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<イイネ!> 立憲民主党の枝野代表、「アイドル論」を語る 2017.11.17 東洋経済ONLINE 

2017-11-18 15:33:46 | 紹介

立憲民主党の枝野代表、「アイドル論」を語る

「欅坂46の同調しない反骨心に共鳴した」

東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/197068
アイドル論を語らせたら止まらない、立憲民主党の枝野幸男代表(CDなどは編集部が用意したもの。撮影:尾形文繁)
 
先の衆院選で野党第1党に躍り出た立憲民主党。同党の枝野幸男代表はアイドル好きとしても知られている。いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのアイドルグループ、欅坂(けやきざか)46の『不協和音』は、枝野氏の愛唱曲だ。最近この曲の歌詞が、民進党分裂から立憲民主党結党に向かう政局を”予言”したものだったと、報道関係者やネットユーザーの間で騒がれた。
「ここで同調しなきゃ裏切り者か」
ほかにも多くのフレーズが当時、前原誠司民進党前代表が進めた希望の党への合流に焦燥していた、枝野氏の立場や心境にピタリと符合するというのだ。
10月2日に産経ニュースが報じたところによれば、同月1日、前原氏の真意がつかみきれずに疲労困憊していた枝野氏は、「1人カラオケに行きたいよ。『不協和音』を歌うんだ」と、記者たちの前でつぶやいたという。まるで、自分の気持ちはこの歌と同じだ、と暗示するかのような口ぶり。はたして、どれくらい意識していたのか。直接本人にインタビューした。

「僕は嫌だ」と言うべき相手は安倍首相

――『不協和音』を歌いたい、とつぶやいた真意は何だったのですか。

エレベーターの中で記者に取り囲まれたときに、何にも考えないまま独り言として自然に出たんですよ。本当にただ歌いたかったので。歌詞とのリンクは何も考えなかった。でも、すぐに気付いて政治的に使われてしまうな、とは思いました。やはり一部の記者は反応して(選挙報道の新聞記事やテレビ番組でも取り上げられた)。だからあれから歌いにくくなっちゃったんですよね。

――本当でしょうか。歌詞の「僕は嫌だ」の部分は、前原さんに対する心の叫びとしてはピッタリ。その後、前原さんらと袂(たもと)を分かち、立憲民主党を結党した行動とも一致します。

僕が「僕は嫌だ」と言うべき相手は、安倍(晋三)さんの政治ですから(笑)。「(欺きたいなら)僕を抹殺してから行け!」って、突き付ける相手も安倍首相です。2014年の衆院選では、民主党幹事長だったこともあって、(小選挙区で枝野氏を落選させようと)与党側から狙い打ちされました。安倍首相や自民党幹部が連日、大宮駅で対立候補の応援演説に来ました。僕は”抹殺”されそうになったんですよ(苦笑)。そのときのことを思い浮かべながらこの曲を歌っている。

――欅坂46の『不協和音』を愛唱する理由は? 同調圧力による、自由や多様性の抑圧に対し、徹底した不服従と抵抗の意志を示す内容ですが。

『不協和音』(欅坂46)の反骨的な内容に枝野氏は共感したという(写真:ソニーミュージック)
 

歌いやすくないので、最初はスルーしていました。でも、歌詞をよく見て、これは僕の歌だと思いました。反骨的な内容がいい。昔から反骨精神が好きな人間なので。『不協和音』は、(社会的なメッセージ性で話題になった)欅坂46のデビューシングル『サイレントマジョリティー』の続編も続編、もっとグレードアップした大続編が来たって感じでした。歌うのは相当難しいんですが、この2つは歌えなきゃいけないなと思い、一生懸命練習しましたね。

――『サイレントマジョリティー』に「声を上げない者たちは賛成している」との歌詞がある。18歳参政権を意識したように思えますが。

最初にこの曲を聴いたときから売れると思ったし、こういう曲が売れる時代なのかもしれない、とも思った。(同曲発売3カ月後の2016年参院選のときに)演説や講演でも、ときどきこのフレーズは使いました。秋元(康)さんもやはり若者の選挙権のことは意識していたと思いますね。

