白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

頸月

2008-11-15 | 日常、思うこと
水の裏がわでは、
可塑的な月がサロメのヴェールをはだけていた。





あなたのなみだをかりるまでは
いちども わたくしはなくことができませんでした、と
彼女はしたたかに狂って呼吸をした。





鳥は死を悟っておそらくは大洋の彼方へ墜落するまで
飛び続けるから僕たちに死をみせないのだ、と
月は慈愛に満ちて答えた。





最後まで何も言わないために
ありったけの言葉をまわりくどく弄んでみるならば、
暗黒の海面を飛べぬ鳥が座標に選んだのは北極星ではなく
血の滴る白桃のあなただったのですよ、お月さま。






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