

京都御所の近くに抹茶碗で有名な「楽美術館」があります。
そして滋賀県守山市には「佐川美術館」があり、楽吉左衛門館があります。
佐川美術館は竹中工務店の設計建築でそのデザインはシンプル&モダンで高い評価を
得ています。
平山郁夫館、佐藤忠良館、そして楽吉左衛門館の3館で構成されています。
小生、抹茶碗のことも無知で専門外であり軽々しくここにご紹介することは軽率とは思いつつ・・・
茶道をなさっている方なら楽家のことは勿論先刻ご承知。
千利休の抹茶碗は初代・長次郎が、そして現在は第15代、楽吉左衛門氏が後を継いで
おられます。
楽家の抹茶碗はロクロを使わず、「手づくね」という独特の技によるものです。
楽家の抹茶碗と篆刻の共通点とは?
抹茶碗はその小さな碗の中に小宇宙がある、とされています。
片や、篆刻も僅か数センチ四方の印材の中に小宇宙があるとされています。
篆刻では「方寸の世界」といいますが1寸は3センチ足らずですがその中に今から2千年以上も
前の漢字を刻す小宇宙です。
抹茶碗は抹茶碗という枠をはみ出すことは出来ません。
第15代・楽吉左衛門氏の談話をうろ覚えですが次のような主旨の言葉があったと記憶して
います。
伝統ばかりを追いかけると模倣になり、「守破離」の「破」ばかり考えていると「破」ではなく
目先の新しさを追いかけ作品のエネルギーが落ちる。
伝統と創造の中の葛藤、小生など想像もできない世界です。
楽家は一子相伝の芸術です。
篆刻も「漢字」を刻す、という世界からはみ出すことは出来ません。
許されるのは「甲骨文字」「金文」「篆書体」という大きく分けて3書体から選ぶことです。
そして「字法」「章法」「刀法」の三法を習熟せねばなりません。
(ここでは詳細割愛)
しかし一子相伝ではありませんので心理的なストレスは比較の対象外です。
抹茶碗は釉薬の技法が使えますが篆刻は主に朱だけです。
「白文」か「朱文」の選択肢程度です。
かなり以前に楽美術館で楽家代々の抹茶碗を拝見し、佐川美術館でも拝見しました。
佐川美術館では今年9月10日まで記念展が、東京国立近代美術館では5月21日まで
特別展が開催されているようです。
そしてこの5月3日のNHKラジオ深夜便で楽吉左衛門氏が午前4時台に出演されます。
詳細はそれぞれのH.P.でご確認ください。
「小さな宇宙」
素敵な言葉と思われませんか。