
(通夜式)
高知大学サイクリング部の先輩、
ヤマネさんがお亡くなりになり高知へ行ってきました。
ヤマネさんは在学中にランドナー(旅行用自転車)で日本一周。
ご卒業後は、高知市内で自転車店を開業。
後輩にオーダーメイドの自転車を組んでくださってました。
式には各地から大勢の後輩が集まり、
地元の自転車クラブの皆さん、ご縁のあった方が、
大勢参加されました。
故人の意向で、式は無宗教。
そして、サイクリングに行くときのように、
できるだけサイクリング・ウエアを着て、
自転車に乗って式場へ来て欲しいとのことでした。
お通夜式では4割くらいの出席者が、
サイクリング・ウエアでした。
祭壇には愛用の自転車が2台飾られ、
花で山々と、登っていく道が表現されていました。


白木の棺に、みんなの手で自転車メーカやブランドの
ステッカーを所狭しと貼りました。
こんな派手な棺は初めてでしょう。
私は弔辞を持参しましたが、ご遺族に相談した結果
告別式はすでに時間がいっぱいいっぱいだったので、
お通夜式でお別れの言葉を述べさせて頂きました。
ヤマネさんとの思い出を振り返ると、
どうしても土佐弁で思い出されます。
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おわかれの言葉
山根博敏さん、たいへんお世話になりました。
訃報を聞き、私は心の中にぽっかりと大きな穴があいています。
ヤマネさんとは、私が高知大生だった時に
ランドナーを作ってもらったのがご縁でお付き合いが始まりました。
35年以上昔になります。
ヤマネさんは、高知大サイクリング部の先輩として、
私たち後輩のことをいつも温かく見守り、お付き合いしてくださいました。
ありがとうございました。私にとっては兄のような存在でした。
今のお店は、土佐道路沿いに立派なビルが建っていますが、
以前はもっと鏡川近くのこじんまりとした借家でした。
お隣は電気屋さんだったように思います。
当時のお店の営業は夜の7時くらいまでだったでしょうか。
でも、いつも夜遅くまで店の奥の作業場で、
博敏さんはお仕事をされていました。
バイト帰りに、ヤマネさんの店の明かりが見えると、
半分下ろされたシャッターをくぐり、
「こんばんは」と寄らせてもらいました。
ヤマネさんは、ヤカンでイモ焼酎の「おはら」を温めて、
湯飲みで飲みながらスポークを組んでいらっしゃいました。
私にもついでくださったので、
アルコールの湯気に何度もむせ返りながら飲みました。
二人して自転車のことや、世間のこと、人生のことや、
いろんなことを話しましたね。
博敏さんはこんな風におっしゃっていました。
「今は仕事や家庭があって、毎日しばられてるけんど、
ふっと明日にでも、ランドナーに荷物を積んで、日本一周に旅立つような、
そんな気持ちを持ち続けていたい。」
日々の生活に追われる中でも自分の心の自由さは失いたくない、
それが自転車や、旅や、人生に対する山根さんのポリシーなのだと感じました。
博敏さん、きっと今は自転車で天国へ旅立つ準備をされているのでしょう。
神様は驚かれますよ。
「おんしゃあ、自転車で来よったがか!」
極楽までは十万億土といいますので、走りでがあるでしょう。
天国に着いたら一つお願いがあります。
高知大学サイクリング部・KUCC天国支部を設立してください。
きっと天国は土佐のように、
山あり、海あり、清流ありの、すばらしいところでしょう。
じきに私たちもそちらへ参ります。みんなで楽しく走りましょう。
高知大学サイクリング部後輩 多田稔
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通夜式の後、高知大サイクリング部OB・OGを中心に
30名以上の方が近くのお店に残り、閉店まで
ヤマネさんとの思い出を語らいました。
悲しい気持ちをしっかりと共有できました。
(告別式)
告別式は翌日の午後でしたので、
可能な方は午前中に自転車で集まって
仁淀川方面へ追悼サイクリングを実施。
告別式でも3~4割くらいの方が
サイクリング・ウエアで参加。
自転車の絵が描かれた大量のポストカードに
思い思いの言葉を書いて、棺へ入れました。
霊柩車を見送るときは「ホイール・アーチ」。
自転車の車輪をはずして両手で掲げて、
両側から車輪のトンネルを作り、
車を送り出しました。
高知大学サイクリング部の行事では
ストームは欠かせません。
参加者全員で肩を組んで輪を作り、
中央にリーダーが入って音頭を取り、
「豪気節」を10番まで全員で大声で歌いながら
うねるように飛び跳ね、踊ります。
できることなら、ヤマネさんを送る時、
ストームをやりたいと思っていましたが、
葬式ですし、会場は葬儀場なので、
良識ある大人としては、あきらめていましたが、、、
霊柩車と御家族を送り出した後、駐車場でストームを決行!
ばかやろうな連中です。ご近所の皆さんすみません。
(リーダーの巻頭言)
感激あれ 若人よ!
感激なき人生は 空虚なり
汝らが前に
高く高く理想を掲げよ
さすれば道は 坦々として
汝らが前に 開けん
ただ 歩めば至る アイン、ツバイ、ドライ!
一つとせ 一人(ひとり)のあの娘(こ)が恋しけりや
潮吹く鯨で気をはらせ そいつぁ豪気だね
二つとせ 故郷(ふるさと)忘りょか若き身に
桂の浜に星が飛ぶ そいつぁ豪気だね
三つとせ 南の国は土佐の国
革命と自由の生れし地 そいつぁ豪気だね
四つとせ 善し悪し騒ぐは野暮な奴
飲めや歌へやはね廻れ そいつぁ豪気だね
五つとせ 意気は尊い血は燃える
黒い女にゃ慕はれる そいつぁ豪気だね
六つとせ 無為にや過さぬ四つとせの
元気は御国(おくに)の宝なり そいつぁ豪気だね
七つとせ 泣いちゃいけない気が弱い
二十世紀に吠ゆる身ぞ そいつぁ豪気だね
八つとせ 優しい心も無いぢゃない
浦戸(うらと)の浜に鳴く千鳥 そいつぁ豪気だね
九つとせ 比の浜寄する大濤(おおなみ)は
カリフォルニヤの岸を打つ そいつぁ豪気だね
十とせ 時は永劫(えいごう)ぢゃ常夏の
土佐の男の胸の意気 そいつぁ豪気だね
みんなの声が天に届いたと思います。
ヤマネさんを送る時にやりたかったことはすべてできました。
思い残すことはありません。
先輩後輩、関係者のみなさん、ありがとうございました。