
(30年国債の入札でした)
本日行われた財務省の30年国債の入札で、
めずらしいとされる事務トラブルが発生。
市場はとくに動揺はしていないようです。
(財務省入札カレンダーはこちら)



(1月10日16時ロイター)
ロイターは16時には次のように報じています。
30年債入札をこなしたことで、円債市場にはひとまず安堵感が感じられる。
「しっかりと絶対水準が確保された超長期債への強いニーズが、
今後の増発議論をサポートするのではないか」(国内金融機関)という。
具体的な国債発行計画は今後の財務省と市場参加者との議論を待つことになるが
「今後の増発規模次第だが、30年債は現行の1回7000億円の年8回発行から、
5000億円の毎月発行に増額される可能性も否定できない」
(岡三証券・債券シニア・ストラテジストの鈴木誠氏)との見方もある。
(1月10日17時のブルームバーグニュース)
次のように報じています。
1月10日(ブルームバーグ):債券先物相場は小幅に上昇。
円安・株高や30年債入札の低調な結果を受けて
売りに押される場面もあったが、
割安感からの投資家の買いに支えられた。
(中略)
財務省はこの日、表面利率1.9%の30年利付国債(37回債)入札を実施。
事務トラブルのため、結果の発表が午後1時18分前後と
通常の午後零時45分より遅れた。
入札結果によると、最低落札価格は98円15銭と市場予想を10銭下回った。
小さければ好調とされるテール(最低と平均落札価格の差)は16銭となり、
2011年6月以来の水準に拡大。
投資家の需要の強さを示す応札倍率は3.52倍と5カ月ぶりの低水準となった。
RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、30年債入札について
「利回りが2%に乗ればと思っていたが、それを下回り、
多少需要が減退したもよう」だと指摘した。
(1月10日18時のロイター)
ロイターは18時には次のように報じています。
財務省は10日、きょう入札を実施した30年利付国債の
入札結果の発表時刻を予定時刻から遅れると発表していたが、
通常より30分程度遅れで再度公表された。
修正された部分は案分比率・応札倍率で、
再度公表された案分比率は29.4701%(修正前25.1655%)、
応札倍率は3.52倍(同3.53倍)。
遅延理由を財務省は入札事務トラブルの発生としていた。
財務省が午後零時45分に発表した30年債入札結果(利率1.9%)で、
最低落札価格は98円15銭(最高落札利回り1.999%)、
平均落札価格は98円31銭(平均落札利回り1.990%)となった。
最低落札価格と平均落札価格の開き(テール)は16銭と前回(5銭)から拡大し、
2011年6月以来の高水準。
また、応札倍率は3.53倍と前回(4.08倍)を下回った。
市場では、入札結果について「やや弱め」(国内証券)との評価が出ている。
(感想)
安倍政権の積極的な財政出動宣言を受けて、
今後は国債が大量に発行されることが予定されています。
国債は発行時は財務省の入札で価格が決まりますが、
それ以外の時でも市場で有価証券として取引されます。
価格は需要と供給で決まりますので、
今後大量に国債が発行されると、だぶつく恐れがあります。
安倍政権となり早速株価が上昇し始めました。
今までは国債に投資していた資金を、
株へまわすようになれば、国債の需要が下がります。
株価の上昇に比べて、国債の金利が見劣りすれば売れませんので、
国債の金利も今後は上昇する可能性があります。
安部政権が目指す金融緩和は、
景気を刺激して、物価上昇を目指していますが、
国債の過度の金利上昇は財政の命取りです。
また、大規模な公共投資を行うためには、
大規模に国債を発行して、買ってもらわなければなりませんが、
大量に発行すればするほど、需給バランスが崩れ
国債がだぶつく危険性も増します。
1年以内の短期の国債は、
不利になれば売るのも比較的容易ですが、
超長期の国債を持ってしまうと、売るに売れない事態が起こる
恐れがあります。
それゆえ、
昨日の30年国債の入札は、市場関係者は
注意深く見守っていて、ひとまず安堵したのだと思います。
それにしても、よりによって
これほど関係者が神経を尖らせていた入札で
財務省が「事務的トラブル?」で、通常の時間に入札結果の発表をできず、
第二非価格競争入札の実施も遅れたとは、肝を冷やしました。