いまあるべき古民家

古くからある物を大切に、今あるべき事を取り入れて・・・。

再生ということ

2017-07-01 21:09:24 | 日記

 暑くなる前にお墓詣りに行ってきました・・・。

奥さんのお父さん方のお墓ですが、例年梅雨明けしてから予定してしまうので

盆地と言う土地柄とても暑く、今年は少し早めに行ってきました。

その帰り、3年前に見つけた古民家風のうどん屋さんにたまたま寄ることが出来ました。

古い街道沿いという事もあって、時代を経た建物が年を追うごとに壊されていく景色を

仕事で移動中の車の中から見てきたのですが・・・

移築したかのような建物が建ち始めたと思うとそれがうどん屋さんとして開店しました。

中に入ると新しい木材もかなり使っていますが雰囲気のある店内になっていて

お昼もかなり過ぎていましたが、それなりにお客さんも入って落ち着いた雰囲気を楽しめました。

古民家を昔のままの姿で残そう、当時のかたちを崩さないで・・・

理想を言えばそうですが、どんな伝統も基本を元に時代に合わせ現実に合わせ、より良いものに・・・

そんな考え方で古き良きものを残し、伝えていけたらと思います。

そんなおり、「曳家塾」曳家技術を使って古民家再生!と言うセミナーを行わせて頂きました。

現役の曳家職人「曳家 岡本 直也さん」を迎えて オフレコな話や、東北震災後の

建物 沈下修正の現状など興味深いお話を聞かせて頂きました。

安心・安全に住まうことの出来る建物の補修、正しい施工とは・・・?

行政の考え方、理想と現実とのギャップ・・・

お施主様の思い・理想・現実・・・その要望にいかに応えることが出来て

いかに自分の思いをそれに合わせられる工法で仕上げていくか?

各地で経験してきた生の声で聴くととても説得力があり自分のこれからを考える力の一つに

なって気がしました。

あるスーパーで面白い車を見かけましたのですが・・・

「ルノーゴルディーニ」・・・・たぶん・・・?数十年前の車です。

家の価値は年数を過ぎると無くなり、固定資産税がほぼゼロになりますが

大切に使い続けることが悪いかのように、古い車は税金が上がります・・・

経済が回るように燃費の良いエコカーを乗り換え続ける方が税金が安くなります・・・

古い建物を維持するよりも新しい建物を買った方が安く済みます。

何が正しくて、正しくないのか?・・・悩み多き年頃です。

 

 


その後

2017-06-20 21:57:21 | 日記

 曳家・・・家を移動するだけでは無くて、地盤沈下で建物の一部が下がった部分を持ち上げて水平に戻したり

傾いた建物をまっすぐに戻したりと見た事も無い技術がまだまだたくさんあります。

前回お手伝いした後、工事は順調に進んでいたようで、柱をつかんで建物を持ち上げた状態を見させて頂きました。

前回の写真で見て頂いたように土台の腐食被害が大きいので土台を撤去して、コンクリートの独立基礎を造り

そこに柱を鎮座させる予定になるそうです。

床下に潜らせたらスペシャリストのIさん・・・の作業を始めて見させて頂き・・・

年季の入った協力な新人助っ人、繊細な壊し屋Mさんは穏やかな中にも一本芯が通った方のように見受けられました・・・

今回も自分の要領を得ない無理な質問にも誠実に答えて頂いた「曳家岡本」代表に感謝です・・・。

お施主様は今の土地を購入する際、この築100年ほどの古民家はおまけのような物と言われたそうですが

こうして手をかけて、「終」の住みかと思っておられるのだと思います・・・

現代の建物は高気密高断熱、エネルギーを極力使わない、環境や体にやさしい建物ではいけないそうです・・・。

多くの方がそんな住まい方を望んでいると思います・・・が・・・自然な暮らしを望んで移住してくる方も少なからず

いると言う現実もあります。

これが正解とは言えませんが、安全・安心で・家族が楽しく暮らせる住まいが「良い住まい」だと思います。

10人いれば10通りの考え方があるように、その要望に少しでも答えられる知識と・技術を磨いて、それをかたちにして頂ける

仲間たちと出会えるような自分でいられたらいいなと思います。

 

添え木(枕木で施工している)をして柱をはさんで、厚い鉄板をボルトで締めてジャッキで持ち上げる・・・

手前の赤いジャッキは油圧ジャッキ・奥の黒っぽいのはジャーナルジャッキ。

完全に柱が浮いています、ジャッキセットして、少し上げるのを手伝いましたが以外に簡単に上がります・・・が

鉄骨や枕木の準備、設置するまでの準備が大変で重要なのです・・・

田の字型(少しずれていますが)の和室に土間・・・竈(かまど)がほしくなりますね~。


お手伝い

2017-06-04 21:33:59 | 日記

 千葉県の片田舎(けっして千葉を田舎だと言っている訳ではございません・・)築100年の古民家

改修の見学とお手伝いに行ってまいりました。

沈下と傾きがあるようで「石場建て」と言う昔ながらの造りで、鉄筋の入った今時のコンクリート基礎では無く・・・

石の上に柱を直接乗せる工法です、今回の建物はその石の上にはまず土台が敷いてあり、その上に柱が建っている

造りでした。

地盤も調査したら少し軟弱地盤だそうで、地盤改良を行い。

ベースとなる束石(今回はコンクリートで行うそうです)もやり替え、一般的な石場建てに戻すそうです。

解体していると根太?(大引き?)材に古材が使われていたり、囲炉裏のあったような跡も出てきたりと

昔の造りやどんな手直しがされてきたかが解って良い勉強になりました。

今の建築もそうですが、図面や参考書など100冊読で話を200回聞くより

1回の現場を経験することが一番の勉強になるとつくづく思います。

お手伝いの後、現場近くの古くから友人の工務店に行っていろいろおしゃべりしてきました。

千葉の片田舎で・・・(もう一度言いますが千葉を田舎だとはいっていませんので・・・)

最近の建築業界の断熱施工の最先端をリードしている方々と肩を並べるほどの工務店の社長とは思えない

風貌と佇まいの旧友ですが、いつもたくさんの刺激を受ける大切な時間でした。

一方は古くからの造りを残そうとする伝統的な考え方・・・。

一方は時代の流れに乗った高気密高断熱の最先端の考え方・・・。

不易流行(いつまでも変化しない本質を忘れずに・新しいものも取り入れる考え方)以前も書きましたが・・・

そんな言葉を体験できた1日となった気がしました。


現役

2017-05-18 10:24:25 | 日記

 古民家再生でお世話になっている大工さんにお声かけ頂き、築地の小料理屋さんの解体・部材再生で

残ってしまう生活用品の活用・処分の相談で再度お伺いいたしました。

待ち合わせ時間より少し早かったので散歩がてら築地本願寺にお参りをして、近くを散策しました。

以外に古い建物が残っていて、「看板建築」・「銅版建築」と言う道路面の外壁が垂直に立っている外観が特徴の店舗も数件ありまして

昔ながらの長屋もまだ残っていて、狭い路地では各家庭の玄関前に置いてあるいろんな植木鉢の花が懐かしく感じられて・・・。

打ち水なんかしてあったら、もう完全に昭和な日本でした。

少し足をのばせば銀座・有楽町にほど近く、見上げるビルもあちこちに建っているような大都会で見る下町風景ですが

今回のお店の取り壊しも、そんな日本を感じる建物・景観がどんどん無くなってきています。

京都の現状も同じようだと聞きますが、実際住まわれる方々の不便さはそこに住む方でないと解らないのだと思います。

古民家を残そう・当時の佇まい、工法・素材に・納まりを忠実に・・・と思わないではないですが・・・。

昔とは違います・・・今の時代に合わせ次の世代に残せる活用方法を考えていければと思います。

当時の文化を忠実に残すことは日本のお偉い方々に任せ・・・

時代毎に形を変えながら受け継がれていく住まいを、日本の文化らしい感じで残していけたら良いなと思いました。

処分品から出てきた、中判フィルムカメラです。「MAMIYA-6] 1954年4月購入と書いてありました、63年前のカメラです。

数多く出回っていますがとても美品でした、今度撮って写真UP致します。

 


有形登録文化財

2017-05-03 21:36:27 | 日記

 昔ながらの建物が好き・・・。

軒の深い屋根の下、濡れ縁に座ってみる景色は何となく落ち着きます。

和洋折衷の建物に変わりゆく日本を感じます。

と 思っていましたが、このところ 古民家改修のご相談をいただく機会を頂き・・・。

四苦八苦しながらご相談にお答えしようとしています。

大して人脈も無い自分が、最近お知り合いになりました、曳家さん・宮大工さんのお知恵をお借りしながら

いろいろ調べていますと・・・

先日、別件で埼玉県の行田市にある、「国指定の有形登録文化財」の建物の修復相談のお話を頂きました。

場所柄、「養蚕」を生業としていた建物という事で、とても立派で少しの手直しを都度行ってはいたらしいのですが・・・。

構造の柱・梁などの雨漏れによる腐り・虫害、建物全体の傾き・瓦のうねり・ずれなど・・・

大がかりに手直ししないと、この先100年住み続ける事は難しいと思われる内容でしたが

お施主様の考え方や思いなどは、とても共感出来ました。

個人が100年住み継がれた建物を維持するにはとても費用と手間がかかります・・・。

市や国の補助金を頂いて補修するには、様々な規制・規則があって、税金を使って補修するのにも

少し手間がかかります。

国宝・重要文化財などに指定されると外観・内装も現状を維持する補修をしないとダメだったり・・・。

お住まいになる方の生活も規制される事があります。

登録有形文化財は、外観の現状維持だけで内装は大きな規制は受けません。

施工・管理する側も一定の資格が無いと施工管理も施工もできない場合があります。

最近特に問題にされる耐震性など考えるとさらに難しくなります・・・。

それでも、地域の人達や行政の方々の力も加わって生まれ変わっている場所もたくさんあります・・・

埼玉県にある川越の古い町並みは昔から変わらずある町並みではなかったそうです・・・。

今風の外観の建物が増えてきて景観が変わってきた所を、町の人たちの努力で古い町並みに戻してきたそうです。

住まい(建物)は地域のみんなで育て、守り、受け継いでいくものだとある人から教わりました。

時代錯誤かもしれませんが、とても大切なことだと思います。

立派な小屋組みです、ここで養蚕の作業をしていました、1本橋のような板は換気の窓を開閉めする足場です。