ウツウツ記

毎日の生活で感じたことを書いています。

「誘拐児」

2009-10-09 17:50:41 | 読書
第54回江戸川乱歩賞受賞の「誘拐児」(翔田寛)を読んだ。
ちょっと久しぶりの感があるミステリー小説。
(というか、1冊を読み終えるのにどんだけ時間がかかるんだ・・・)

昭和21年に5歳の男児が誘拐される。
身代金の受け渡しは闇市。
闇市一斉捜査のどさくさにまぎれて
身代金はまんまと犯人の手に渡り、
そうして男児は帰ってこなかった。。
それから15年。
20歳の良雄の母親が謎の言葉を残して亡くなる。
良雄の母は、本当の母親ではなかったのか。
15年前、何があって、母は何をしたのか。
良雄と彼に寄りそう女性、二組の刑事がやがて15年前の誘拐事件に
辿り着く。
良雄は誘拐された子供なのか、母親は犯人なのか。

誘拐事件が昭和21年、事件を解いているのが昭和36年と
かなり昔の設定になっているが
それがかえって、事件をリアルに感じさせているように思う。
最初の身代金受け渡しの場面や
時々良雄が昔を思い出すシーンでは
映画を見ているような気持ちになった。
母親が犯人かもしれない、というドキドキ感がずっとあって
なかなか面白かった。
こういう人情絡みのミステリーは、ある意味
こういう時代でないと成立しないのかもしれない、とも感じた。
今ならもっとハイテクになってしまうし、
小説よりも奇妙な事件が現実に起こってしまっていて
しかも犯人の目的がさっぱり理解できないような時代になってしまったと
感じるからだ。
人間が複雑になったのではなくて
機械が複雑になっただけで、犯行を犯す人間自体は案外と
薄ぺったくなっているのかもしれない。

それにしても。
以前も書いたけれど、最近の私は何だかあっという間に寝てしまい
なかなか読書がすすまない。
この本も2週間以上かかってしまった。
読んでは戻り、戻っては読む、の繰り返し。
場面展開が多かったので、
あれ?今はどの場面だっけ、と戻ってばかりだった。
ん~。今まで結構スピードには自信があったので、ちょっと落胆。。
今は「ファミリーポートレート」を読んでいる。(桜庭一樹)
マコとコマコの物語。
面白いです。期待を裏切らない面白さ。
また、感想を書きます。
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