エホバの証人の特色と言えば、奉仕時間を非常に気にすることかもしれません。
王国宣教でも「ハイライト」などと時間をよく強調しています。
エホバの証人以外の人のために簡単に説明すると、研究生が「神権宣教学校」に入校し、その後「伝道者」になると、月に1時間以上伝道活動に参加し、月初めに1ヶ月分の「野外奉仕報告」を提出する必要があります。
ちなみに、バプテスマを受けた人もすべて「伝道者」なので、それと区別するために「バプテスマを受けていない伝道者」とかわいそうな呼ばれ方をされます。
報告する時間とは、基本的に最初に入った家(留守でも良い)から最後に入った家までの時間です。
(「家に入る」という言葉を使いますが、集合住宅のインターホン越しでも家に入ったことになります)
奉仕で時間を費やすことをエホ証用語で「時間を入れる」と言います。
奉仕時間というのは自己申告制で、タイムカードがあるわけではありません。
始めた時間と終えた時間を分単位で正確に記録することが求められていますが、実際には「今日は何時間位奉仕した」とアバウトな記録の付け方をする人もいます。
伝道者であれば月に1時間以上、「補助開拓者」であれば50時間以上、「正規開拓者」であれば70時間以上の要求があります。
ただ、奉仕場所に行って指示があるまで待ち、それから家に入るとどうしても時間のロスが生じます。そこで奉仕場所に向かう時間や家に帰る時間を有効に活用(報告)するため、様々な方法が使われています。
- 「電話証言」してから出かける
- 留守宅だった家や再訪問先に電話してから出かけると、そこから奉仕時間はスタートです。
留守宅の家にかけるときは、自宅や携帯電話の番号が通知されると都合が悪いので「184」発信します。「番号非通知」と表示される相手がどう思うかは考えないことになっています。非通知拒否の場合でもそこからスタートです。 - 近所の留守宅を使う
- 家から近い場所で、以前の野外奉仕で留守だった家のチャイムを鳴らします。「この時間は絶対にいない」と分かっている場合でも、時間を入れるためなら利用させてもらいます。
- 「未信者」の家族を利用する
- エホバの証人ではない家族に「今週の公開講演に来ない?」などと「証言」すれば、そこからスタートです。
このようにいろいろと工夫することで、野外奉仕の開始時間と終了時間の問題は解決するのですが、それ以外にも問題があります。
それは「網羅が非常に早い」区域の場合です。
「網羅」というのは、会衆に割り当てられた区域をすべて訪問することですが、札幌のように人口に対してエホバの証人が非常に多い都市では、1ヶ月もしないうちに網羅してしまいます。
そのため、1回の野外奉仕で割り当てられる区域が少なく、時間をもてあますことになります。
用が終わったら家に帰って聖書の研究でもしていた方がよほど有益なのですが、「要求時間」というノルマがあるため、何が何でも時間をつぶさなければならないのです。
「野外奉仕の時間中に飲み物を飲んだり食事をしたりするために用いた時間は数えるべきではない」と組織の本にあるのですが、そんなことはお構いなく毎週のようにマックなどで時間をつぶしています。
僕は以前アメリカに数ヶ月滞在していたことがあるのですが、「本場」はもっとすごく、エホバの証人が奉仕中によく集まるカフェで1時間以上も談笑していました。
(「奉仕をするために必要な休憩」と考えているので、これも奉仕時間に入れます。)
以前住んでいた田舎では人口に対してエホバの証人が少なく、2時間以上歩き続ける奉仕が普通だったのですが、都会やアメリカの奉仕を見ると、差し迫った滅びから人々を救うために必死にのべ伝えている、というよりも「開拓奉仕」という特権のために時間をつぶしているという印象を受けました。
時間を報告することについて、JW解約への道にある神の経路と奴隷級 (PDF 2.62MB) 24ページ「奉仕は霊的な基準?」にも興味深い質問がありますのでご覧ください。
なお、野外奉仕時間の報告の仕方について正式な指針は「エホバのご意志を行うための組織」84, 85, 86, 87ページ、子供との研究を司会した親が時間をどう報告するかは王国宣教 2008年9月号 3ページをご覧ください。
このような「時間の入れ方」に関する資料を改めて見てみると、ただ単なる組織の「決めごと」でなんでこんなに必死になってるのかなぁと思いました。