呈を持ってきてコンサートを締めくくるあたり、プログラム作りながらニヤニヤしたのかなぁなんてね(笑)

献呈では再び涙腺うるうる。色んな話聞いてたこともあるけど、そうなるあたり、もうただの友達ではないなぁと思いながら聴いてました。そりゃレゾ組んで5年半くらいか?それだけ音楽語り合ったりしてたら色々な想いは積もりますよ。

最後に個人的な想いを詰め込んだようなアンコールで終わり。あっという間でした。
いやぁ〜、良いコンサートでした。こんな書き方すると身内で褒めただけみたいになるけど、そうではなくて、しっかり作り込まれた良いコンサートでした。今日行けなかった方はぜひ次の機会に。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブクステフーデの命日に寄せて

2023-05-11 20:44:54 | 日記
5月9日は私の研究対象であるブクステフーデ(通称:ブクたん)の命日(この記事は一応9日に書いてますが、公開はいつになることか...)。いつ生まれたのか分からない以上、この日以外は何も話題に出来ないのです。それ以外で言えば少数の作品の書かれた時期の記念年か...とにかくそのくらい知られていることが少ないのです。
それは残っている資料があまりに乏しいことも原因の1つです。思想的にもどんなものを持っていたのか...ヘンデル、マッテゾン、バッハは何を求めてブクステフーデの元へ行ったのか。去った理由は本当に娘との婚約だけだったのか。

ブクたんの作品で有名なのはやはり「我らのイエスの御身体」でしょうか。果たして「何」が傑作たらしめているのか。いや、たしかに聴き流しても良い曲です。修辞的にも工夫は見られます。この作品は自筆譜も残っています。作曲時期も40代前半とまだまだ意欲的であり実験的な頃かもしれません。しかし、この作品が何故書かれたのか...というのは詳しく載っていません。献呈された相手のみ。それ以上の詳細は分かりません。いや、正確にはもう少し分かったことはありますがそれはそのうちに。しかし謎はまだまだ。やはり自筆譜から見えてくるものというものは大きいです。謎の記号みたいなものがあったりetc...

オルガン曲で有名なパッサカリアについてはいくつか論文が発表されています。数秘術観点をさらに少し違った視点で分析しているものでした。また、ブクステフーデのパッサカリアはよくバッハのパッサカリアとの関連を指摘されますが、個人的には2曲のシャコンヌとの関連も注視すべきだろうと考えます。もっとも、このシャコンヌの方が個人的には謎が多いと思っているのですが...

実際、1曲のパッサカリアと2曲のシャコンヌはバッハのパッサカリアが収められているアンドレアス・バッハ・ブックに写譜されています。ここもまた問題となるが書かれ方がされているのですが、これは長くなるのでそのうちに。

私が「ゲマトリア」に興味を持ったきっかけはブクステフーデだったように思います。ResonanCeで演奏したBuxWV38「主よ、あなたさえいれば」をやった時、師事している先生が講義でこの曲を取り上げてくださり、その場のみんなで色々な視点で見てみました。すると、なぜここに3連符が?なぜここで十字架音型が?なぜオスティナート・バスがこの回数?などなど、次々と問題が出てきたのです。そして、それが納得する回答があったのでした。

ゲマトリアというのは根拠とするには不確かかもしれません。しかし、自分の演奏する上での解釈の根拠にはなり得ると思っています。数秘術的な観点ではよくバッハが取り上げられますが、バッハだけのことではもちろんありませんし、周知のことでした。もちろん、それらを取り入れるためにはその裏にあるものを理解しなくてはならないと思いますし、自分はまだまだそのスタートラインからようやく一歩進んだかどうかくらいかもしれません。ただ、そう言った視点からも見ていかないと、ただ「あのバッハが尊敬していた作曲家」止まりになってしまうと思います。



実際、本腰を入れて取り組み始めたところ、やはり彼の見方はだいぶ変わってきました。いや、現在進行形で変わりつつあります。同時に謎が次々と出てきています。今まで聴き流していた本当にちょっとした部分が引っかかり、そこから問題が発展したりしています。

ブクステフーデについて、定説と言いますか、一般的に言われていることは当たり障りなく、もっぱら「バッハに逃げられた」という話でしょう。しかし、バッハが無断で休みを延長し、4ヶ月後仕事に戻ったバッハの演奏があまりにも変わり教会に叱責されたという事実があり、いったいそれらがどんなことであったか、についてはほとんど触れられていません。彼について根本的な見直しは必要なであろうと考えています。

