エリック・オルセナ氏のレポートをご紹介します。首題は綿ですが、それにまつわる物語です。
化石の贈り物と鉱物の贈り物はある日、尽きてしまう。
太陽と人の活動によって毎年のように再生する植物の贈り物。
綿は植物の中で豚のように捨てるところが何もない。
まず繊維、水にも湿気にも強く汗にも傷まない。
ぶつぶつと不満も言わず、1000回洗われ、1001回アイロンをかけられ、非常に良く染まり、長所があまりにも多い。
合成繊維が市場を凌駕しても(約60%)木綿は抵抗して40%を占める。
他にも医療用ガーゼ、特殊な紙、ローソクの芯、食用オイル(綿実油)、石鹸、肥料、火薬(グリセリン)、そして
収穫のあと、綿の茎と枝は家畜の寝床になる。
栽培にはそれほど水を必要とせず、北緯37度と南緯32度に挟まれた90ケ国以上で栽培されている。
其の内、中国・米国・インド・パキスタンで全世界の70%を占める。
綿に関わっている企業は栽培業者、布地卸売業者、機械メーカー、種子の生産業者、殺虫剤の開発企業、製糸会社、
繊維会社、遺伝子組み換え会社など。
しかし綿花を採る労働者は苛酷な労働を強いられている。想像を絶する低賃金。
このことは綿製品を購入する人には全くわからない。
綿花市場を牛耳っているのはカーギル、ラインハルトなど超大手。
経済とサッカーの違いは審判。サッカーは皆が見ているが、経済活動の闇は一般のひとには分からない。
消費者はより安い商品を求めますが逆に生産者はより一層厳しい経済状況に置かれるということでしょうか。
スーパーでも豆腐1丁が30円とか40円、生うどんが20円とか30円で売られていることがあります。
安価品の販売の陰にはいろんな苛酷な現実が存在する場合もあることでしょう。