伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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人事システム の 根本問題

2012-07-20 20:35:13 | 行政経営
群馬県の管理職員が勤務中に、行政事務用のパソコンで
アダルトサイトを見ていた問題について、
昨日のブログで取り上げました。

まにわ市議からも「まったく同感です」と
コメントを頂きましたので、
その下に私のコメントも書きました。

この問題は、いかに根本的で重大な問題なのか、
分かりやすく解説したいと思います。



(今の人事システムに重大な欠陥)

はじめにお断りしておきますが、
群馬県庁のほとんどの職員は、
まじめに業務に取り組んでいると思います。

しかしながら、県庁の人事システムとして
このような人物を管理職に選び、
実際に管理職としてこのような人物がいたのですから、
現在の人事システムには重大な欠陥があると言わざるを得ません。
「何にも問題ありません」と言えるでしょうか?



(自己否定ができるのか?)

これまでの人事システムによって管理職に選ばれ、
年功序列の昇進制度など、県庁内の慣行や論理に
どっぷり浸りきってきた人たちが
はたして自らの立場を否定して改革できるでしょうか。

エドガー・H・シャイン博士は、文化の三層構造論により
無意識における組織文化の影響を指摘しています。
そもそも「大問題だ」という認識すらもてるのか、
内部にいる人間が改革するのは
非常に難しいのではないかと危惧します。



(管理職は一番優秀なはず)

建前として管理職員は、その組織にとって
もっとも判断力があり、リーダーシップもあり、
調整能力等も高く、総合的に一番優れている職員のハズです。

勤務時間中にアダルトサイトなどを見放題の職員が
その所属で総合的に最も優秀であると判断されて
次長(管理職)に抜擢されたのだとしたら、
それ以外の職員は、その職員よりも低い能力であると
群馬県という組織が判断したということです。
部下の能力はもっと低いなんて、そんなはずはありません。

したがって、
現状の県の人事システムでは、
職員の能力や仕事の成果で、評価・昇進させているのではなく、
能力があろうとなかろうと、年功序列で昇進させているのではないか?
という大きな疑念が生じるのです。

「いえ、適切に人事評価しています。」
と人事サイドが回答するならば、
その所属の職員は、元次長以下の能力の職員ばかり
ということになってしまいます。
そんなことがあるのでしょうか?

現状の評価・昇進方法を正しいとするならば、
多くの職員が不適格になってしまう。
そうではなく、元次長の評価方法が過っていたのなら、
これまでの人事システムが正しくない。
この2項対立に、現在の人事管理・人事システムの
根本的な大問題が現れているのです。



(組織文化)

県庁という組織が人事管理を行うにあたり、
何を最優先にしているのか。
何十年も一緒に過ごす、先輩と後輩の和、
予定調和的な仲良し関係を最優先としているのか。

それとも、
県民に対して仕事の成果を出すことを
組織の最優先の目標にしているのか。

例外がないわけではありません。
県庁には、国の省庁からキャリアと呼ばれるエリート職員が来ます。
20代の若さで県庁の課長に着任します。
この場合には、年功序列ではなく
個人の能力で評価されているのだと思います。



(今後の行く末)

もし群馬県庁が、今回の事件を
元次長の個人的な問題に矮小化して
人事管理制度の根本的な改革に手をつけなければ、
これまでの組織文化や慣行などが温存されます。

管理職にふさわしくない者が
管理職に抜擢され、職務に就きます。
そのような管理職が増えれば、
世間の常識とのズレを認識できないまま、
県庁という組織全体の劣化が進行します。



(近年群馬県庁では)

目を覆いたくなるような出来事があいついでいます。

県立歴史博物館では、新潟県から借用して展示していた
重要文化財の書状に水滴のしみをつけてしまいました

人様から借りた重要文化財に、シミを付けるとは
博物館としての一番基本的な業務体制はどうなっているのか絶句です。

警察官の採用試験では、人事委員会事務局は
試験会場に「答案用紙」を持ってくるのを忘れました

人の人生を左右する採用試験で、答案用紙を準備し忘れるとは
担当の職員一人の問題ではなく、
人事委員会事務局全体の業務遂行能力の欠如です。

今年度になって、県庁内でぼや騒ぎがありました。
朝の通勤時間に県庁前の交差点まで、
火災報知機の音が鳴り響きました。
しかし、一切発表はなく、なぜか新聞にも載りません。
県民の税金で建てた県庁舎で、火災を起こしても
発表しなくてよい程度の出来事なのでしょうか。

私は、
県庁舎は、県庁職員だけの持ち物でなく、
県民全体の財産であると考えます。
たとえ「ぼや」でも、何があったのか、
県民にきちんと発表して伝えるべきだったと思います。
公務員は公僕です。
だれが群馬県の主役なのでしょうか。



(本気の改革を)

私は群馬県庁を非難することが目的ではありません。
せっかく長年隠れていた人事制度や組織慣行のウミが出たのですから、
人事システムや組織文化を根本から見直して一新する大チャンスなのです。

管理職がこのような勤務状態でも
業務が支障なくまわっていたのだとしたら、
公務員の数が多すぎると、批判を浴びてしまうでしょう。
今までの行政改革とはなんだったのか?

これから行政の予算も、人もどんどん少なくなっています。
その中で今まで以上のパフォーマンスを発揮するには、
本気の組織改革が必要です。



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