畑を掘り、木を彫り、石を刻り、の自然人!

退職後、自分に気ままな課題をちょっと与えて遊んでいます。

甲州印伝・・・日本の伝統

2016-09-29 19:33:05 | 日記


篆刻を楽しんでいるせいでしょうか、「印」という名がつくとピッピッと気持ちが反応します。

名前は知っていたのですが実物を購入しましたのは初めて。甲州印伝です。
印傳屋は1582年(天正10年)創業といいいますから驚きです。

鹿革に漆付けする独自の技法で、見るからにシック、そして耐久性抜群です。
小銭入れをペアで購入、これを車のキーホルダーにピッタリサイズで愛用しています。
(ワンプッシュ・エンジンスタートタイプですのでとても重宝)
車に乗る度に手に触れ、使用しますが何だか愛着が湧きます。

「いんでん」とは印度伝来を略して印伝となったとか。

戦国時代、鎧(よろい)や兜などにも使用されたそうです。

時代は変わり、印伝細工所も現在では印傳屋だけ頑張っておられるわけです。

日本の伝統工芸品も購入するひとがいてこそ存続することになります。
名古屋では直営店が御園座(現在建て替え中)のすぐ近くにあります。
まだ名古屋店は行ったことがありませんが、機会あれば立ち寄りたいと思っています。

他にも日本の伝統産業品は色々あるのでしょうが。

リオのオリンピックが終わって・・・五輪の書

2016-09-26 17:01:46 | 日記


リオのオリンピック、パラリンピックも成功裏に無事終了いたしました。

オリンピックの五輪に因み、宮本武蔵の「五輪の書」についてというのはダジャレみたいですが。

宮本武蔵は生国・播磨の武士で新免武蔵守藤原玄信(しんめんむさしのかみ・ふじわらのはるのぶ)と
申すそうです。
戦国時代末期1582年?1584年?の生まれで、小早川秀明も1582年?の生まれになっています。

13歳から29歳まで60余度勝負し、いちども勝ちを失うことはなかったと言われています。

ここでは武蔵の詳しいことを記述する気持ちはありませんが、五輪の書に見える4文字熟語をひとつご紹介です。
鼠頭牛首」
鼠のように細かいことに気を配るありようから、牛のように大きく広いことを見てとるありようへ、と
心のありようを転換させること、とあります。
「五輪の書」の「火」編にあります。
なかなか含蓄がありそうです。

剣の道として
*邪(よこしま)なきことをおもうところ
*道の鍛錬するところ
*諸事目利(めきき)を仕覚ゆること
*眼に思えぬところを悟って知ること
*役に立たぬことをせざること
*ものごとの良否・真贋を見分けること
*心の持ちようは滅(め)らず、上(か)らず、巧まず、怖れず、直(す)ぐに、広くして意の心軽く、
 心(しん)のこころ重く、心(こころ)を水にして折にふれ、ことに応ずる心なり、(以下略)
   (注)「滅らず」は弱気になって委縮することも、浮かれることもなく、という意

「五輪の書」は軍記、軍法、儒道、仏法などの古語を一切参考にせず、武蔵の言葉で書かれています。

また、別のことばですが
大工のたしなみよく、切るる道具を持ち、すきすきに研ぐこと肝要なり。
その道具をとって書棚、御厨子、机、卓、行灯までも達者にするところ、大工の専なり。
よくよく吟味あるべし。

円空仏で鑿を頻繁に使用しますが最近はちょっとサボって反省です。

五輪の書は比較的短編で現代語訳も添えてある本もあります。

武蔵は二刀流、小生は篆刻と円空仏の2刀流、何の関係もなく、比較するレベルではありません。

何事もほどほどに・・・

2016-09-19 19:56:57 | 日記


約4分の3世紀を生きてきますと、達観まではまいりませんが考え方も変わり、生活のペース配分がシフトダウン
してきます。

何事も「ほどほど」に。

飲酒量はほどほどを超えて最盛期の70%ダウン。会話をゆっくり楽しむ程度で2次会、3次会は皆無。

歩くスピードは現役サラリーマンに比べ、40%ダウンの足取り。「よたよた」か「ほどほど」か。

商品購入の意欲も、電化製品・衣料品では格別の理由なければあまり無くなってきました。
高齢者向けのほどほどの欲しい商品があれば別ですが。

趣味の領域は現役時代に比べ、時間的にも大幅に増加。現役時代は趣味どころではありませんでした。

スポーツではゴルフもほんの時々でスコアへの執着心も、ほどほどに。
登山も体力的にほどほど超えて当面中止。

畑仕事の作業ペースは5年前に比べ20%ダウン。作業時間は体力に合わせてで。

時々の晩酌は「ほどほど」のつまみを探すのも楽しみ。多量は食べれず少量でも味わったことのない美味を求めて。

趣味の作品作りも拙速を戒めて数年前より作業スピードは30%ダウン、「ほどほど」のスピードで。

午睡は数年前は全くなかったため急増し、ほどほど超えて爆睡も。

スーパーでの感想。豆腐が店によっては1丁、30円前後。これはやり過ぎ、メーカー苛めもほどほどに。

これもスーパーでの経験。詰め放題で想像を超える詰め方の人も。なにごとも「ほどほど」に。

記憶力の能力は数年前に比べ、30%ダウン。ほどほど超えて人に話せない失敗談もあって。

TVではプライベートな話題で俎上に上がることも頻繁で、特に本人や家族の病状などの放映は「ほどほど」
でないとほんとお気の毒。

しかし「ほどほど」にも例外ありです。
篆刻は実用面(落款印)と芸術面(公募展など)の両方の作品に納得できる作品を、と思っています。
落款印では最小は8ミリとか、更に10ミリから30ミリ程度四方の石で制作します。
封緘印、引首印、住所印とか、更に周辺の知識獲得も必要で、篆刻は結構幅が広く、面白い分野です。
円空仏制作でも目標は自分で納得できること、に尽きます。

