水の裏がわでは、
可塑的な月がサロメのヴェールをはだけていた。
あなたのなみだをかりるまでは
いちども わたくしはなくことができませんでした、と
彼女はしたたかに狂って呼吸をした。
鳥は死を悟っておそらくは大洋の彼方へ墜落するまで
飛び続けるから僕たちに死をみせないのだ、と
月は慈愛に満ちて答えた。
最後まで何も言わないために
ありったけの言葉をまわりくどく弄んでみるならば、
暗黒の海面を飛べぬ鳥が座標に選んだのは北極星ではなく
血の滴る白桃のあなただったのですよ、お月さま。
可塑的な月がサロメのヴェールをはだけていた。
あなたのなみだをかりるまでは
いちども わたくしはなくことができませんでした、と
彼女はしたたかに狂って呼吸をした。
鳥は死を悟っておそらくは大洋の彼方へ墜落するまで
飛び続けるから僕たちに死をみせないのだ、と
月は慈愛に満ちて答えた。
最後まで何も言わないために
ありったけの言葉をまわりくどく弄んでみるならば、
暗黒の海面を飛べぬ鳥が座標に選んだのは北極星ではなく
血の滴る白桃のあなただったのですよ、お月さま。
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