私は小学生のころ、家にあったバッハの漫画を何度も読んでいました。わずか3ページほど、ブクステフーデが登場します。それ以外のページでもバッハの頭の中がブクステフーデで一杯になっている描写がありました。ブクステフーデってどんな作曲家だろう?と幼いながらに疑問を持ちました。20年ほど経ったある日、一人暮らしを始め、ピアノの調律をしてもらっている時にふと思い出し、パソコンで検索。驚いたことにピアノでの録音はアール・ワイルドが演奏している組曲ニ短調以外一切ありませんでした。しかしその組曲が何とも良い曲だったのです。調律師さんとお昼を食べ、別れたその足でヤマハへ。チェンバロのためのブクステフーデ全集が売っていました(楽譜)。手持ちがなかったため、その日は買いませんでしたが、頭の片隅には常にいる存在となりました。

大学4年の頃、再び「ブクステフーデ ピアノ」で検索すると、トリスターノがまとまった録音を出していました。すぐに購入し、アリア ラ・カプリチョーザを早速聴きました。正直、全くピンと来なかったです(笑)なんぞこの長いだけのつまらん曲は...と思いましたね。カンツォネッタを気に入り、そちらを何度も聴いていました。

高速バスで実家から東京へ戻る間、アリア ラ・カプリチョーザをずっと聴いていました。約25分です。しかし、細部まで何度も聴くうち、「これは聴くのではなく弾いたら絶対に良い曲だ」と思い、一気に開眼しました。その足で数年前に見たブクステフーデ全集を買いに...。ブクステフーデで最初に取り組んだ曲はアリア ラ・カプリチョーザでした。チェンバロでも習い、ピアノで弾き込み、オルガンでの演奏会、クラヴィコードでの演奏会にもこの曲で経験しました。それを1つの形としてCDにも収録しました。

CD収録からまた時間が経ち、今はトッカータやプレリュードに取り組んでいます。これらはブクステフーデの鍵盤作品でもとりわけ重要なものです。先に書いた「我らのイエスの御身体」に繋がる響きを持っているように思います。ブクステフーデの研究は非常に困難ですが、今後も取り組んでいきますし、併せて演奏もしていこうと思っています。

ブクステフーデという作曲家を知ってもらうだけでなく、その重要性について知ってもらうべく今後も活動していきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古い録音を聴くようになったことについて2

2023-03-18 11:03:21 | 日記
前回の続きを。

さて、すっかりバックハウスの若い頃にハマってしまった私。彼の編曲したモーツァルトが聴きたくなってしまいました。バックハウスのPeal盤でした。その中には1908年の録音がありました。ピアノロールではないものです。収録時間の都合でカットされたグリーグのコンチェルトなんかも入っていましたね。写真も若い!(笑)

ソルフェージュの先生からはラフマニノフのCD10枚BOXを戴きました。
私「先生…これ開けてない(笑)」
先生「え?そうだったかしら…いい、あげるわ」
おばあちゃん先生でした。CDいっぱいあるのにCDプレーヤーが見当たらなかったな…大量のレコードとレコードプレーヤーはたしかにあった(笑)

そうしてラフマニノフのほとんどの録音を手にした私。最初に聴いたのはパガニーニの主題による狂詩曲でした。この頃ルービンシュタインのを聴いてハマっていたので(笑)それから有名な3番→2番→4番→1番。そして死の島。ラフマニノフの演奏は驚きの連続でした。自作自演はテンポと歌い方にびっくりしました。今日聴かれるラフマニノフとは全く違ったのです。
次にソロを。仔犬のワルツは衝撃的過ぎましたねぇ(笑)これは今聴いてもそうですが。ベートーヴェンの変奏曲も素晴らしかった。特に惹かれたのはシューベルトの即興曲90-4でした。単純なA-B-Aという構造ですが、二元論的な世界をもはや異次元レベルの表現力でもって奏でられました。特に中間部の表現の深さはまさに深淵とも言える世界でした。ベートーヴェン=ルビンシテイン編曲のトルコマーチは抱腹絶倒😂
彼の演奏するベートーヴェン、シューベルトは今でも私の中では特別なものです。
ラフマニノフのCDは本当によく聴いていましたね…解説も何度読んだか分かりません。

