当時、理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官らは、森友学園への国有地売却で決裁文書を改ざんさせたとして、虚偽公文書作成などの疑いで告発されています。
虚偽公文書作成罪が成立するには作成などの権限を持つ人が文書の趣旨を嘘の内容に変える必要がありますが、今回、改ざんが明らかとなった決裁文書では、契約内容や金額など文書の根幹に当たる部分の書き換えはなく、大阪地検特捜部は佐川前長官らについて、不起訴にする方針を固めたとみられます。
また、国有地が不当に大幅値引きされたとして財務省の職員らが告発された背任容疑については、学園側が国に開校の遅れを理由に損害賠償請求を求める意向を伝えていて、この賠償請求を回避するための措置であり、背任容疑を立証できないと判断したとみられます。
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検察審査会は市民感覚で判断 佐川氏「逆転起訴」の可能性
日刊ゲンダイ https://www.nikkan-gendai.com/articles/image/news/229443/95076
- 2018年5月19日
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不起訴の判断が覆る可能性も(C)日刊ゲンダイ
国民の感覚とは丸っきりズレた判断だ。大阪地検特捜部が虚偽公文書作成容疑で告発された財務省の佐川宣寿前国税庁長官らを不起訴とする方針を固めた。国有地8億円値引きの背任容疑についても、財務省近畿財務局の担当者らの立件を見送る方向だという。
不起訴の場合、告発した市民団体などは即座に検察審査会に審査を申し立てるようだが、一般市民から選ばれる検察審査員たちは、どう判断するのか。逆転起訴の可能性について、元検事の落合洋司弁護士に聞いた。
「法の専門家は容疑の構成要件にこだわりがちですが、検察審査会は市民感覚で判断します。報道によると、大阪地検は改ざん文書が契約の趣旨や内容など根幹部分に大きな変更がなく、文書に虚偽の記載を付け足したわけでもない。よって『虚偽』にあたらず立件は困難と判断したようですが、何しろ約300カ所も改ざんされたのです。安倍昭恵首相夫人の言動など重要な交渉経過の背景が、ごっそり抜け落ちてもいます。
素朴な市民感情で見れば、政府に都合の悪い重要な部分を国民に隠したのだから、やはり虚偽と見なすのではないか。検察審査会が『不起訴不当』や『起訴相当』と判断する可能性は高いと思います」
背任容疑も、大阪地検は値引きの背景に森友学園側からの損害賠償請求を避けたいとの意図に着目。担当者らの国に損害を与える目的が立証できないと結論づけたとみられる。
「8億円値引きの根拠となったゴミ撤去の見積もりはいい加減ですし、国に損害を与える目的が認定できなくとも、国有地の適正価格を逸脱し、学園側への過剰な利益を図ったと捉えれば、任務に背いた背任罪と見なせます。検察審査会で普通の人がシンプルに考えれば、やはり不起訴の判断は覆ると思います」(落合洋司氏)
佐川氏らは、安穏に暮らせる日はまだまだ遠いと思った方がいい。