
「鬼平犯科帳」「剣客商売」で有名な池波正太郎。(1923-1990年)67歳で逝去。
池波正太郎のエッセイ集はみんな、しゃれています。「食卓の風景」「散歩のとき何か食べたくなって」「よい匂いのする一夜」
「池波正太郎の銀座日記」「江戸切絵散歩」など。
「私は、昭和初期に旧制小学校を卒業し、12歳で茅場町の株式仲買店で働いた。以後の数年間は、ふしぎな自分の生活を
振り返って見ると体中に冷や汗がにじんでくる。(中略)そのときの数年間のさまざまな遊惰な経験が時代小説を書くという
今の仕事にむすびついてくれているのだから、私は運のよい男というべきだろう」。
「国の徴用を受けて軍用機の精密部品を作る工場に配属され、旋盤機械と格闘、他の人間が3日で覚えるところ、私は1ケ月も
かかってしまう」。
「物をつくる手順を感覚で躰に覚え込ませることが今の私の仕事の基盤になっているのだ」。
タクシーに乗る。いくぶんかのチップを含め予めポケットに千円・五百円・百円の貨幣を入れておき、車を降りるとき瞬時に
料金を渡す。
年賀状は約千枚を半年前から毎日少しづつ手書きする。
毎日食べたものを日記につけており、「夕飯、何しますか」と聞かれてもこの日記を開き、即座に答える。
原稿用紙に向かう時間は毎日3時間が限度。
息抜きに池波正太郎のエッセイを読んでいると気分がよくなります。
池波正太郎は絵も得意で、写真の表紙カバーは本人の作。
手元にあるこの本は平成7年発行のもの。同じく「池波正太郎の銀座日記」も同年。「江戸切絵日記」は平成11年発行。
題名から推測すれば万年筆で原稿を書いていたのでしょう。