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「安保法成立後、やりたい放題」~「1強」自民のおごり? 閣僚や党役員、不適切献金・暴言…処分ウヤムヤ

2015-12-16 18:17:33 | 政治 選挙 

毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20151130/dde/012/010/002000cより転載

特集ワイド

「1強」自民のおごり? 閣僚や党役員、不適切献金・暴言…処分ウヤムヤ 「安保法成立後、やりたい放題」

 
参院予算委で答弁する安倍首相(手前)。右奥から島尻・沖縄北方担当相、高木復興相=国会内で2015年11月11日、小出洋平撮影
 

マスコミには圧力「安保法成立後、やりたい放題」

 安倍晋三政権の閣僚や自民党議員に「政治とカネ」を巡る問題や不祥事、暴言が相次いでいる。いずれも閣僚辞任や議員辞職が強いられるか、もしくは首相の任命責任が問われそうなものなのだが、責任はウヤムヤのままのものも目立つ。安倍政権「1強」状態にあぐらをかき、自民党におごりが生じているのではないか。【小林祥晃】

 「高木毅復興相のお金の問題にしても他の議員の不祥事にしても、これほど問題になっているのに説明する姿勢が全く見られない。安倍首相も『説明を果たすことが大切だ』などと言うだけで、臨時国会も開かず外遊に出た。このまま国民の興味が薄れるまで粘って逃げようとしているのではないか」。こう怒りをあらわにするのは、芥川賞作家の諏訪哲史さんだ。

 高木氏は、自身が代表の政党支部や資金管理団体の政治資金収支報告書に、公職選挙法に抵触するおそれがある選挙区での香典や枕花代の支出を記載していた。高木氏は、香典は自身が弔問して私費として支払ったため違反行為ではないと主張。下着窃盗疑惑は事実無根としている。

 諏訪さんは一段と声を強める。「これまでの自民党ならば『次の選挙で痛い目に遭う』と考えて対処するはず。でも今は『一定の支持率があるから大丈夫』と高をくくっている」

 批判を浴びているのは高木氏だけではない。表を見てほしい。第2次安倍改造内閣発足後だけでも疑惑や不祥事はこれだけ続いているのだ。中でも、党の若手議員が6月に開いた勉強会「文化芸術懇話会」で飛び出した暴言に対しての責任を、自民党は軽く見ているかのようだ。
この会合で出席者から「マスコミを懲らしめる」などの暴言があったと報道され、党が批判されると、執行部は同会代表の木原稔衆院議員を1年間の役職停止処分にした。だが、党は10月2日、「本人が反省している」(谷垣禎一幹事長)として役職停止期間を3カ月に短縮。同23日に文部科学部会長に任命したのだ。

第2次安倍改造内閣発足以降の主な不祥事・問題発言

小渕優子経産相       政治資金収支報告書の虚偽記載が発覚(辞任)。元秘書2人に有罪判決

江渡聡徳防衛相       資金管理団体から本人に寄付する違法な政治資金処理が発覚

西川公也農相        補助金交付団体の関係会社からの不適切献金が発覚(辞任)

木原稔党青年局長      報道圧力発言などが飛び交った勉強会の代表を務めた責任で更迭。問題発言をした大西英男氏ら3議員は厳重注意処分

礒崎陽輔首相補佐官     安保関連法を巡り「法的安定性は関係ない」と述べ、発言撤回

武藤貴也衆院議員      安保関連法に反対の若者への暴言や出資金トラブルが問題に。離党し処分受けず

高木毅復興相        地元で香典などを政治資金で支出。週刊誌が過去の下着窃盗疑惑報じる

森山裕農相         談合で指名停止措置を受けた複数の業者からの献金が発覚

島尻安伊子沖縄・北方担当相 地元で「カレンダー」を配布したことが公選法に抵触すると問題に

馳浩文部科学相       石川県の補助金を受けていた企業からの献金が発覚し、全額返金

 ※いずれも肩書は当時

 

 この一連の動きに、諏訪さんは「自民党は安全保障関連法が成立する9月までは低姿勢だったが、その後はやりたい放題。沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設も、ここにきて強硬に進めています。おごりとしか言いようがありません」。

 「政治とカネ」の問題で思い出すのは、小渕優子元経済産業相の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件だ。小渕氏は疑惑発覚直後の昨年10月に経産相を辞任。安倍首相は「任命責任は私にある」と語ったが、翌月、衆院が解散されると、党本部は、捜査が進んでいたが逮捕者が出ていないことなどを理由に小渕氏を公認した。小渕氏は「もう一度頑張りたい」などと訴え、当選した。

 今年10月9日、東京地裁で元秘書2人に有罪判決が言い渡された。一方の小渕氏は、自身が設置した第三者委員会が「本人の関与は認められず、不正処理に関する法律上の責任はない」との報告書を公表した後の記者会見で、謝罪はしたが議員辞職は否定した。

 しかし、「法律違反ではないからといって済む問題なのか」との疑問が拭えない。この点を「政治とカネ」の問題に詳しい岩井奉信(ともあき)・日大教授に尋ねると「確かに、これがもし公職選挙法違反に問われた事件なら、連座制で小渕氏は当選無効となる。政治資金規正法と公選法のダブルスタンダードは見直すべきだ」と指摘した。そしてこう強調する。「法律を厳しくするだけでは対症療法に過ぎません。重要なのは議員や議会の自浄作用なんです」

 岩井教授によると、欧米では議会の権威を傷つける行為は懲罰の対象になる。議員が法律違反を犯したか否かを検討する前に「有権者から見ていかがなものか」という行為があれば、議会が非難決議を出すなどの手段で辞職に追い込まれるという。「議会に警察や検察が踏み込むのは恥ずべきこと、という認識があるからです」と岩井教授。翻って日本。議員が疑惑を追及されても「秘書がやった」などの理由で逃れられる。最大与党の自民党は率先して議会の権威を守るべきではないか。

 「1強多弱が進むと、与党には利権を求める人たちからカネが集まりやすくなる。たとえ不正があっても数の力で野党の追及をかわせる。こういう状況で重要なのはマスコミの力です」。元東京地検特捜部検事でロッキード事件など多くの汚職事件を手がけた弁護士の堀田力さんはそう語る。「だからこそ、安倍政権はマスコミに対して『脅し』にも映る姿勢を取っている」

 特に問題視しているのが、NHKの報道番組「クローズアップ現代」での「やらせ」疑惑を巡り、高市早苗総務相がNHKに行政指導をしたことや、自民党が幹部を呼びつけてヒアリングしたこと。「報道への介入にほかならない」。堀田さんはこう厳しく語る。

 この問題では、NHKと民放連でつくる第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送倫理検証委員会が今月、政府・与党の行動は「放送の自由と自律に対する圧力そのもの」と厳しく批判する意見書を公開した。

 これに対し、安倍首相は10日の衆院予算委で「法的責任を持つ総務相が対応するのは当然」「国会でNHK予算を承認する国会議員が議論するのは当然」と答弁し、BPOの批判に反論を繰り出した。

 堀田さんは「報道への政治介入は、表現の自由は守るという民主主義の根幹に関わる観点からも絶対にやってはいけない。それなのに政府は簡単に破った。強い権力を持ち、自制が利かなくなっているからでしょう」と解説する。

 前出の諏訪さんは「国民の批判を積極的に受け入れて悪い部分を改めるのが、政治のあるべき姿。それなのに安倍政権は批判を封じ込めようとするばかりです。これでは日本は健全に成長しません」。

 識者の意見を聞くほどに、恥ずかしい人々が永田町を支配してしまっているのでは、と思えてならない。では、外国の人にはどう見えているのか。元ニューヨーク・タイムズ東京支局長で、現在はシンクタンク「日本再建イニシアティブ」の主任研究員を務めるマーティン・ファクラーさんは、自民党議員の不祥事が多発していることについてこう述べる。

「この異常な状態を是正するのは司法ではなく、有権者なのです。有権者が怒らない限り、自民党はやりたい放題し続けるでしょう」

 その状態が継続すればどうなってしまうのか−−。「政策と世論がますます乖離(かいり)してしまう」とファクラーさん。自民党のおごりを許さないためには、私たち有権者が声を上げ続けるしかない。


 

 

 


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