のぶのぶの音楽雑記

演奏会のお知らせだけでなく、色々なことを書いていこうと思います。

上路実早生さんのコンサート

2022-12-22 17:21:12 | 日記


滅多にコンサートをされない上路さんの激レアなコンサート。
コロナ禍前に2人でお茶したとき、「演奏会はあまりやらないけど、その分演奏の質には自信があります」とお話されていたのを鮮明に記憶しておりますが、そのお話に違わぬ素晴らしいコンサートでした。

私が興味を持っていたモーツァルト、お茶会の時に話に出たシューベルト、そして上路さんの研究していらっしゃるスクリャービン。

モーツァルトの装飾音について、上路さんは論文を書かれていました。以前のオンラインコンサートの時、モーツァルトを演奏されており、その装飾音や解釈にとても共感し、ぜひ生で聴きたい!と思っておりました。さて、そのモーツァルト。期待に違わぬ素晴らしさでした。あぁ…モーツァルトってこんな演奏したのかもしれないなぁなんて思いながら聴いていたのですが、現在のモダンピアノであの装飾をするのは大変ではなかろうかと思いました。モーツァルトが一気に超絶技巧に(笑)モーツァルトの時代にタイムスリップしたような音楽でした。

次に演奏されたのはシューベルト。即興曲D899全曲。これ全曲弾くだけスゴいなぁなどと私は思ってしまうのですが(笑)1曲目の出だし。全ての始まりであるビックバンであったり、舞台の幕開けなどと言われる頭ですが、これから何が始まるのだろう?という音。そこから巧みなペダルで世界を創りあげていました。

3番は私も今年何度か演奏した曲であったのでワクワク。55小節目のところが同じ解釈(と言ったら失礼だけど)でなんだか嬉しくなりました(笑)

後半は全てスクリャービン。上路さんがライフワークとしている作曲家。非常に若い時代の作品から。「幻想ソナタ」と名のついたこの作品、私は初めて聴いたのですが、スクリャービンってこんな曲書いてたんだ!と驚いたと同時に、その演奏の素晴らしさにも驚きました。前半からギアが1段階上がったよう。

その後は4番、7番、10番のソナタを。
私なんかからすると弾けるだけで凄いと思ってしまうのですが(笑)なんと言いますか、演奏者の理解力と演奏が繋がったからこそ生まれた立体的な音楽だったなぁというのが素直な感想。だからこそ、と言うかスクリャービンの思想的な部分にとても興味が湧きました。プログラムノートにもそのようなことが少し書いてありましたが、いずれどこかで上路さんの言葉で説明されたいと思いました。

演奏会はあまりやられないどのことですので、今後も機会は少ないかと思いますが、上路さんのコンサートがあれば可能な限り行きたいと思いました。いつかオール・スクリャービンなんかも聴いてみたいですね。そう思うほどに素晴らしいスクリャービンの演奏でした。終演後、帰路では1人であったもののかなり興奮状態でした(笑)

じゃバイバイ(^_^)/~~
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師匠のコンサート

2022-12-13 10:45:30 | 日記
11月27日、私のチェンバロ、クラヴィコード、バロックダンスの師匠のコンサートがありました。バッハとベームを中心としたプログラム。バッハとベームの出逢いを現したコンサートになっていました。

この日の目玉はプログラムもそうですが、なんと言っても2台のクラヴィコードが運び込まれた点でしょう。1台はレッスンで私が使わせていただいているライゼ・クラヴィコード。もう1台はフーベルトモデル1787年のレプリカ。こちらは初めて聴きましたし触らせていただきました。

クラヴィコードは響きを持った音色を出すのが本当に難しいです。私は音が出るようになるまでに2年かかりましたし、弾けるようになるまではまだまだです。タッチに拘らなければならない楽器だと感じております。音がようやく出るようになってからインヴェンションの1番をレッスンしていただきましたが、こちらも2年かかりました。つい先日のことです。

それだけにこの日のコンサートは楽しみでした。大学時代、ベームにハマり、ベームの楽譜(鍵盤)全てをまとめ買い良い思い出(笑)そのベームを師匠のクラヴィコードで(チェンバロではなく!!!)聴けるのだから、それはそれは楽しみでした。

1曲目はメールロのトッカータ。トッカータ(触れるの意)とは楽器の調子や会場の響きなどを知るための調べです。トッカータの前にも即興がありました。クラヴィコードは音の小さな楽器ですから、お客様もものすごく集中します。その視線や聴線(なんて単語はないけど)を背中に受け止めての演奏。会場にいた全員が敏感な耳となったことでしょう。前半の最後はベームのハ短調の組曲。さて、私はバロックダンスも習っていると書きましたが、師匠はバロックダンサーでもあります。バロック音楽をやる上で欠かせない要素の1つです。バロックダンサーが演奏する舞曲。これはやはりいつも聴かれる演奏とはまるで違っていました。音からダンスの躍動感(というと安っぽいけど)が伝わってくるようでした。中でも印象的だったのはジーグでした。今日聴かれるジーグは甘いのかもしれません。タッチによって変わる響きを目の当たりにしました。

後半にはバッハのリュートのための前奏曲から。そしてバッハのフランス組曲2番。この日最も感動した演奏でした。数年前のレッスンで「バッハを良く演奏すること」と話されていたのを覚えています。その言葉が自分には何故か印象的で、この演奏に触れてその想いが強く伝わってきたように思いました。集中力というか入り込みというか…背中から伝わるもので、楽器と一体になったような演奏…「舞曲」におさまりきらない「バッハの音楽」がそこにありました。

