舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

エリザベス・テイラー『クレオパトラ』

2006-11-14 23:44:19 | 徒然話
映画史上屈指の艶女(と勝手に思っている)エリザベス・テイラー主演の『クレオパトラ』を観ました!!
クレオパトラが大好きでマーガレット・ジョージ著『追憶のクレオパトラ』なども愛読している私としては、ぜひとも見たいと思い続けていたのです。

長い長い映画を観て、やっぱり麗しいリズ様にウットリしつつ一番に思ったことといえば...「うわ、王家の紋章そっくり」。
『王家の紋章』とは、古代エジプトを舞台に美青年ファラオと現代の金髪小娘の恋愛を描いた超長編漫画のことです。
コマ割りが唖然とするほど大ゴマで、結果的にストーリー展開がアメン神をも恐れぬ遅さなのですが、その分一コマの衣装や背景の描き込みが凄いです。
人物の大写しであれば細部にいたるまで衣装が描き込まれているし、群衆を鳥瞰で見ているコマなど、うっかりヒロ・ヤマガタ画伯と間違えそうです。

私はこの漫画の文庫版を既刊全巻揃えているんですが、ストーリーだけ追っていくとコミックス2巻分くらいなのに20分程度で読み終わりますので(笑)、まずはとりあえず最後まで一気に読みます。それから再び最初に戻り、じっくり衣装などの細部を見直していくのですね。

正確には『王家』の方がこの映画をモチーフに描いてるんでしょうけれど。
とにかく浴室の内装も建物も衣装も徹底的にそっくりです。
『クレオパトラ』の廟などまんま『王家』の神殿ですし、パレードの余興にいたるまで「おお、これは『王家』のあのシーン!!」なところ頻発です。
その辺りの正確な出典は既に私よかディープなファンの方々がとっくに解明済みでしょうから、詳しい分析はあえていたしませんが。

そして、リズ様演じるクレオパトラそのものといえる『王家』のキャラが女王アイシスです。
名前からしてアイシス=クレオパトラの母といわれるエジプトの女神ですね(しかし、多神教文化に一神教が流入し定着したあたり、エジプトとハワイの信仰の歴史にはどうやら共通点がありそうですね。神話も比べてみたいなあ。って学問ヲタクはこのくらいにして)。

女王アイシスは、主人公のファラオ・メンフィスの姉君です。
このメンフィスがまた、今までの「白馬の王子様」と違ってセクシーで素敵なんですわ。アイシスがそんなメンフィスに思い焦がれ、結婚を心待ちにしていた(古代エジプトの王家では近親婚が当たり前だったのです)のもうなずけますね。
なのにメンフィスときたら現代からタイムスリップしてきた小娘キャロルに夢中なんですから、おもわずキャロルを暗殺したくなるのにもうなずけます。

ってオイィィィィ!!!うなずけないってソレ!!暗殺はマズイでしょ暗殺はァァァ!!!
...と、至極真っ当な理性でもって引き止めたいところですが、アイシス様の神々しい美しさと炎のような激情はあまりにも魅力的で、ハッキリ言ってヒロインより好きと思っている人は、私だけではありますまい。

もともとアイシスはさほどいい女でもなかったのです(美人という設定ではあったけど)。
なんだか絶対に振り向かない男にいつまでもすがる未練たらしい女という感じで、ヒロインに対する企みも陰険な昼メロの悪役めいていて(※それはそれで面白いが)、魅力的というタイプではなかったのですね。
それが「おおメンフィス、どうしてもわたくしを愛さないというのなら、わたくしがあなたを滅ぼしましょう」とか言い出したあたりから却って吹っ切れたらしく、その頃から絵の描かれ方もめきめきと艶やかになっていったのです。

そんな美しくなったアイシスの装いというのが、まさにリズ様のクレオパトラなのです。
古代エジプトっぽい黄金装飾過多の仰々しい装いではなく、メリハリたっぷりの身体のラインを引き立たせるシンプルでゴージャスなドレス。髪型も重い飾りで固めず、豊かな黒髪を活かしています。
よく見たらお化粧道具までそっくりそのまま。作者の細川さん、よほど映画を丹念にご覧になったんでしょうな。
でも、正当なヒロインよりアイシスの方が明らかにチカラ入れて描かれているというのはなにごとでしょう。
細川さんも私同様、リズ様のクレオパトラやアイシスのような強く美しい女がお好きなのかしらん。

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