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ヘイトスピーチ 日本、世界と温度差

2014-08-22 17:31:30 | シェアー

http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140822org00m040003000c.html      2014年08月22日

Listening:ヘイトスピーチ 日本、世界と温度差 毎日新聞

 
 人種差別撤廃条約の順守状況を監視する国連人種差別撤廃委員会は21日、ジュネーブで行われた2日間の対日審査を終えた。人種差別を扇動する焦点のヘイトスピーチ(憎悪表現)を巡っては、各国の委員らから日本に早期の法規制を求める意見が続出。憲法が保障する「表現の自由」を理由に従来通りの消極姿勢に終始した日本政府との間で、議論はかみ合わなかった。委員会は月内にも勧告を公表する。日本政府は厳しい国際世論に背を押されるように対応策の検討に動き出そうとしているが、法規制には慎重論も根強い。

 ◇国連審査、法規制求める声

 「これは演説ではなく、暴力的な威嚇だ」−−。

 20日、非政府組織(NGO)との事前会合で日本のヘイトスピーチのビデオ映像を目にした米国のバスケス委員は、対日審査の場でこう驚きの声を上げた。他の委員からも「なぜ憲法を盾に『犯罪』として取り締まらないのか」と日本政府に早期の法規制を求める声が相次いだ。

 日本は1995年に人種差別撤廃条約に加盟したが、ヘイトスピーチの法規制を求める4条については「表現の自由」への配慮などを理由に留保している。「立法措置が必要なほど人種差別思想の流布や扇動が行われている状況にはない」というのが政府の見解だ。

 今回の対日審査で、ヘイトスピーチを巡る日本政府と外国人委員との認識の差は極めて大きかった。「憲法に定められた『表現の自由』に触れる恐れがある」として、ヘイトスピーチを取り締まる新法の導入に消極的な日本に対し、バスケス氏らは、そもそもヘイトスピーチは憲法で守られるべき「言論表現」に当たらないと断じる。

 日本がヘイトスピーチに有効に対処できていないのではないか、との懸念も出た。複数の委員は「警察がデモに付き添っているように見える」と指摘。日本側は21日の審査で、「公平中立の立場からの警備で、デモを守っているわけではない」と釈明に追われた。

 現地で傍聴したジャーナリストの安田浩一さんは「ヘイトスピーチは絶対に許されないと考える国際社会と、消極姿勢を変えない日本との温度差が特に印象的だった」と話す。

 もっとも、ヘイトスピーチを巡る法規制のあり方は、世界的にも判断や対策が分かれている。

 欧州には規制に積極的な国が多い。第二次世界大戦でナチスがユダヤ人大量虐殺を引き起こしたドイツでは、60年に民衆扇動罪が成立。刑法でナチ標識の使用や反ユダヤ主義的な吹聴を厳しく禁止している。英国は65年成立の人種関係法にヘイトスピーチ規制を盛り込み、フランスも72年に包括的な人種差別禁止法を制定している。

 米国は日本と同様、「表現の自由」を尊重する立場から、ヘイトスピーチの処罰を求めた人種差別撤廃条約の第4条を留保している。だが、人種差別的な動機に基づく暴力犯罪を行った場合は量刑を通常より重くしている。【ジュネーブ坂口裕彦、小泉大士】

 ◇首相、自民に検討指示

 安倍晋三首相は7日、「国際関係を誠実に築き上げてきた日本の誇りを傷つけるものだ」と述べ、自民党に法規制も含めた検討を指示。党内には慎重論もあるものの、21日には「ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム」(座長・平沢勝栄政調会長代理)が設置され、規制に向けた動きが出始めている。

 7月下旬に韓国で朴槿恵(パククネ)大統領と会談した舛添要一・東京都知事は帰国後、安倍首相に法整備を強く要望。橋下徹・大阪市長も7月の定例記者会見で法規制には慎重な姿勢を示しながらも、第三者委員会の設置など対応策を検討していることを明らかにした。

 背景にあるのは在日特権を許さない市民の会(在特会)が京都朝鮮第一初級学校周辺で行ったヘイトスピーチを巡る民事訴訟だ。1審の京都地裁は「北朝鮮のスパイ養成機関はたたき出せ」などの街宣を「人種差別」として違法性を認定。大阪高裁も7月に1審を支持し、在特会側に損害賠償を命じた。

 法規制を訴えている有田芳生・民主党参院議員は「ヘイトスピーチは表現には値しない。日本は人種差別に関する議論があまりに遅れている」とし、第一歩として、罰則規定のない理念法の「人種差別撤廃基本法案」を秋の臨時国会に提出する準備を進めている。

 一方で、師岡康子弁護士(東京弁護士会)は「中身によって刑事規制、民事規制、社会的規制を行うべきで、そうした法律が日本にはない」として、ヘイトスピーチそのものを規制できる新法成立の必要性を強調する。

 では、規制対象とすべきラインをどこに引くか。「ヘイトスピーチ 表現の自由はどこまで認められるか」(明石書店)の翻訳者の一人で関東学院大非常勤講師の明戸隆浩さんは「人種など自分の意思では変えられない属性に対するものへの中傷や侮辱が前提」とした上で「街頭やインターネットで公に向かって発せられ、差別が扇動されるという要素も重要だろう」と話す。

 一方、山田健太・専修大教授(言論法)は「日本は戦時中の思想弾圧の歴史を経て、表現の自由を保障してきた。(法規制する)欧州的な考え方はなじまない。啓発教育の拡充などを優先すべきだ」と規制に反対した。【斎川瞳、笈田直樹】

 



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