雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

ステラショット3の新機能『ライブスタック』検証

2024年01月17日 | 画像処理のはなし
元旦から能登半島地震に見舞われた2024年ですが
天体写真の方は例年通り日本海側につき冬季休業状態となっています。
そんな中で新月の11日夜に少しの時間は雲が切れそうという事で 機材を設営してみました。
初ショットなどは望まずに、貴重な晴れ間を使って
気になっていた昨年末に購入していたステラショットの新機能の検証を行いました。

ステラショットについては、オートガイド機能が加わったステラショット1.5以降の付き合いで
今回のアップグレード版を含めて3回目の購入になります。
実はこれまでと違い、今回のステラショットの購入は迷いました。
それというのも 今回の””で追加された主な新機能が
私にとっては 2万5千円(アップグレード+公式ガイドブック)の価値があるのかどうか疑問だったから。

ステラショットの新機能 (アストロアーツHPより)
ライブスタック・・・電子観望が可能。天体写真の画質向上に貢献するのか?・・・・
フォーカス・・・電動フォカサーではないのでバーティノフマスクで十分・・・・・・
極軸補正・・・「庭撮り」で北極星が見えるので 複雑な操作は不要・・・・・・・・・
改良されたインターフェイス・・・使わない機能の項目が増えるだけでは?

結局気が付いたら注文していたわけですが、
その他の新機能 の中に「上越天体写真友の会(J-APA)」の勉強会でも話題となった
CMOSカメラのオフセット設定機能が追加された事
が衝動買いのトリガになったのかも知れません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は11日夜に、公式ガイドブックを見ながら検証した
新機能 ライブスタック について報告します。

ステラショット3のライブスタックパネル
( 画像クリックで拡大表示できます )
撮影DATA:M1 かに星雲 VC200L(fl=1800mm) 露出 100秒 ×22枚スタック Gain 300 ASI533MC(冷却 -10℃)

ライブスタックを実行する手順のあらましは以下の通り
(1)上段の表示切替部の「ライブスタック」ボタンを押す → ライブスタックパネルが表示される・・・・・・・
(2)ライブスタックパネル右上部の「撮影設定」から露出時間・ゲイン(CMOS)を設定・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3-1)下部の「撮影」(上図の赤枠)から[全フレーム保存]ボタンを押す(自分で画像処理する場合)
(3-2)同じく「撮影」から[スタック開始]ボタンを押す →[スタック中]に変わる・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)1枚目のスタックが終わると、「撮影」の[画像保存]ボタンがアクトになります・・・・・・・・・・・・・・・・
これ以降[画像保存]ボタンをクリックすると、その時点までのスタック画像が保存されます


実はライブスタックについてはこれまで体験したことも 知識もなく、
短時間の露光を繰り返し積算して保存できれば、
VC200Lの長焦点鏡筒の撮影でもガイドブレのない画像が得られるのかな?
という程度で、
画像のずれ分を検出・補正したピクセル単位で”積算”したRAWデータが出力されるとしたら、
と言う妄想も頭のどこかに・・・

実際には 短時間露光で繰り返し撮影しながら、リアルタイムで加算平均して
その処理画像をモニターに表示または画像保存できるというもの。
それでも”保存した画像はステライメージなどで画像処理ができる”との記載があったので
やってみました。
「全フレーム保存」の100秒×22枚(総露光時間2,200秒)をステライメージ9で処理 ↓
総露光時間 37分になるのですが、これまでのVC200Lの通常撮影に比べて
Gainは同じ300でも画質はかなり落ちる印象。(星像のガイド流れは少なくなりましたが)

やってみてわかったのですが ・・
そもそも「全フレーム保存」された画像はRAW画像ではなく、
すでにカラー化(ベイヤー・RGB変換)されたFITS画像のため、後でダーク・フラット処理は不可能です。
おまけに保存されたカラー画像ファイルは、ベイヤー配列のRAW画像(モノクロ)の約6倍も重い。

■「全フレーム保存」された画像のファイルサイズ・・・ 103M (FITS 実数32ビット 3プレーン)・・・
■従来の「通常撮影」された画像のファイルサイズ・・・ 17.3M (FITS 整数16ビット 1プレーン)
(*いずれも ASI533MC での比較)

「全フレーム保存」の画像を百枚保存すれば10.3GB、これを画像処理するのはかなり大変

実はステラショット3ライブスタック中でもダーク・フラット処理は可能となっています。
そのダーク・フラット処理済みのスタック(積算)画像だけを保存して、
ステライメージなどで処理したらどうなるか?
検証してみる価値はありそうですが、公式ガイドブックの記載内容を見てやめました。
[ 公式ガイドブック(P150)の記載] ↓
・・・ 電子観望のためにスタックした画像は、後で画像処理する事もできます。
さらに画質を重視する場合には、次に示す通常の撮影の方法で撮影することをお勧めします。

ライブスタック機能に対するわたしの勝手な妄想は見事に裏切られたのですが、
決して電子観望を否定している訳ではありません。
画質を追及する天体写真とは別の目的で最近は注目すべき機器も登場しています。
特に最近発売された7万円台の電子観望機器SeeStar s50が 話題となっています。
レンズの後継は わずか50mmなのですが・・

J-APA(上越天体写真友の会)会員の中にも購入された方がおられて、
SeeStar s50で撮影されたライブスタック画像を送っていただきました。
参考に「編集後記」の後にその画像を掲載しましたのでご覧ください。

次回はステラショット3で追加されたCMOSカメラのオフセット設定機能について検証予定です。

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以前「子供が望遠鏡を欲しがってるけど、なにがいい?」
という質問に困ったことがあります。
まともな機材は安くても数万円もする上に、覗いてがっかり。
結局、押入れにしまい込まれて終わり。というのが
ほとんどだったからなのですが・・・
最近スマホがあればライブ観望から撮影までこなす機器が登場しています。
7万円台ではありますが、コンパクトな本体とスマホだけで 導入から撮影まで。
これなら子供だけでなく、天体写真に興味のなかった大人もはまるかも。
来月の月例会ではSeeStar s50実物を見せてもらう予定です。
11日夜は放射冷却で検証した機材は撤収時には霜がビッシリ

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J-APA会員の井部さんがSeeStar s50(ZWO製)でライブスタック撮影された画像です。
( いずれも縮小なし画像で掲載しますので、画像クリックで拡大してご覧ください )
10秒×19枚スタック ↑
10秒×48枚スタック ↑
井部さんが購入した時は”即納”だったそうですが、今は人気で”入荷待ち”だそうです。

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