ここで美術評論を書くつもりはありません。
たまたま新聞記事で岸田劉生展が9月2日まで愛知県豊橋市の
豊橋美術博物館で開催中との記事を読み、思い出したのです。
たしか岸田劉生の作品図録が蔵書にあったような気がして。
昭和37年(1962年)4月18日発売の
「日本近代絵画全集、第1回配本 第5巻 岸田劉生」
(全24巻)
梅原龍三郎・前田青邨・川端龍子・横山大観・富岡鉄斎・
黒田清輝・青木繁・安井曽太郎などが入っています。
美術史家 嘉門 安雄氏解説では
ひたすらに写実に徹し、「物の内なる美」を追求して
独特な絵画世界を創造した天才画家・岸田劉生。
その、対象に深く、鋭く迫る表現力と逞しい気迫が生んだ
不滅の名品の数々は、年と共に讃美者の数を増している。
全生涯の代表作を、最高の印刷技術で再現した
輝かしいこの1巻をお贈りいたします。
と記載されています。
原色図版55点 講談社発行
定価600円
当時の給与から換算すればかなりの高価本でしたが
この1冊だけ手元にあります。
月報には劉生のモデルになった実娘・岸田麗子さんと嘉門安雄氏との
対談が記載されています。
対談日は1962年2月12日、なんとその数か月後の7月26日に
岸田麗子さんが急逝されているのです。享年48歳。
岸田劉生の麗子坐像は超有名で、1度見たら忘れられない絵です。
岸田劉生は没後も人気が高く、画集が発行された1962年に大阪・大丸で
作品展が開催され、1日平均数千人の観覧者とか。
1979年に没後50年記念展が東京国立近代美術館で開催されたり、
2011年には生誕120周年展が大阪市立美術館で開催されたり、
東京国立博物館で2016年に開催されたり、と目白押しです。
写真は自画像で23歳の時に描かれ、その年に長女・麗子さんが
誕生されています。
そして麗子さんと解説者の嘉門氏は同じ年齢。
よく見ると麗子坐像は左側から見た絵が多いですね。
生前、劉生は武者小路実篤と親交があったようです。