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【最新】福島の子供の甲状腺がん分布地図&チェルノブイリとの比較(弐)

2014-12-31 06:02:44 | ご案内

福島原発事故後の日本を生きる

http://www.sting-wl.com/fukushima-children3.htmlより転載

しかし2014年3月11日に放送されたニュース番組『報道ステーション』においてチェルノブイリ原発事故当時からウクライナ内分泌代謝研究センターの所長を務めているミコラ・トロンコ所長はこう話しています。
ウクライナ内分泌代謝研究センターのミコラ・トロンコ所長
「(チェルノブイリ原発事故)当時のソ連(現在のウクライナ、ベラルーシ、ロシアなど)に高性能のエコー診断装置はなかった。1989年か1990年になってアメリカの大富豪などからエコー診断装置の寄贈を受けた」

チェルノブイリ原発事故が起きたのは1986年4月26日です。

つまりチェルノブイリ原発事故後3年か4年たって初めて高性能のエコー診断装置が導入された。ということはそれ以前、チェルノブイリ原発事故後0~2年または0~3年の間、当時のソ連では高性能のエコー診断装置がない状況で診察がおこなわれてきたということです。そして高性能のエコー診断装置が導入された後に、甲状腺がんの増加が確認されている。

よって「チェルノブイリ(原発事故)では最短4、5年で甲状腺がんが増加した」という…さも1時間は60分とでも言うように、まるで真理を語るような断定した主張はそもそも無理で「チェルノブイリ(原発事故)では最短4、5年で甲状腺がんの増加を確認した」と事実のみを語るべきでしょう。

さらに「高性能のエコー診断装置が導入されていなかったチェルノブイリ原発事故後0~2年または0~3年の間の甲状腺がん増加の実態はよくわからない」と付け加えるべきでしょう。

ですから福島原発事故後の0~3年で見つかった甲状腺がんを、チェルノブイリ原発事故の先例をもってして因果関係を否定することなど絶対にできないのです。


【4】男女別で比較

福島県の小児甲状腺がん患者数が、ベラルーシと比べても異常に多いことは先ほどの「100万人に何人小児甲状腺がん患者がいる?」一覧表で理解できました。しかし、もともと福島県民の子供達は小児甲状腺がんになりやすい体質や遺伝子を持ち、国民病ならぬ県民病だった可能性はないでしょうか?

答えは、残念ながら違います。国立がん研究センターがん対策情報センター※8の資料に、2008年の福島県の甲状腺がん罹患率があります。罹患率(りかんりつ)とは、10万人に何人が新たに…がんと診断されるかの頻度をあらわすもので、この罹患率の計算に使われた福島県の年齢別人口※9を使って逆算して実際の患者数を復元したのが下の一覧表です。

≪2008年福島県の甲状腺がん罹患数≫
※罹患数(りかんすう)とは新たにがんと診断された人数
年齢
0-4歳 0人 0人
5-9歳 0人 0人
10-14歳 0人 0人
15-19歳 0人 0人
20-24歳 0人 0人
25-29歳 1人 3人
30-34歳 2人 3人
35-39歳 2人 9人
40-44歳 1人 5人
45-49歳 1人 6人
50-54歳 1人 8人
55-59歳 3人 15人
60-64歳 6人 5人
65-69歳 3人 13人
70-74歳 4人 11人
75-79歳 3人 9人
80-84歳 1人 5人
85歳~ 3人 1人
全年齢合計 31人 93人
男女総計 124人

2008年の福島県では、0歳~19歳まで小児甲状腺がんになった子供は男女とも0人だったのです。しかも20歳~24歳の男女まで0人です。

つまり福島県民の子ども達が元々、小児甲状腺癌になりやすい体質や遺伝子をもつわけではない。

なお福島県では小児甲状腺がんが0人だった2008年。2008年の日本全国すべての0歳~19歳の子供達で小児甲状腺ガンになった人数は、男女合計で72人と推定されています。※6

2012年に福島県で見つかった小児甲状腺がん患者数は、下記の一覧表の通り男子21人女子35人の合計56人です。

≪福島県小児甲状腺がん及び疑い患者数≫
西暦
2011年 5人 10人
2012年 21人 35人
2013年 12人 26人
2014年 3人 1人
合計 41人 72人
男女総計 113人※10