――特にどの部分にメッセージを感じましたか。

まずタイトルからしてそういうことですから。『サイレントマジョリティー』の歌詞を見て、欅坂46にはつねに注目していくべきだと思いました。秋元さんの言葉の使い方は天才だと思います。社会的なメッセージの部分だけじゃなくて、巧みな表現にも驚かされます。冒頭の「似たような服を着て」の部分がすごい。これってみんなわれわれ自身のことですよ。こういう描写から曲に入るところがすごいと思いました。

世論調査に頼らず、”空気”を知ること

欅坂46はアイドル界でも破竹の快進撃。乃木坂46と並び、「坂道シリーズ」を引っ張る存在だ(写真:ソニーミュージック)
 

――AKB48グループから、乃木坂46や欅坂46の「坂道シリーズ」に至る、秋元氏がアイドルをプロデュースする流れについては、どう見ていますか。

僕が次に注目しているのはむしろ、AKB48がどんなふうになるかってことです。秋元さんはAKB48グループを「平成の宝塚」にしたいんじゃないでしょうか。宝塚のように、AKB48をあと100年続かせるためには、次の一手が大事ですよ。どうするのかなあ(笑)。とても楽しみです。

――枝野さんは、民進党が希望の党に合流する局面で、一時切羽詰まった。が、逆境をはね返し結党した立憲民主党は、一躍野党第一党になった。浮沈の激しい人気商売という意味で、政界とアイドル業界は似ていませんか。

アイドル業界というより、秋元さんが仕掛けるアイドルとは、似たところがあると思います。結び付けると不真面目だとおしかりを受けるかもしれませんが、サイレントマジョリティー(声なき大衆、多数派)を見つけるのは、まさに同じ仕事だと思うんです。顕在化されていないニーズがどこにあるのかを探り、それを見つけるという意味では一緒ですよね。

――そのニーズを政治家としてどのように探り当てるのですか。秋元氏はよく「マーケティングは忘れろ」と言いますが。

僕も世論調査には頼らない。参考にはしますが、それに縛られてはいけません。それこそサイレントマジョリティーの”空気”を知ることが大事です。それを踏まえて、衆院選の最終日にはJR新宿駅の街頭演説で、「みなさんに背中を押していただいた」と言いました。

――「背中を押す」は、大島優子さん(AKB48の元人気メンバー)がAKB48選抜総選挙のスピーチで使い、ファンの間にも定着しているフレーズですね。新党の結党時、ツイッターで「♯枝野立つ」などのハッシュタグが盛り上がりましたが、それが「押された」ということですか。

「背中を押された」って言うけど、何が決め手だったのかって、よく聞かれるんですが、それに対しては空気としか言いようがないんですよね。ツイッターなど、SNSでも応援をいただきましたが、それだけかというとちょっと違う。最後の決め手は空気なんですよ。

――空気と言われると、ネガティブな印象もあります。同調を求め、人々から自由や個性を奪っているのも、空気ですよね。

空気にも、顕在化されているものと、潜在的なものがあります。顕在化されている空気に支配されていると流されてしまう。そのもう1つ下にある、潜在的な空気を感じ取ったつもりです。

――実はAKB48にも初期から社会的なテーマを扱ったものが多い。いじめ・自殺(『軽蔑していた愛情』『Birth』)、戦争(『僕たちは戦わない』『夢の鐘』『ロックだよ、人生は…』)、デモ弾圧(『目撃者』)などが思い浮かびますが、注目する曲はありますか。

よく『僕たちは戦わない』のことを言う人がいますが、僕は同じ時期に乃木坂46が歌った『命は美しい』に注目しました。ちょうど安全保障法制の議論のときです。関係ないという意見もありますが、あの局面であのメッセージ性は強いと思った。この曲から乃木坂46に興味を持ちました。

「参加意識」という付加価値を売っている

――戦争・暴力の否定と生命への慈しみがワンセットになっていたんですね。AKB48って”参加型民主主義”だと思うんです。ファンは秋元プロデューサーや運営(マネジメント会社)への不満、意見をすごく言いますが、それをどんどんくみ取っていく。それが12年間も続いている理由です。

『翼はいらない』では1970年代頃のフォークソングと世相がプロモーションビデオで表現された(写真:AKS)
 

