ウツウツ記

毎日の生活で感じたことを書いています。

「破裂」

2009-03-25 21:29:09 | 読書
近所の遊歩道の桜並木でも、健気に一輪、二輪と桜が咲いてきた。
けれど、今日は風が冷たい一日だったな。
朝より夕方の方が、ぐっと冷えた感じがした。
気の早い桜もきっと後悔してる夜だろう。
話がそれるけれど、私は桜って見かけよりもずっと
たくましい花だと思っている。
透き通る淡い色や小さな花弁や風で散る花びらの嵐から
なんだかか弱そうに感じるけれど、
今日のようにぐっと冷える夜があったって
明日の朝には平気な顔で咲き続けているし、
案外と雨の多い春先だって散らずに頑張っていたりする。
それに比べたら、チューリップなんか
つぼみが膨らんで咲いた!と思ったら
あっと言う間にだらしなく花弁がたれさがっていたりして
案外と根性がないな、と思ったりするのだ。

区の図書館は収穫が少ないのだけれど
それでも今年は、読後感想を書こうと思っていたのに
ん~、あんまり書いていない。
いや、ちゃんと読んでいるのにな。
感想もそれなりにあるのにな。

ということで、今回は久坂部羊の「破裂」
この作家の本は「無痛」に次いで2作目。
医師兼作家というと、今は海堂尊のチームバチスタなのだろうが
私は海堂さんより久坂部さんの方が好き。
バチスタの2冊読んだけれど、
文章があまり好きになれず。
で、この「破裂」は心臓外科のお話。
医療過誤を追求するジャーナリストと
それに協力する現役麻酔科医の話、かと思って読み進むうちに
ある心臓手術での医療過誤事件が起きる。
執刀したのは、次期教授を狙うエリート医師。
彼はまた、画期的に心筋細胞を若返らせる実験を成功させつつある。
そこに近づいてくる謎の厚労省の役人。
画期的な実験には、思わぬ副作用があり
若返る心臓の見返りは突然死なのだ。
けれど、役人はその副作用にこそ日本の未来がある、
と考えあるプロジェクトを進めていく。。。

医療過誤事件では、果たして真相はどうだったのか
と単純にハラハラしながら読むだけだったが
謎のプロジェクトからは、考えさせられた。
異常事態とも言える日本の高齢化の実態。
果たして長寿は幸せなのか。
実際の年寄りたちは、何を願っているのか。
生かされるだけの医療、死ねない現実は幸せなのか。。
総論賛成、各論反対、といういつもの世論みたいなのが
私の感想なんだろうか。
誰だってピンピンして寝ている間に死んでいたいよな。
でも70歳の私なら、どう思うのだろうか。
長生きしたい、と思うのだろうか。
死にたくない、と思うのだろうか。
例えば先日火災のあったような施設に入居したとしたら。
いや、国民皆保険制度そのものが破綻したとしたら。

最近は現役医師とか現役裁判官とかが書いた本が結構ある。
ふ~ん、内幕も大体想像してた感じじゃないの、
とも思うけれど面白いものが多いと思う。
「破裂」でも実験のことが興味をひいた。
犬で実験する場面。その犬に名前がついているのだ。
えっと思った。
名前なんかつけたら、実験するのが辛すぎるじゃない。
いやいや、せめて名前くらいつけてやらなくちゃ可哀想じゃないか。
どっちなんだろうか。
私は絶対に動物実験なんかできないから想像できない。
こういう実験のできる人の感覚はどっちなんだろうか。
(私だってこういう尊い実験の蓄積で、私が生かされている現実は
 知っているし感謝もしてるから)
さらっと描写してあるから、あんまり考えていないのかもしれないな、現実は。

さて、今週読んだのは他に
重松清「ブランケット・キャッツ」   一時、重松さんの本を読みまくった時が
あったけれど、あまりに多作なせいかどれも似たような感じがして最近は読んでいなかった。(読者って薄情)これは猫が主役。いつもの中年じゃなくて、ちょっとよかった。
角田光代「薄闇シルエット」   う~ん、角田さんの描く女性は好きだ。きっと
現実には私とは正反対にいそうな女性だけれど。私は超現実派だからね。それでも惹かれる女性が多い。「森の魚」だっけ?あれも絶対に読みたい。というか買ってでも読まなくちゃ。あれにはきっと、私に似た女性が出てきそうだ。

次は「エンブリオ」を読む予定。
これも医師が書いた本だ。
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