2008年から4年のズレがあるので単純に比較できませんが、もし同じ年なら全国患者数の77%を福島県だた1つの県のみで占めていることになります。

それから1つ前の一覧表で2008年福島県男性の甲状腺がん患者数は全年齢の合計31人しかいないということを今一度、一覧表でご確認下さい。この福島県の男性の甲状腺がんは、全年齢を合計しても31人しかいないということが、これからすぐ下で検証する福島原発事故後の福島県内の小児甲状腺がん患者数の急増を考察する重要なポイントとなるからです。

■山下俊一福島医科大学副学長への反論

山下俊一福島県立医科大学副学長
「福島県の子供たち全員を対象にスクリーニング検査を実施したので、将来甲状腺がんになる患者を早めに発見できた。(だから小児甲状腺がんは増えていない)」

この山下俊一福島県立医科大学副学長の主張を考察してみましょう。

すぐ上にある一覧表によると福島県2012年男子の小児甲状腺がんは21人ですから、1つ前の一覧表…2008年福島県の全年齢の男性患者数に当てはめれば25歳~74歳までに甲状腺がんを発病する人達を今回の調査で一挙に発見したということになります。とすると、これらの甲状腺がんの潜伏期間は最短7年~最長74年ということになり60年も70年も先の甲状腺ガンを今見つけることに成功したことになるわけです。もはや神です。

それから私がおかしいな…と思うのが今回の小児甲状腺がん患者の男女比です。国立がん研究センターがん対策情報センターの資料※6を見ると直近30年分の甲状腺がんの男女比は男性患者が全体の13%~28%で推移しています。つまり女性の患者のほうが圧倒的に多いんです。2008年の福島県の全年齢での男女比でも男性患者は25%にすぎません。しかし今回の福島県の子供達の甲状腺がん患者数はこの男女の比率が大きく崩れ、4年間の合計では男性患者は36%になっています。

≪福島県小児甲状腺がん及び疑いの男女比≫
 
2011年 33% 67%
2012年 37% 63%
2013年 32% 68%
2014年 75% 25%
合計 36% 64%

2012年は男性患者数が37%にもなっています。そして2011年は33%、2013年は32%、2014年はまだ検査結果の27%しか確定していません(2014年10月31日現在)ので参考程度ですが75%です。3年合計で計算すると36%となります。

これから甲状腺がんになる患者を早めに発見できたと主張するのであれば男女比がこんなに崩れることはないはずです

今回、福島の甲状腺がん患者における男女比に大きな変化があった以上、福島原発事故由来の放射能によって男の子の甲状腺がん患者数が急増したと考えるほうが自然ではないでしょうか。


【5】年齢別で比較

鈴木眞一福島医科大学教授
「チェルノブイリ(原発事故)では最短4、5年で甲状腺がんが増加した(だから上の一覧表の福島県で見つかっている甲状腺がんと被曝の因果関係はない)」

先ほど私のほうで全面否定させていただいた、この鈴木眞一福島県立医科大学教授の主張。その根拠となっている山下俊一福島県立医科大学副学長が作成したベラルーシ・ゴメリ州の原発事故当時の年齢別の資料※11を見てみましょう。

と言うのは…この資料「最短4、5年で甲状腺がんが増加した」と主張する根拠としては、先ほど指摘したように0~3年は高性能のエコー検査装置がなかった時期があるため使えない資料なのですが、甲状腺がんの子供たちを原発事故当時の年齢別に分類した貴重な資料で、しかも、ある年代で甲状腺がんの発病の傾向が変わるのが目に見えてわかる超重要な資料だからです。

この資料はベラルーシ・ゴメリ州の小児甲状腺癌患者数を、↓下方向はチェルノブイリ原発事故時の年齢、 →右方向はチェルノブイリ原発事故から何年か?で分類した表です。見やすくするため6年分だけを抜粋し、10歳以上はすべて■黄色に、9歳以下は発病ピーク前の0~3年は■緑色に、発病ピーク後の4年~5年は■赤に染め、三色に色分けしました。

ベラルーシ/ゴメリ州の小児甲状腺がん登録数
↓事故当時の年齢■原発事故からの年数→
  0年 1年 2年 3年 4年 5年
0歳         2人 2人
1歳       1人 2人 3人
2歳           10人
3歳         1人 6人
4歳         4人 1人
5歳       1人 1人 3人
6歳         2人 3人
7歳     1人     4人
8歳     1人   2人 1人
9歳           3人
10歳           3人
11歳   1人       2人
12歳   1人        
13歳 1人       1人 1人
14歳   1人   1人   2人
15歳       1人   3人
16歳   1人   1人    
17歳     1人      

