畑を掘り、木を彫り、石を刻り、の自然人!

退職後、自分に気ままな課題をちょっと与えて遊んでいます。

続「書き順」

2016-07-03 13:15:54 | 篆刻


漢字の書き順を調べていましたら小生には知らないことが結構あることに気づかされました。

小学校では楷書体を学びます。
楷書体は時代的には中国の南北朝から隋唐(589-907年)の時代に標準となったといわれています。
楷書という名称が普及したのは宋代(907-1279年)以降とされています。

活字の明朝体は楷書をなぞったものと思われがちですが18世紀に生きた康熙帝(こうきてい)が命じて作った
字書「康熙字典」の書体を基にしたといわれています。
(康熙帝にはいろいろエピソードがあるようですが)

(この暑いときにコムツカシイ話で恐縮です)

さて筆順のおはなし。
文献によりますと筆順(書き順)は必ずしも1通りとは限らず、幾通りかある漢字もあります。
これは筆順が長い漢字の歴史の中で、毛筆の筆運びから生まれ、楷書に限らず行書や草書などの筆順も取りいれ
られているからで、漢字によっては数通りの筆順が通用しているものもあるそうです。

つまり、筆順は1つだけでなく、また1つに限定されるものではありません。
そうなりますと教育現場で何通りもの筆順を教えることは混乱を招き支障がでます。

そこで「筆順指導の手引」を基準書として公布されたわけです。
ところが、それまでの筆順参考書が幾通りの筆順を示していたのに、掲載された筆順だけが正しい筆順という誤解を
生むことなったという次第になっています。

筆順には複数あるという部分に注意が払われず、筆順は1通りのみが正しいと思いこまれて現在に至っているようです。

楷書と草書は成立過程が異なりますので、筆順は必ずしも一致しないとされています。

こうした解説を読みますと納得です。

余談ですが篆刻で主に使用する篆書体は楷書と異なり、横線は右肩を上げません。
全く水平です。
従って篆刻作品でも横線は右上がりにはなっておりません。

以上、暑苦しいおはなしでした。