「ほどほど」の基準はひとそれぞれですが・・・

篆刻の殿堂・西泠印社

2016-09-14 20:27:02 | 篆刻



つい最近、G20サミットが中国・杭州市で開催されました。
杭州市と申せば風光明媚な西湖が超有名です。
西湖10景といわれる美しい場所があります。
美しいと申しても、行って見なければ実感はできないのですが・・・

この美しい西湖の畔に篆刻界の殿堂といわれる西冷印社があります。
1904年に開設され、2003年には西冷印社100周年祭が開催され、生憎雨でしたが末席に坐しておりました。
西冷印社は「金石を保存し、印学を研究する」趣旨で設立されました。

金石は以前にもこのブログにアップしていますが約2,200年~3,000年ほど前の青銅器に刻された文字です。
金文といっても約800年の開きがあり、文字の形は大きく変化しているようです。
青銅器は主に祭器などに使用されたようです。
この「金文」はかなり解読が進み、現在では篆刻用文字に結構使用されています。

長い歴史を経て、上海で西冷印社書店が開設されて印譜の出版や、印泥(いんでい)-朱肉のことーを製造するなど
世間に印文化が広まりました。
書道用品店で印泥を購入しますと、「西冷印社製」とされている場合があります。

従って西冷印社は金石の研究と併せて、出版事業や印泥の販売もしていることになります。
1999年には隣接して「印学博物館」が建設され、歴代篆刻家の作品も並べられ(印材も)篆刻の歴史を学ぶ
こともできます。

エピソードですが1921年、日本の彫刻家・朝倉文夫が篆刻家で西冷印社社長だった呉昌碩の銅像を造って贈って
います。
この西冷印社の日本人の名誉社員は河井荃蘆・小林斗盦・梅舒適・今井凌雪・中島藍川・中村淳・尾崎蒼石・
関正人・平田蘭石氏など、かなりの人数が居られます。

そういえば岐阜市は杭州市と姉妹提携しています。

中國へ再び行くことができるなら杭州を希望したいですね。
西湖の湖上遊覧も気分爽快ですし湖の畔を散策することや歴史ある店を覗いてみたいものです。
杭州はシルクやお茶でも有名です。
蘇東坡もかってお役人として居住されています。
中國は一般的には詩情に富む場所は限定されますが西湖はまさに詩情たっぷりです。

白川 静先生

2016-09-12 09:11:14 | 篆刻


今日は「白川静先生」についてです。
白川静先生は1910-2006年。たったひとりで3部作の字書を編纂。
驚くことに74歳から86歳に掛けての出版です。
勿論、資料の準備・整理にはかなり以前から時間を費やされていることでしょうが。

白川 静先生の著作出版では平凡社が全面的にバックアップされています。

篆刻をする場合、文字の字源を知らねばなりません。

日本は文字の使用に漢字・かな・カタカナ・場合により英語表記と多彩になっています。
漢字には中国から伝来された文字と国字といわれる日本製漢字があります。
これらを特に意識することなく日常的に駆使しています。

白川静先生は漢字の字書に3分野に分けて編纂されています。
「字統」字源の解明を試みた書。先生の紹介文によれば字源の学は原初の観念も含まれているとされています。
 例えば「風」はもと「鳳」の形に書かれ、鳥形の神であった。
 四方にそれぞれ方域を司る方神が居り、その方神の神意を承けて、これをその地域に風行し伝達するものが「鳳」
 すなわち風神であった。(以下略)

「字通」は「字統」における字源の解明、

「字訓」漢字の訓読みが日本に定着する経緯を検討した古語辞典

白川静先生の評価は申すまでもないことですが「白川静読本」で白川静先生を語る、を読んでいますと先生への
尊称に様々あることに気がつきます。
下記のお名前は敬称略にて。
全部で47名の方が白川 静先生について語っておられます。そのごく一部を。肩書きは2010年現在。

 吉本 隆明(思想家)         白川さん
 梅原 猛(哲学者)          白川静氏
 宮城谷 昌光(作家)         白川静博士
 浅田 次郎(作家)          白川静先生
 紀田 順一郎(評論家)        白川氏
 石川 九楊(書家)          白川静
 荒俣 宏(博物学)          白川静先生
 五木 寛之(作家)          白川さん
 松岡 正剛(編集工学研究所)     白川さん
 日野原 重明(聖路加国際病院理事長) 白川静先生
 岡野 玲子(漫画家)         白川先生
 小山 鉄郎(共同通信編集委員)     白川 静さん
 溝上 瑛(朝日新聞編集委員)     白川
 石牟礼 道子(作家・詩人)      白川静先生

白川 静先生についての印象談で、こうした尊称の呼び方から先生との距離感や想いのようなものが浮かんでくるようです。
写真は「字統」からです。