同時期によく聴いていたのはフリードマン、ゴドフスキー、グレインジャー、バウアー、チェルカスキー、ミケランジェリ(最後の2人は古くないけど)。

フリードマンはベートーヴェンの月光、そして甘美なメンデルスゾーンにどっぷり。あまりの軽やかさに、使用しているピアノを調べたりしましたね。
アタオカなショパンエチュード編曲で有名なゴドフスキーは意外にも真っ当な演奏(笑)しかし、ショパンのバラ1、グリーグのバラードには度肝を抜かれました。ボレットのグリーグも素晴らしいですが、ゴドフスキーの凄絶なグリーグは本当にこの世のものとは思えない音楽です。
ブゾーニの弟子として(また変態として)有名なグレインジャー。ブゾーニ編曲のバッハがとても面白く、またポップな自作に大変惹かれました。しかしショパンの大洋やシューマンのソナタは筆舌に尽くし難いもので、特にシューマンの見方が変わる大きなきっかけになりました。
バウアーの正確な響きはロマン派の名残を感じるとともに、ロマン派の人間の考えていた響きについて考え直すきっかけにもなりました。

このままいくとピアニストの羅列で終わってしまいそうなので、今日はいったんこの辺で。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古い録音を聴くようになったことについて1

2023-03-17 20:02:40 | 日記
先日ちょろっとツイートしたのですが、音大に入った頃、ホロヴィッツを知らない学生は珍しくありませんでした。このツイートが私としては少し伸びたので、この事を少し掘ってみたいと思います。(ブログのネタ切れということでは…な……い)


これ、何を言いたかったのかというと、「昔のピアニストを知ってるのが偉い」とか「知らないのはおかしい!」なんて意味ではもちろんないのです。もちろん現代でも素晴らしいピアニストはたくさんいますし、個性的なピアニストもたくさんいます。でも、それと同じように素晴らしく個性豊かなピアニストが100年前(録音がある前提のためだいたい100年としてます)にだっていたんです。しかも彼らはみんながよく耳にするドビュッシーやラヴェル、サンサーンスなんかとお友達だったりするんですよ?リストの弟子だったりするんですよ?そう思ったら興味わきません?って意味も含んでました。テンポ感や表現が今日聴かれるものとはだいぶ違ったりしていて面白いよ!って。

さて、なぜ自分はそういう音源を聴くようになったのだろう?と思い返してみました。単純に家の環境でした。両親ともCDはよく聴いてます。主に父がCD屋へ毎週行ってまして、それについて行くうちに私も、という流れ。そして、家では食事の時にいつもCDをかけていました。※テレビを見てると私の箸が進まないから(笑)
その時によくかかっていたのがホロヴィッツやルービンシュタイン、バックハウス、ケンプ、ミケランジェリなどでした。存命のピアニストならばポリーニ、アルゲリッチ、バレンボイム、ブレンデルetc。まぁ…王道ではありますよね。

そこから小学生おのぶは段々成長し中学生おのぶになり、その時に音盤覚醒しマニアへの道を走り出すのでした(笑)
記憶しているのはリヒテルの平均律1巻2巻でしょうか。お年玉か何かで当時6800円のCDを買いました。今でもだけど…高い!しかし、そこまで古い録音ではないですよね。
古い録音に目覚めたのは1928年のバックハウスのショパンのエチュード集でしょう。色々なピアニストの古い録音が10枚で2000円ほどというBOXがCD屋で売られていたのです。バックハウス=ベートーヴェンというイメージだった私は、ちょうどショパンのエチュードを習い始めたこともあって(値段が安いこともあって笑)飛び付きました。そりゃ録音状態は現代に比べれば良くないです。しかし、そこから聴こえてきた音楽は全く古くないのです。バックハウスのOp10-2を聴いた時の衝撃と言ったら!本当に腰を抜かすものでしたねぇ。3-4-5の半音階をあんなに滑らかに、あのテンポで!10-9、11なんかもすごく新鮮で何度も聴いていました。なんだ、90年前の録音だって全然聴けるじゃないか、というのが心に残りました。

ありがたいことにその激安BOXが次々と発売されました。昔のピアニストたちによるショパン10CD、昔のピアニストのライブ音源10CD、ミケランジェリのライブ音源10CD(Vol.1、2)。これは全て買いました。ライブ盤なんかは今は亡きピアニストたちの演奏会を体験出来るようで素晴らしかったですね。そこでチェルカスキーを知り、そこからホフマン、ゴドフスキー、ボレット、サンサーンスの音源。
ラフマニノフのショパンを聴き、ラフマニノフの音源の存在を知りました。ミケランジェリからはフィオレンティーノを知りました。
インターネットが今ほど普及していない時代、私にはCDのブックレットが色々なピアニストへアクセスするためのガイドになっていました。

まだまだ長くなるので今日はひとまずここまで。もっと続きます(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする