異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

国民93%から見た、アベノミクス⑤ 量的緩和は、実経済に貢献したか(高橋 仁也)

2014-12-06 23:37:31 | シェアー

高橋 仁也さんのフェイスブックより

 量的緩和に、成果などあるのか    

安倍さんが「この道しかない」と言葉にするとき、素人には経済は分からんだろう、分からんなら黙っていろ、経済を優先させるなら原発を動かせ、自民党に命をあずければいいんだ、と思っているのでしょう。しかし、私たちは誰にも命はあずけない。そして、生活こそが私たちの経済です。生活のことは安倍さんなんかより、よっぽど分かっています。さあ、アベノミクスの最大の成果と豪語する『量的緩和』すら、あなたも批判的に解読できます。

量的緩和の主語は現金です。つまり、現金の量的緩和で、世の中の現金の量を増やすことです。現金は、紙幣と貨幣(コイン)があり、紙幣は日銀が印刷して発行し、コインは政府が鋳造して発行しています。量的緩和は日銀がオペレーションしますので、一万円札を増やすことです。

一万円札はヘリコプターからはバラまきません。方法は、銀行にある国債を使います。銀行には、国が国民に借金した国債がたくさんあります。銀行はみなさんが貯金した現金で、国債を買って利子収入を得るからです。量的緩和とは、この国債を日銀が自分で印刷した一万円札で買うことを言います。現在、日銀は国債の約24%を保有し、銀行の現金は約130兆円増えています。国債を持って買い物には行けませんから、これが現金に置き換わったことで「流動性が高まった」と言えます。現金は経済の潤滑油ですね。今回、潤滑油は2倍に増えました。

この増えた現金と元々あった現金を合わせて『ベースマネー』と言います(=マネタリーベース)。ベースマネーを増やすと経済が活性化する、というのがアベノミクスの起点です。仮に活性化するとベースマネーがぐるぐる回転します。この回転したお金の量を『マネーストック』といいます。結果、GDPが増加するというシナリオです。

★ここに問題があります。潤滑油を2倍に増やしただけで、経済のエンジンは回るのか、そもそもエンジンを回すガソリンとは何か、という旧日銀派と現日銀派の論争です。旧日銀派は、本来はガソリンの役割を中央銀行に求めてはいけない、面倒でも政府による地道な経済政策が必要だ、ベースマネーとマネーストックに強い相関性はないと主張しています。確かに潤滑油を2倍にしたのに、エンジンの回転から発生するインフレ率は、目標2%に対して1%を切り、その内訳は円安による石油コストが大半です。

★ここでグラフを見てください。実は民主党政権時代の2009年あたりから、すでにマネーストックは上昇トレンドに入っているのです。これが、量的緩和による安倍&黒田チームの成果といえるのでしょうか。しかも、ベースマネーとマネーストックに強い相関性はないように見えます。

★一方、潤滑油を増やすと金利が下がり、金利差で円安や株高が起きます。その結果、グローバル企業が内部留保を増やし、富裕層が株で資産を増やしました。このおこぼれは、実体経済にほとんど貢献していませんし、実質賃金は著しく低下し、資産格差はますます拡大しています。

★日銀の国債は、いつか銀行に売り戻さなければなりません。その年は政府が国債を大量発行して、日銀がさらに大量販売します。その時、何が起きるのでしょうか。経済の原発を作ってしまったのではないのでしょうか。日銀は来年には国債の30%を抱え、その規模は300兆円を超えます。政府の巨額な借金、日銀の大量国債の保有。私たちは、あらたな強大過ぎる問題を抱えながら、経済は分からないから専門家に命を委ねて生きていくのでしょうか。

金融のプロは、永遠に日銀が国債を保有することをイメージして投機しています。原発も原子炉からけっして放射能はもれない、とイメージしていました。どちらも、「永遠」を想定した大きな物語に見えるのは、僕だけでしょうか。

(注)図右上の「国民93%」とは、株式相場上昇で富全体から自分の比率を落とした国民です。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。