AKB48は”参加意識”という付加価値を売っているんだという認識はあります。AKB48選抜総選挙などはまさにそうですが、言われてみると、民主政治ともつながりますよね。今回の政局で、直接意識するようなことはなかったけれども、参加意識が付加価値になるというのは、5~6年前にAKB48から学ばせてもらったのかもしれません。総選挙のときのメンバーのコメント。あれは政治家も見て勉強したほうがいいですよ。

でも、AKB48グループ全体に言えることは、社会性のある曲とは別に、40代や50代のおじさんに響くような、自分たちの青春を思い起こさせる歌詞の曲があって、そこがいいですよね。僕は『Seventeen』が好きで、カラオケでもよく歌います。

――けっこう初期の曲ですね。いつぐらいから知っていたんですか。

(2005年12月の)デビューのときから知ってはいました。最初は全然、火がつきませんでしたよね。新曲が出るたびに聴くようになったのは、飛行機内の映画で『もしドラ』(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』)を見て、その主題歌の『Everyday、カチューシャ』を好きになってからです。

知人が僕の好きそうな曲を入れたiPodをくれて。その中にAKB48もあって。それを聴いて『スカート、ひらり』『軽蔑していた愛情』『Seventeen』が特に好きになりました。AKB48って一応、ハモってるんですよ。中学、高校とコーラス部だったので、ハモる曲が好きなんです。

――「草の根」「右でも左でもなく前へ」を強調する、立憲民主党の政党活動に今後、どう反映されていくのか拝見していきます。ところで秋元氏と直接会ったことはありますか。

経済産業大臣のときにありますよ。いろんな場で。公式のパネルディスカッションなどにも出ていただきました。ある方の結婚披露宴で隣の席になったこともあります。ちょうど指原莉乃さんがスキャンダルで博多のHKT48に移籍になったころです。「うまくやりましたねえ、これでブレークしますね」って言ったら、ちょっと嫌そうな顔をされてましたね(苦笑)。そうなると予想したので、ご本人にぶつけちゃって。

――アイドル自体を好きになったのはいつからでしたか。

山口百恵さんです。わたしは小学生でしたね。昔から「反骨精神」なんで。桜田淳子さんのほうが先行して、売れちゃったじゃないですか。だから僕は百恵さん。昔から最初からメジャーではないほうが好きなんです。

枝野 幸男(えだの ゆきお)/1964年生まれ。栃木県宇都宮市出身。東北大学法学部卒業。弁護士。1993年日本新党から出馬し衆議院議員初当選(埼玉5区、以来当選9回)。民主党政権時に内閣官房長官、経済産業相。民進党初代幹事長。2017年10月に立憲民主党代表就任(撮影:尾形文繁)

――枝野さんが思うアイドルの魅力って何ですか。

今は(自分が歌うのに)楽っていうところです。多くの場合、音楽のノリがこどもの頃になじんだノリだから。要は歌謡曲ってこと。カラオケで歌うためには、歌いやすさが大事です。アイドルソング、特に秋元さんの曲は歌いやすいのが多い。ただ、悩ましいのは、僕の大好きな持ち歌に、乃木坂46の『君の名は希望』があるんですが、これが歌いにくくなった(笑)。

――それは歌いづらい。「希望の党」ができましたからね。

僕は本当にアイドルファンなのかどうなのかわからないんですよね。カラオケっていつも同じ歌では面白くないので新曲を覚えます。そのときにアイドルソングは歌いやすいから楽なんです。AKB48はジャニーズ系よりも歌いやすい。そういう意味で、欅坂46はAKB48からの流れで歌うようになったけれど、実は歌いやすいのは圧倒的にAKB48のほうなんです。1970年代から1980年代のアイドルソングに近いので耳になじんでいる。われわれの世代の歌です。歌詞もいいじゃないですか。社会系でも青春ものでも何でも。

ほかの人が絶対歌えない、新しい歌を歌う

――山口百恵さんは1980年に引退しました。そのあとは?