まずは■緑色の部分…原発事故当時に9歳以下だった子供達の原発事故から0年~3年までの4年分の患者数に注目して下さい。患者数は1歳1人+5歳1人+7歳1人+8歳1人で合計4人ですね。

今度は■黄色の部分…黄色の部分はすべて10歳以上でしたね、この黄色の部分もさっきと同じように原発事故から0年~3年までの4年分の患者数を数えてみましょう。すると合計9人です。※間違えて■赤の部分と接している■黄色の部分…原発事故から4年、5年も数えないように注意しましょう。

原発事故から0年~3年までの4年分の患者数を見た場合、原発事故当時に9歳以下だった子供達は4人、10歳以上だった子ども達は9人です。

つまり原発事故から0年~3年までの4年分の患者数は、むしろ原発事故当時10歳以上だった子ども達のほうに甲状腺がんが多いのです。

しかし原発事故から4年たつと原発事故当時9歳以下だった子供の発病が急増します。一覧表の■赤の部分です。たった1年間だけで、10歳以上の今までの4年分の合計人数を抜き去ってしまいます。

それに対して原発事故当時10歳以上だった子供達の甲状腺がん患者数…■黄色の部分は、原発事故の1年後から増えていますが、4年後も急増することなく推移し、今回の一覧表には6年分しか載せませんでしたが…13年間の合計を見ると、各年齢1年に1人が発病と一定していることがわかります。もちろんチェルノブイリ原発事故前は0~17歳の全年齢で、小児甲状腺癌は1人いるかいないかでしたから原発事故当時10歳以上だった子供達でも小児甲状腺がんは明らかに1年後から増えているんです。

福島県の健康調査で福島県立医科大学の鈴木眞一教授の主張ではこの黄色■の部分10歳以上の統計を完全無視して「甲状腺がん増加は最短で4、5年後」と何度も念仏のように繰り返していますつまり鈴木眞一教授の主張が、この資料を根本的に読み間違えていることを、資料自身が物語っているのです。

続いて、現在の福島県の小児甲状腺ガン患者数は4年分しかデータ※1※3がありませんから、比較するために今回のベラルーシ・ゴメリ州も4年分だけをピックアップし、原発事故当時の年齢で分類してみました。

原発事故から4年分の
小児甲状腺がん患者の年齢別分布表
  チェルノブイリ原発事故 福島原発事故
原発事故当時の年齢 ベラルーシ-ゴメリ州 日本-福島県
0歳    
1歳 1人  
2歳    
3歳    
4歳    
5歳 1人  
6歳   2人
7歳 1人  
8歳 1人 1人
9歳   3人
10歳   3人
11歳 1人 5人
12歳 1人 9人
13歳 1人 11人
14歳 2人 10人
15歳 1人 14人
16歳 2人 19人
17歳 1人 22人
18歳 不明 14人

上の4年分の一覧表の左右を見比べていただけるとベラルーシ・ゴメリ州も福島県も、小児甲状腺がん患者数の分布が事故当時9歳以下■緑色の部分よりも事故当時10歳以上■黄色の部分に集中しているのがよくわかると思います。

今回の私の推測が正しかったかどうかは福島原発事故から4、5年後の■赤の時期…つまり検査結果の判明する2016年、2017年になればはっきりするでしょう。もしも、福島県立医科大学の山下俊一副学長や鈴木眞一教授達が調査結果を隠ぺいしなければ、ですが。

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※下記はこの記事の旧版となります
福島県-子供の甲状腺がん(2014年6月30日版)
福島県-子供の甲状腺がん(2014年3月31日版)
福島県-子供の甲状腺がん(2013年12月31日版)

※1 https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96850.pdf
※2 https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/55191.pdf
※3 https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96851.pdf
※4 https://www.youtube.com/watch?v=eOfOErRGNfw ※1時間00分より
※5 https://www.youtube.com/watch?v=guaUA4MFGeI ※1時間25分より
※6 http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html
※7 http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/coe/jp/activities/elearning/lecture/02-02.html
※7 http://depts.washington.edu/epidem/Epi591/Spr09/Chernobyl%20Forum%20Article%20Cardis%20et%20al-1.pdf※リンク切れ
※8 http://ganjoho.jp/professional/statistics/monita.html
※9 http://ncrp.ncc.go.jp/file/pop/07_all_1950-2010.csv
※10 1人良性結節なので現在は112人だが詳しい新資料非公開の為古い資料を使用した
※11 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm


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