地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

世界測地系

2008-01-20 06:07:46 | Weblog
地球は真の球形でなく、自転しながら固まったため、回転楕円体になっています。
丁度ミカンの形のように球が少しひしゃげています。
そこで、地球の形を表すのに、「長半径」(赤道の半径)と、「扁平率」(ひしゃげ方の程度)という基準を設けています。
その基準は各国がそれぞればらばらの数値によっていました。明治以来、日本は、ベッセル(1841年決定)によりました。
長半径:R=6,377.397m・・・2πR=40,070.46m  1/4赤道の長さ=10,017.615m
短半径:R=6,356.079m・・・2πR=39,936.515m 1/4子午線の長さ=9,984.1287m
この長さを基準にして、経緯度が決定され、地形図が作られています。
なお、世界全図など小縮尺地図の場合は、R=6,370kmの球形として作成されました。

ところが、最近、GPSの普及により、日本の基準に間違いがあることが発見され、ナビゲーションによる車や船舶の移動に問題が生じることがわかりました。
「日本測地系」では、緯度経度に10秒程度、距離にして約400m~500m南東にずらす必要があります。
そのため、平成13年6月20日に「測量法及び水路業務法の一部改正する法律」が公布され、世界標準の「世界測地系」に変更されました。
言葉では簡単ですが、それを地図に反映するのは大変な作業を伴います。
先ず、全国の三角点(約10万箇所)の経緯度を世界測地系に切り替えなければなりません。球形を平面に表していますので平行移動というわけに行きません。
地形図も、取り敢えず、地図の四隅の経緯度数字を日本測地系と世界測地系を併記することになりました。(平成15年度中に完了)
ちなみに、日本経緯度原点(旧東京天文台 麻布・狸穴)は
日本測地系:東経139度44分40秒5020
       北緯35度39分17秒5148
世界測地系:東経139度44分28秒8759
       北緯35度39分29秒1572