映画「天使にショパンの歌声を」
--“キリストが主”の寄宿学校存続に情熱を注ぐ教師と生徒たち
公式サイト http://tenshi-chopin.jp/
2017年1月6日
カナダのケベック州。カトリック修道院が運営する小さな寄宿制女学校には、“キリストはこの館の主である”のモットーが掲げられている。16世にフランス領となって以来、保守・伝統主義の生活文化に培われ、教育もカトリック教会の統治のもとに治められてきた地域。それが、1960年の総選挙で自由党が勝利したことを契機に、政教分離政策が推し進められ公立校への転換と共に教会立学校は経営危機に陥る。その激動の嵐の中、なんとか閉校の危機を乗り越えようと校長はじめ教師、生徒たちが困難に立ち向かう物語。音楽で有名な寄宿制女学校を舞台に、良質なクラシック音楽エンタテイメントを楽しめる一方で、マザー・オーギュスティーヌ校長の現実的な信仰と教育への情熱がしっかり描かれている。山あり谷ありの人生、望んでいた結果にならずとも生きることに前向きに押し出してくれるヒューマンドラマだ。
閉校の危機の緊迫した不安を
一つの心へとまとめていく音楽の力
少し雪が積もった校庭を校舎に向かって歩いてくる校長のマザー・オーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)。校舎からは生徒たちが練習する合唱が聞こえてくる。ピアノコンクールで銀賞を獲得するなど音楽教育では有名な学校でもある。この日は、オーギュスティーヌ校長が購入した新しいピアノが届いた。そして、オーギュスティーヌ校長の姪アリス・シャンパーニュ(ライサンダー・メナード)が転校してきた日でもある。
音楽で閉校の危機を乗り越えようと考えるオーギュスティーヌ校長は、アリスのピアニストとしての天性のセンスにも期待している。だが、女学校の寄宿舎に入れられたアリスは、両親から見放されたようで自分の殻に閉じこもっていく。修道院の総長(マリー・ティフォ)は、政変を契機に政教分離が時流で教育も教会の時代ではなくなったこと見極めていた。むしろ、オーギュスティーヌ校長が学校存続のために講じる様々なチャレンジが状況を混乱させると案じ、事あるごとに二人は衝突する。
音楽教育をとおして生徒たちに「高い理想を持て!」と教え、窮地を脱しようとするオーギュスティーヌ校長の情熱に、シスターと生徒たちの思いは学校存続のために心を一つにしていく。支援者たちも理解を示し始め、オーギュスティーヌ校長のアピールにマスコミも関心を持ってきた。だが、そんな矢先、ピアノコンクールで金メダルを期待していたアリスの母親が重篤な病に倒れたという知らせが届いた…。
ふんだんに奏でられる音楽が
滋味豊かなミュージカルのよう
1960年代当初のカトリック修道院立寄宿女学校での物語で、登場人物はほとんどシスターと生徒たち。地味な予見を抱きそうそうだが、クラシック音楽の雰囲気と共にケベック映画賞で衣装賞・ヘアスタイリング賞を獲得するセンスの良さにも惹かれる作品。また、オフィシャルサイトに掲載されている使用曲リスト一つひとつの楽曲が、ストーリー展開に豊かな深みを持たせている。とりわけ、届いたばかりのピアノでオーギュスティーヌ校長がリストの「愛の夢 3番」を弾くが、この原曲の歌詩は後に彼女が語る悔悟の物語が隠されている。また、邦題にもつながるショパンの「別れの曲」(シャンソン「悲しみ」)の使いどころは、滋味豊かなミュージカルのようにこの物語を語っていて心に染みてくる。 【遠山清一】
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公式サイト http://tenshi-chopin.jp/ より紹介
1/14(土)&15(日)アカペラ合唱イベント実施決定!
