伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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じぶん時間を生きる

2024-05-14 10:05:35 | 心の時代

 

(はじめに)

 

佐宗邦威 著「じぶん時間を生きる」2023.6 あさま社

「タイム イズ マネー」の教条に疑問を感じ、

「効率を上げ続けなければならない」という呪縛から逃れ、

自分の人生を取り戻すための本。

 

限られた時間で最大の成果を出すためには

仕事の「生産性」を上げる必要がある。

生産性が上がれば余白の時間ができて、

豊かな人生が送れる、はずでした..

 

しかし実際には、

時間を効率的に使おうとすればするほど

逆に仕事は増えていく。

このやりかたでは限界があるのでは?

 

働けど働けど、一向に時間の余裕は生まれません。

まるでエンデが書いた童話「モモ」にでてくる

時間泥棒に時間を盗まれているようです。

 

著者はコロナ禍の在宅勤務を経て

生活観、仕事観、人生観を揺さぶられ、

時間感覚のシフトが起こりました。

本の感想をお伝えします。

 

 

 

(トランジション理論)

 

この本では心理変化の過程を解説するため、

ブリッジスが考案した心理変化過程の理論を紹介。

古い自分から新しい自分に生まれ変わる場合、

まずこれまでの考え方ややり方を終える段階があります。

次に何物でもないニュートラルな心理状態となり、

その時期を経て新しい自分が始まります。

<多田コメント>

トランジション理論については、私は修士研究で読みました。

ブリッジズの原書「トランジション」の和訳よりも、

金井壽宏「働く人のためのキャリア・デザイン」PHP研究所

を読んだ方が理解しやすいです。

通常は左側の円周上の安定期を過ごしています。

転機が訪れた場合の移行期の拡大図が右側の図。

第1段階はこれまでのやり方を終える時期、

第2段階はあいまいなふわふわした状態。

昆虫のサナギのような状態。

第3段階は新しい自分の始まり。

 

著者の佐宗さんは、ニュートラルゾーンの時期には

興味のあることはとりあえず何でもやってみることと、

共通のゴールを持つ人同士のコミュニティに

飛び込んでみることを薦めています。

 

これまでの自分の価値観や考え方を大きく変える時には

このような心理的三段階があるということを知っておくと

過剰に不安を抱えないで済むと思います。

特に過去と未来の中間のニュートラルゾーン期は、

まだ頼るものが無いので不安な時期ですが、

生まれ変わるために必要な段階なんだと、

理解しておけば気持ちが落ち着くと思います。

 

 

 

(感じることから始める)

 

自分の内的な変容が進むと、

だんだんとワクワクすることに出会ったり、

ワクワクすることに時間を使えるようになる。

そんな時は自分のビジョンを具体化するチャンス。

 

ビジョンは新しく何かをひねり出すのではなく、

自分の潜在意識の中にあるモノを開放する作業に近い。

それ故、考えるのではなく「感じる」ことから始める。

<多田コメント>

自分は何がしたいのか、何が好きなのかは

自分との深い対話の中からしか見つけられないのですね。

 

 

 

(他人時間からじぶん時間へ)

 

これまでの他人と自分を比較して生きることから、

自分の尺度で生きるように変わる。

他人との関係から生まれる「To do」をこなす生き方から

自分の内的な感情を頼りに、やりたいことに集中し、

それ以外を捨てる生き方。

<多田コメント>

ブログ「還暦を迎えて」で書いたのと同じですね。

やるべきことはしつつも、

不要なことや不快なことにはできるだけ捨てる。

 

 

 

(クロノス時間とカイロス時間)

 

ギリシャ時代には時間は2通りあるとされていました。

クロノス時間とは、時計により定量的に計れる時間。

過去から現在、未来へと直線的に流れる。

 

カイロス時間とは、身体で感じる主観的な時間。

「今、ここ」に意識を向けた時間意識。

瞑想などマインド・フルネスは今ここに意識を向けます。

 

スマホは麻薬のように僕らの注意を引く。

次なる刺激を求めてスクロールしタップする。

しかしこれらはすべて他人発の情報。

このような生活には自分の体が何を感じているのか

自分の心が何を感じているのか

じっくり意識を向ける「余白」はない。

そこには「じぶん時間」は存在しない。

<多田コメント>

スマホ中毒になっていないか、自覚が必要。

例えば、掃除・洗濯などの家事をしているときも、

「いやだな、めんどうだな」と思い続けていると

時間が長く感じます。

逆に、「今、ここ」に気持ちをきちんと合わせられれば

時間は意外と早くたつように感じます。

 

 

 

(タイム イズ マネーは本当か?)

 

時間をいかに効率的に使うかという本はたくさん出ている。

しかし生産性を上げるゲームを続けていると

心身が耐えられなくなる。

適度に休息する方がアイディアがひらめきます。

生産性を突き詰めすぎると想像力が枯渇します。

 

 森の中を散歩する

 朝、仕事を始める前に、一杯のコーヒーを飲み、瞑想する

 今、過ごしている時間を感じる

 そして、体が発している声を聞く

 自分に何かが降りてくるのを待つ

 

意識の向け方でその時間は豊かな時間になる

見田宗介「現代社会はどこへ向かうか」から、

21世紀に持っていくべき3つの考え方

 1 ポジティブ

 2 多様性

 3 コンサーマトリー

 

コンサーマトリーとは、現在を楽しむという意味。

現在行っていることは、未来のための「手段」ではなく

「行為」そのものを楽しむ姿勢。

今行っていることが効率的かどうかを考えてしまうのは

20世紀に優勢だった価値観の遺物。

「今、ここ」を楽しむことの蓄積で、

結果的に未来が生まれるという考え方。

これが「自分時間を生きる」。

<多田コメント>

資本主義・カネもうけ第一主義の弊害は

際限のない効率性の追求。

その結果、自分の心まで食われます。

こんなにいそがしいのに、いつもイライラしている。

いったいなんのために自分は生きているのか?

たくさんの仕事を「効率的」にこなせばこなすほど、

空いた時間にはもっと別の仕事が入ってくる。

例えるなら、大量にある家の荷物を

たくさんの棚を作って全て収納しようとするようなもの。

二度と使わないものや、持っていることを忘れたものなど

不要なものを全部抱えてさらに増やしつつ一生を送るのか?

この問題は「収納術」では解決しません。

「コンマリ」さんが言うように、まずは不要なものを

思い切って処分し、身軽になることから始めましょう。

自分にとって本当に大切なものや、したいことが見えてきます。

そして空いたスペースやできた時間には、

あら不思議、つぎつぎと幸運が舞い込んできます。

詳しくは「人生がときめく 片づけの魔法」をお読みください。

 

 

(参考ブログ)

多田ブログ名作劇場その10(人生) 人生について考えるブログ3本

資本主義の次に来る世界

 

 

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