そして初めて聴いたフーベルトモデルのクラヴィコード。バッハと同じ時代を生きたフーベルトのレプリカは素晴らしい音色でした。運搬を手伝ったのですが、大きいだけあってとても重かったです。

今月もまたレッスンがあります。こちらも死ぬ気で練習してレッスンに臨もうと思います。バッハ、ベームの素晴らしさを改めて知るとともに、気が引き締まる思いのしたコンサートでした。
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ソロコンサートを終えて

2022-12-05 19:57:10 | 日記


好みは人それぞれだと思いますが、やはり人前で演奏するなら自分の好きな曲を聴いていただきたいですよね。今回はオール・バロックプログラム。昔から夢だった内容のコンサートです。しかもバッハを4曲も人前に出したのは初めてでした。結果から言えば、ここ数年の中で一番自分らしい演奏が出せました。



プログラムノートもちょっと本気出して書きました(笑)その分、無断転載等を禁止にさせていただきました。お客様には窮屈な思いをさせてしまい心苦しいのですが、演奏と同じくらい力を入れておりますし、文章が独り歩きする、ということは避けたいのです。プログラムノートはあくまでも私の演奏のガイドブックです。ご来場くださいました方々にはご理解頂けるかと思います。

大きな力となったのは今回のピアノ、シュタイングレーバーでした。ほとんどのプログラムはだいぶ前に決まっていました。その選曲に合ったピアノに出逢うことが出来ました。古き良き音色、と言ったところでしょうか。今回の選曲には抜群だったように思います。

バッハのゴールドベルクのアリアから始まるコンサート。なかなか無いスタートだったのではないでしょうか?バッハは今回のコンサートの案内人です。このコンサートはバッハに手を引かれて多くの謎に触れようと考えました。そこから同い年のヘンデル。そして重要な作曲家クープラン。有名な「神秘的な防壁」はタイでもって壁を表現している、とだけ話しました。あいだあいだに空白があったかと思います。それは壁の抜け穴です(笑)気付いた人いたかな?(笑)

その後は平均律1巻から1番と8番の前奏曲。1番は何をどうするのか。ヴィルヘルム・フリーデマンの小曲集のバージョンや、音を並べ替えてチェロ組曲を例に、それを踏まえた上でどう演奏しますか?という投げかけ。クラヴィコード、チェンバロ、オルガン、弦楽器…声をお忘れなく。
8番は異名同音調ということで、どうしても触れたいことでした。これについては自分はどう解釈したか、を話した上での演奏。続けてブットシュテットのフーガ ホ短調。平均律を話す上で、またはバッハを話す上でどうしても外すことの出来ない「ヘクサコルド」について。これは私自身の裏テーマでもありました。ブットシュテットは「ドミソとレファラ」という著作を残しています。すなわちヘクサコルドですね。
まぁ…そもそもブットシュテットのフーガは今聴けばかなり斬新なものですので(笑)弾くのは本当に大変。どんどん弾かれて欲しい曲の1つです。

後半はブクステフーデのパッサカリアからスタート。ライフワークとしているパッサカリア。音楽学者の分析と私なりの分析を並べてみました。その上でどのような響きとなったか。

ブクステフーデ後はバッハの平均律1巻から12番のプレリュード ヘ短調、パッヘルベルのアポロンの六弦琴よりヘ短調、シャコンヌ ヘ短調、ビーバーのパッサカリア。4曲を続けて演奏しました。最後までバッハには案内人を果たしてもらいました。

きっとコンサートや音楽会というものは「はぁ〜良い音楽だったね〜」というものが普通なんでしょう。もちろんそう感じてもらいたい想いもあります。「へぇ〜モダン楽器でのバロックも良いね!」とか、「え、こんな曲があったんだ!」って思ってもらいたいです。同時に、音楽って色々な見方が出来るんだってことも感じてもらえたらとても嬉しいです。「ん?じゃあこれは?」とか「いやいや、何言ってるか分からんわ」ってことが出てきたらどうぞご質問ください。音楽ってややこしい部分もあるのでは?となってくれたら万々歳。

後半の曲目に関しては問いをお客様へ投げかけてみました。私の考えをプログラムに書いた上で、別の見方も出来るようにしたつもりです。または「お前の言ってることは本当にそうなのか?」と。それで全然良いと思っています。音楽を音楽らしい存在に感じられるよう、これからもより深く考えていきたいと思っております。そんなところも踏まえて、聴きに来てくださったお客様にはただただ感謝です。本当にありがとうございました。

さて、ソロのコンサートは昨日でちょうど10回目でした。コンサートをやるにあたり、やはりお客様を前に演奏するというのは大きな責任やプレッシャーを感じます。特にこの数年は「コンサートとは何か」を考えておりました。他の人がやっていないことをやる、というのはやはり大変なものです。暴論ですが、お金を出して場所を借りて「コンサート」と銘打てばやれちゃうんですよね。昨今、冷凍食品をサッとチンして食卓に出すようなコンサートが多く見受けられるように感じます。私が難しく考え過ぎなだけかもしれませんが、どうしてもコンサートという場はもっと大事にしたいと考えました。コンサートをきっかけに何か考えたり議論の種になっても良いと思います。

昨日のコンサートの終わりにお話しましたが、ソロはしばらくお休みです。「弾き籠り」しようと思っています。今まで作曲家や作品に自分なりにかなり向き合ってきました。今度は元々大好きなピアノにももう一度同じくらい向き合ってみようと思います。幸い、ソロではありませんがいくつかコンサートの予定を戴いております。おぉ〜元気にしてんな、くらいに思ってくださいね(笑)

独りのステージはまたそのうち。

じゃバイバイ(^_^)/~~
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