公開初日1/14(土)&15(日)の2日限定で、角川シネマ有楽町にてアカペラ合唱イベントを実施致します。
映画に登場する合唱曲をご披露頂きますので、是非劇場へお越しください。
合唱イベント付きの上映タイムスケジュールは追ってお知らせいたします。
☆公開初日:1/14(土)1回目上映後、2回目上映前の計2回予定
会場:角川シネマ有楽町
出演:立教大学グリークラブ 女声の皆さん
公式HP http://www.rikkyo.ne.jp/sgrp/glee/
Twitter: @RikkyoGlee_F
Facebook: https://www.facebook.com/rikkyoglee/?fref=ts
☆公開2日目:1/15(日)1回目上映後、2回目上映前の計2回予定
会場:角川シネマ有楽町
出演:慶應義塾ワグネルソサエティ女声合唱団の皆さん
公式HP: http://www.wagner-society.org/female/
Twitter: @Moll_Wagner
Facebook: https://www.facebook.com/wagner.mollchorus
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http://eiga.com/movie/81934/special/より転載・引用
天使にショパンの歌声を
劇場公開日 2017年1月14日
「オーケストラ!」「カルテット」「25年目の弦楽四重奏」──
珠玉の名曲×至高のヒューマン・ストーリーが奏でる最新作
《音楽の力》を信じる映画ファンに贈る、少女たちの成長物語
廃校の危機を迎えたカナダ・ケベック州の小さな音楽学校を舞台に、夢と希望にあふれる美しい音色を奏でる少女と教師たちのきずなを描く感動の音楽映画「天使にショパンの歌声を」が、2017年1月14日に全国公開を迎える。「オーケストラ!」「カルテット」「25年目の弦楽四重奏」ほか、クラシックの名曲に彩られた数々の名作に続く、注目の1本だ。
名作を生み出してきたアンサンブル──それは「音楽×映画」
映画通注目のカナダから届いた、《本物》が彩る音楽エンターテインメント
「Mommy マミー」のグザビエ・ドラン、「ブレードランナー 2049」の監督に抜てきされたドゥニ・ビルヌーブ(「ボーダーライン」)、「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・バレと、才気あふれる注目監督の輩出が続くカナダ映画界から、「本物」と呼ぶべき音楽エンターテインメントが届けられた。見る者の心を揺さぶる至高のアンサンブルこそ、音楽と映画の最高のマリアージュだ。
ショパンの「別れの曲」、リストの「愛の夢 第3番」、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、ベートーベンの「ピアノソナタ 第5番 ハ短調」などなど、クラシック好きにはたまらない名曲の調べが次々と登場し、物語を彩る。単に劇中で流れるだけでなく、悲しみをたたえる「別れの曲」はヒロインたちの胸中とシンクロ。物語にさらなる深みを与えてくれる。
音楽教育に力を入れる学校が舞台だけに、少女たちの汚れなき歌声が随所に登場
孤独な心を抱えるヒロイン、アリス役で映画デビューを飾り、吹き替えなしの圧倒的なピアノ演奏を披露するのが、新進気鋭のピアニストで、カナダを代表する若手音楽家30人のひとりに選出されたライサンダー・メナード。5歳からピアノを始め、数々のコンテストで優勝を果たした彼女を筆頭に、劇中での演奏や合唱はすべてが「本物」。汚れなきピアノの音色、天使のような歌声に心洗われるはず。
女流実力派監督レア・ブールが、みずみずしさとユーモアもたっぷりな物語を描出
本作に寄せられた高い評価からも、描かれる物語の力が「本物」であることが伝わる。メガホンをとったのは、温かで繊細な人間ドラマで知られ、カナダ映画界を支えてきた女流監督レア・プール(「天国の青い蝶」)。グザビエ・ドラン監督の大きな飛躍のきっかけ「わたしはロランス」が受賞したことでも知られるケベック映画賞で、作品賞を含む最多6部門受賞の快挙を果たしたのだ。
廃校間近の学校を救えるのは「音楽」しかない!
本作を見れば思い出す──《音楽の力》はこんなにも偉大!
廃校を迫られた教師と女生徒たちが、「音楽の力」を信じて立ち上がる!
60年代、国を挙げて近代化が推進されたカナダ・ケベック州を舞台に、閉鎖に追い込まれた音楽学校を救おうとする女性教師と女子生徒たちの奮闘が描かれる。女性の権利や自由がまだ確立されておらず、社会進出もままならない時代において、古い凝り固まった価値観に立ち向かおうとする彼女たちの姿に共感せずにはいられない。自分の人生は自らの力で切り開くという現代にも通じるテーマ性とも相まって、改めて「音楽の力」はこんなにも偉大なんだと確信してしまう。
寄宿学校に身を寄せる女生徒たちは千差万別。それぞれの葛藤と成長にも注目したい
舞台は音楽教育に力を入れる、修道院が経営する小さな寄宿学校。生徒として身を寄せる少女たちにはそれぞれの事情があり、性格も悩みもてんでバラバラだ。そんな彼女たちが、「音楽」を通して心をひとつにし、やがて人間的成長を遂げていく。楽しいこともあれば悲しいこともある。音楽に育まれる生徒たちの生活に、観客は学校に通っていたかつての記憶が呼び起こされるに違いない。
オーギュスティーヌ校長を演じるのは、カナダで高く評価されるセリーヌ・ボニアー
国が進める近代化によって学校の統廃合が検討され、ピアノコンクールで優秀な成績を収めたこの学校も廃校の通達を受けてしまう。「なんとかしなければならない」と、校長のオーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)の掛け声のもと、世論を巻き込む一大運動が巻き起こる。学校を挙げての署名活動に加えて、マスコミを招いての記者会見イベントの開催。音楽は、学校の伝統を守ることができるのか。
自由奔放なめいのアリスと、厳格であろうとするおばのオーギュスティーヌの関係に注目
本作では、家族のきずなが音楽によってつながれていくさまも描かれる。天才的なピアノの技術で、学校を救うためにコンクール出場を目指すアリス(ライサンダー・メナード)だが、実はオーギュスティーヌ校長のめい。母が病に倒れ、すさんでしまった心のために数々の問題を起こしてしまうが、音楽を通じて、厳しいおばとの関係を強めていく。子を持てなかったオーギュスティーヌの心の変化にも注目だ。
本作は「何かを変えたい」あなたに「音楽」で勇気をくれる
温かな感動を届ける「音楽映画」の新たなる1本!