伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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コンパクトシティ

2018-06-26 16:28:42 | 政治・政策・経済
都市計画法や、それに基づいて開発を進める区域と
逆に開発を抑える区域を決める「線引き」は、
人口や経済がどんどん伸びていた時代の考え方を
背景として引きずっているのではないか?

人口減少が始まった現代では、
合わなくなっているのではないか?

そんな問題意識を持っていますので、
都市計画法や、空家問題、コンパクトシティ、
インフラの老朽化等について研究しています。

日経新聞に参考となる連載記事(「やさしい経済学」)
がありましたのでご紹介します。
詳しくは紙面をご確認ください。



「コンパクトシティを考える①」6/21 京都大学 諸富徹

・私たちは今、本格的人口減少の入り口。
・人口減少が進むと都市は「スポンジ化」する。
 規模は変わらなくても、経済活動や居住区域が縮小し、
 内部に無数の穴が開いた状態になる。
・人口減少に合わせて都市規模を縮小する「コンパクトシティ」
 が注目されている。
・都市の経済活動の密度を維持しながら、社会インフラの
 効率性を上げ、財政を健全に保つのが目的。
・成り行きで都市が縮む「縮小」に対して、戦略的に
 人口減少に合わせて都市を再構築するのが「縮退」。

(多田コメント)
・これから人口がどんどん減っていくので、今のインフラの
 すべてを維持するのは非効率かつ不可能です。
・特定の商売が成り立つには、ある程度の人口密度が必要です。
 都市が都市であるためには、密度の維持が必要。
・より少なくなっていく納税者でインフラを支えるならば、
 集中的に投資した方が効率性は上がります。
 それは現在の都市計画の線引きの考え方と同じ。
・成り行きで衰退していくのか、それとも主体的かつ
 戦略的に人口減少に対応してコンパクト化を進めるのか、
 という選択の問題なのです。



「コンパクトシティを考える②」6/22 京都大学 諸富徹

・戦略的な「縮退」を進めるには、人口が減少する撤退地区の
 住民に、中心部へ移転してもらうケースが考えられる。
・しかし地域に愛着を持ち私有財産を持つ住民から移転同意を
 得ることは極めて困難。トップダウンの移転策は失敗する。
・コンパクト化の障害として、計画の論理は、市場の論理に
 敗北してきた。郊外の広い住宅に住みたいという願望や、
 不動産価格上昇への根強い期待など。
・経済的利害の相違も縮退化への障害。都市の中心部へ
 人・企業・施設を集中させると、周辺部は資産価値の下落、
 社会資本整備の遅れ、公共交通利便性低下などをもたらす
 と受け取られる。一極集中の場合は特に。

(多田コメント)
・今周辺部に住んでいる人に対して、中心部へ移転するように
 働きかけるのは難しいでしょう。現在の都市計画法に基づく
 線引き政策では、住宅などの開発を抑えるという緩やかな手法で
 中心部への移動を時間をかけて誘導しています。
・人口減少、空き家の増加の時代では、不動産価格は上がるという
 前提は通じなくなるでしょう。
・中心部へのインフラ投資を集中的に行なえば、人口密度が
 高まり投資効率も上がるでしょう。しかし、逆に開発を抑え込まれた
 周辺地域の不満は高まります。課税による調整が必要でしょう。



「コンパクトシティを考える③」6/25 京都大学 諸富徹

・「縮退化」政策は、周辺地域からの撤退と
 限定的にとらえるのではなく、都市の新しい戦略として
 規模縮小を図りつつ質の高い成長と生活水準の
 向上を目指す方策と理解すべき。
OECDの報告書「コンパクトシティ政策」によれば、
 メリットは次の3点。
 1 環境とエネルギー効率の改善(移動距離の短縮)
 2 経済成長への寄与(生産性の向上)
 3 市民社会形成への寄与(人口密度で交流の機会)
・縮退化を「中心部VS周辺部」の利害対立にしてしまうと
 合意形成は難しい。生み出された成果を市民が公平に
 共有できる仕組みが必要。

(多田コメント)
・生み出された成果を市民が公平に共有できるための
 基本的な手段は、やはり課税に差をつけることだと思います。
 中心部は税金でインフラ投資を手厚く行うことで、
 不動産価値が上昇します。そこには固定資産税を高く設定し、
 逆に、インフラ投資を抑えて不便な周辺地域は、
 課税額を抑える。中心部で吸い上げた税金で、
 自治体全体の経費を賄っていく、そういうイメージ。



「コンパクトシティを考える④」6/26 京都大学 諸富徹

・放っておけば都市はスポンジ化するので、都市の外延は
 人口減少にあわせて縮退し、内部でスポンジ化しつつある
 空間は利用を促す必要がある。
・再編が進まない大きな理由は私的所有権。空き家や空き地を
 活用しようとしても所有者が土地売買を拒否すれば一歩も
 進みません。
・私有財産制は市場経済システムの根幹ですが、再考せよ。
 「所有が利用に優越する時代」から「利用が所有に優越する時代」
 への移行など。
・「所有権」と「利用権」を分離し、利用権の移転を容易にする
 仕組みの創出。
・空き家の所有者に、地域の維持発展について、住民と同等の
 責任を課す仕組みの創出など。

(多田コメント)
・所有権と利用権の優劣の逆転など、地域限定で特別法を
 制定しても効果的かもしれません。
・空き家を放置して、所有権だけ主張して、民法で定める
 「善良なる管理者」の注意義務を果たしていない人が
 いかに多いことか。
・所有者が「善管義務」をしっかりと果たしていないから、
 倒壊の恐れがある空き家が放置されたり、草が道路まで
 生えて放置されてしまいます。行政が空家を除去するのに
 「補助金」を出す事例もありますが、私は反対です。
 きちんと管理者として責任を果たしている人ではなく、
 放置している人に対して税金から補助金を出すのは
 おかしくないですか。本来、民法では所有権と管理責任は
 一体
のものです。
 むしろ罰金をとるべきです。






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