伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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ひきこもりとは

2013-04-22 18:35:14 | 教育・PTA・児童福祉
「ひきこもり」とは何が問題なのか?
どのような支援が必要なのか、あるいは必要ないのか検討しています。



精神科医 斉藤環(『社会的ひきこもり』平成10)
「ひきこもり」の定義
「20代後半までに問題化し、6ヶ月以上、自宅にひきこもって社会参加しない状態が
  持続しており、ほかの精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの」
 



10代・20代を中心とした「ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン

厚生労働省が平成15年に公表したガイドラインでは次のように述べています。

 「ひきこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではありません。
 「ひきこもり」はさまざまな要因によって社会的な参加の場面がせばまり、
 就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている
 状態
のことをさします。

 これは,なにも特別な現象ではありません。何らかの理由で、
 周囲の環境に適応できにくくなった時に、ひきこもる」ということがありえるのです。

 このような「ひきこもり」のなかには、生物学的な要因が強く関与していて、
 適応に困難を感じ「ひきこもり」をはじめたという見方をすると
 理解しやすい状態もありますし、逆に環境の側に強いストレスがあって、
 「ひきこもり」という状態におちいっている、と考えた方が理解しやすい状態もあります。

 つまり、「ひきこもり」とは、病名ではなく、ましてや単一の疾患ではありません。
 また、「いじめのせい」「家族関係のせい」「病気のせい」と一つの原因で
 「ひきこもり」が生じるわけでもありません。
 生物学的要因、心理的要因、社会的要因などが、さまざまに絡み合って、
 「ひきこもり」という現象を生むのです。

 ひきこもることによって、強いストレスをさけ、仮の安定を得ている、
 しかし同時に、そこからの離脱も難しくなっている、「ひきこもり」は、
 そのような特徴のある、多様性をもったメンタルヘルス(精神的健康)
 に関する問題ということが出来ましょう。



ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン

(厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業(平成19年)

 2-1 ひきこもりの定義
 このガイドラインは、ひきこもりを以下のように定義しています。
 「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,
 家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6 ヵ月以上にわたって
 概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)
 を指す現象概念である。

 なお,ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づく
 ひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とする
が,
 実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くない
 ことに留意すべきである。」

 ひきこもりは子どもから成人までの広い年齢層に生じる社会現象の一つをあらわす
 用語であり、概念です。ひきこもりは一つの疾患や障害にのみ現われる症状と
 とらえるべきではなく、様々な疾患の症状として、また様々な葛藤の徴候として
 あらわれる。

 ひきこもりの支援を考える際に、支援者が心得ておかねばならない
 重要な留意事項があります。それは、ひきこもり状態に在る子どもや青年が
 すべて社会的支援や治療を必要としているわけではないという点です。


 家族がそのような生き方を受容しており、当事者もその考えであるため
 社会的支援を必要としていない事例の場合、少なくとも当面は支援を要する
 ひきこもり状態とはならないということを承知しておくべきでしょう。

 一般的に支援を必要とするひきこもり事例の中心は、子どもであるにしろ、
 青年あるいは成人であるにしろ、ひきこもりが長期化し社会生活の再開が
 著しく困難になってしまったために、当事者をはじめ家族が大きな不安を
 抱えるようになった事例です。


 2-8 ひきこもりを支援対象とする理由
 支援を必要とするひきこもりの中心にあるのは、子どもであれ、青年あるいは
 成人であれ、社会的な活動からの回避が長期化し、社会生活の再開が著しく困難に
 なってしまった事例です。このような事例では、家族が見通しの立たない事態に
 大きな不安を抱えるようになっています。また、家庭内暴力や退行、不潔恐怖や
 手洗い強迫などが深刻化している事例、幻覚や妄想といった精神病症状など、
 何らかの精神障害の症状が顕在化している事例では、家庭内の生活や人間関係さえも
 危機に瀕している場合もあります。いずれの場合も、精神保健、福祉、医療などから
 の支援を必要としています。
 ひきこもりの長期化とは、年齢相応の社会経験を積む機会を失うことですから、
 すでに同世代の大半が年齢相応の社会経験を積んで次の課題に向いあっている
 状況に合流し、一緒に進みはじめることは容易なことではありません。
 再チャレンジを支える仕組みと支援者が必要なのです。


 2-9 ひきこもりの長期化とその予防について
 ひきこもりの長期化は当事者の身体的ならびに心理・社会的な「健康」に
 深刻な影響を与えます。生物的・身体的には、衛生面、栄養面での問題や、
 身体疾患、あるいは使用しないことによる身体的機能の低下などが懸念されます。
 また心理・社会的には、年齢相応の学習や社会的体験の機会を逃すだけでなく、
 学校や社会の通常の活動に再び参加するチャレンジの場を提供される機会が
 徐々に減っていき、さらにはひきこもっていた時期が就労での障害となりやすい
 ことなどもあり、長期化はひきこもり状態から社会参加への展開を妨げる
 高い壁を形成する可能性があります。そうしたハンディキャップはしばしば精神的
 な健康を損なわせ、何らかの精神障害を発症するストレス要因の一つとなる
 可能性があります。
 支援者はひきこもりの長期化がもたらす困難な事態をよく理解しておく必要があります。
 ひきこもりの長期化を防ぐための最も重要な視点は、当事者の来談・受診を
 できるだけ早く実現するということです。そのためには、ひきこもりの状態
 となっている場合に提供されている身近な地域のサービスの一覧を普段から
 住民向けに広く周知しておくこと、家庭への訪問を行うアウトリーチ型支援を
 タイミングよく開始すること、家族がひきこもりの本人に来談・受診を説明
 しやすくなるようなアドバイス、あるいはガイダンスを継続することなどが
 必要です。

 (多田感想)このガイドラインの中では、
 ・「ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づく
   ひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とする」
 ・「支援者が心得ておかねばならない重要な留意事項があります。
   それは、ひきこもり状態に在る子どもや青年がすべて社会的支援や
   治療を必要としているわけではないという点」

  等述べています。精神疾患による症状としての「引きこもり」ならば、
  医療の対象として治療されるべきでしょう。
  しかし、いわゆる「ひきこもり」の方は、精神病とは違うと一線を引いた上で
  議論をしているわけです。

  また、本人も家族もその「状態」を受け入れて、平穏無事に生活しているならば
  社会的支援や治療を必要としていない場合もあることを、
  援助者は特に留意しなければなりません。

  しかし、上述の2-9では、

 ・「ひきこもりの長期化を防ぐための最も重要な視点は、
   当事者の来談・受診をできるだけ早く実現するということです」
  
  と述べられており、もし支援者が2-9の記述にある、
  「できるだけ早く」にばかり留意してしまうと、
  精神病でもなく、本人も家族も望んでいないのに、
  他人が介入していく事態にもなりかねません。

  多様な価値観や多様な生き方が肯定されるならば、
  社会復帰することが「善」である、という画一的な価値判断を
  押し付けることは、適当でないと思います。


 
(引きこもり方は、いろいろです)

 引きこもりというと、まったく外に出られないかというと、そうではないようです。
 程度は人によってさまざまで、全く自宅から出られない人もいれば、
 買い物などに外出する人もいれば、自分の趣味に関する用事のときだけ
 外出する場合が多いとされる「準ひきこもり」の場合もあるようです。
 また、近所のコンビニエンスストアなどには出かける人もいるようです。

 買い物や、趣味の用事に出かけられるならば、
 その他の時は自宅や自室にこもっていたとしても、
 本人はそれほど困っているとは思えません。
 このような場合は他人や社会の支援は、あまり必要ないでしょう。

 本日は、ここまでです。


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