しばらくアイドルから離れていました。理由は岡田有希子さんが好きだったからです。大学生で当時はみな、おニャン子クラブのファンでしたが、僕は岡田さんだった。でも、アイドルファンをやっていないと、持ち歌が広がらないんですよ。しょうがないから、その時期は昔の歌謡曲を歌ってました。最近は、東海林太郎から欅坂46まで、というキャッチフレーズでやっています(笑)。

和田アキ子さんも好きで、何曲かレパートリーに入っています。でも『あの鐘を鳴らすのはあなた』も歌いにくくなってしまった。「あなたには希望の匂いがする」って歌詞があるんで。五木ひろしさんなどの演歌系も好きなんですが、同世代以上と一緒だと、ほかに歌いたい人がいるので譲っています。他の人が絶対に歌えない、新しい歌を歌いたいんです。だからアイドルソングになる。

――アイドルソング歌唱について周囲は何と。

「地元では絶対に歌うなよ」って言うんですけど、AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』が大ブレークしましたよね。だから大丈夫。やや意外ですが、『フライングゲット』もOK。要は通常のアイドルソングは、みんなが知らないから歌うな、ということです。だから、『365日の紙飛行機』は歌っていいって、許可されました。

――今の"推しメン"は誰ですか? AKB48チームBで、現役慶大生の竹内実宥、とされてきましたが。きっかけは何だったのでしょうか。その次の”2推し”はいないのですか。

枝野氏の今の最大の推しメンは、AKB48の「みゆみゆ」こと竹内実宥だ(筆者撮影)

そうです。みゆみゆ(竹内実宥)です。先日彼女がツイッターで、「枝野さんが(AKB48から)坂道に推し変してしまったのか?」と、気にしているツイートがありまして。「違います」って返信しようとも思ったんですが、さすがに選挙中にはできないなあ、と。「いいね」だけ押しました。ネットニュースの記事で、「枝野は推し変した」と書かれましたが、推し変はしていません。

竹内さんがNHK・BSプレミアムの番組「AKB48 SHOW!」で、(ファンに人気のAKB48劇場公演曲)の『初日』をピアノで弾き語りをしていたのを見て、感動したんですよ。あれ以来、『初日』もカラオケレパートリーになりました。慶大SFC(湘南藤沢キャンパス)で講演があったとき、「竹内さん、歩いてないかなあ」とちょっと期待していたんですが、会えなかったですね(笑)。

次世代ではAKB48の若手「みーおん」(向井地美音)にも、枝野氏は注目している(写真:AKS)

次はAKB48の向井地美音さん(みーおん)かな。『翼はいらない』でセンターを務めたんですが、プロモーションビデオがべらぼうによくて。乃木坂46ファンとよく書かれていますけど、乃木坂46は曲推しですね。欅坂46は歌詞のメッセージ性っていう意味で気に入っているけど、(センターの)平手友梨奈さんしかわからないです。

大の大人がアイドル好きでも問題ない

――枝野さんの好みからすると、1970年代フォークの世界観でやっている、欅坂46の「ゆいちゃんず」(今泉佑唯と小林由依)という、2人組ユニットの曲がいいと思います。「反逆のアイドル」というイメージとは違った、欅坂46のもう1つの魅力ですね。

それは知らなかった。忙しくない時期だったらチェックできるんですが、この3~4カ月は全然時間がなくて、追い切れてなかった。でもそんな日々のなかでも、(乃木坂46の最新シングル)『いつかできるから今日できる』はちゃんと歌えるようにしたし、(AKB48の前作シングル)『♯好きなんだ』も覚えた。『いつか~』の2コーラス目の冒頭の歌詞は「枝の」ですからね(笑)。『♯好き~』のほうは歌いやすい王道アイドルソングです。(欅坂の最新シングル)『風に吹かれても』、これも覚えなきゃいけないんだろうなあ・・・。

――最新シングル曲は絶対に歌う、という執念がすごいです。でも、忙しい時期は、曲の入手は秘書に頼むんですか?

いや、もう秘書からも、あきれられちゃって。自分でダウンロードしていますよ。基本的には移動中に聴いて覚えるんですよ。あとCDは、ある大手紙のデスクが握手券を抜いたあとのCDをくれたりするので、ここ5~6年のAKB48のシングルは全部持っています。

――なるほど。ただ、大人の男性がアイドルに興味を持つことについては、嫌悪感を抱く人もいます。リスクは感じませんか。

アイドルで大事なのは、曲と歌詞とパフォーマンスです。アイドルが好きというよりも、厳密に言うとアイドルソングが好きなので、自分のカラオケの持ち歌を増やすため曲を覚えているだけなんです。だからというわけではないけど、問題ないと思いますね。

 

 

 

 

 

 

 


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