畑を掘り、木を彫り、石を刻り、の自然人!

退職後、自分に気ままな課題をちょっと与えて遊んでいます。

李白・春夜 桃李の園に宴するの序

2016-07-07 20:16:13 | 漢詩の世界


李白(701-762)の文章で印象に残る言葉があり、篆刻作品にしました。

夫れ天地は 万物の逆旅(げきりょ)にして、光陰は、百代の過客(かかく)なり。
而して浮生は夢の若(ごと)し、歓を為すこと幾何(いくばく)ぞ。
古人 燭を秉(と)りて夜遊ぶは、良(まこと)に以有(ゆえあ)るなり。

いったい天地は万物が仮に身を寄せる宿であり、時間は永遠に歩み続ける旅人である。
そしてはかなく浮かぶ人の生はさながら夢のごとく、歓楽を尽くすときがどれほどあろうか。
古人が灯火(ともしび)を手にして夜も遊ぶと詠っているのは、まことにもっともなことだ。
(興膳宏氏訳)

芭蕉の「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人なり」
井原西鶴「されば天地は万物の逆旅、光陰は百代の過客、浮世は夢まぼろしといふ」

「逆旅」は「旅人を逆(むか)える」の意で宿屋のこと。

4文字熟語に「秉燭夜遊」という有名なことばもあります。

人生は長いようで短い、だから限られた人生を楽しもう、という文はいつの時代にも人の心に
響きます。

「あそぶ」という言葉の解釈も人さまざまで、自分の気持ちに自由に従えば良いと思います。
李白の文章を読み、ぜひこの言葉を篆刻作品で表現しようと試みました。
これも小生にとっては「あそび」の一種です。

写真の「萬物逆旅」の書体は金文で全日本篆刻連盟展に出品したものです。