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「暴力」はびこる沖縄・辺野古/骨は折れても心折れず、病院でコルセットを巻くと、すぐに座り込みに戻った

2015-12-13 22:31:12 | ご案内

沖縄タイムスhttp://www.okinawatimes.co.jp/cross/?id=350 より転載

骨は折れても心折れず「暴力」はびこる沖縄・辺野古

2015年12月9日 09:24
 
  • 阿部岳(あべたかし)   沖縄タイムス社北部報道部長

ついに争いの舞台が法廷に移った沖縄・辺野古への新基地建設問題。
一方、現場に目を戻すと、民主国家とは思えない醜態が起きていた。


工事車両が基地内に入るのを防ごうと出入り口で座り込み、機動隊員に強制排除される女性。悲しげな瞳でカメラを見つめた/11月28日朝、沖縄県名護市辺野古

 

 この日も午前6時から、米軍新基地建設に抗議する座り込みが始まった。11月28日、沖縄県名護市辺野古。約60人が工事車両の出入り口で腕を組み、横たわった。
 いつもと同じように、機動隊員約100人がごぼう抜きにかかる。そのとき、男性(63)の左の肋骨に激痛が走った。隊員の手で押さえ付けられていた。

 ボキッ。そう、音が聞こえた気がした。

「やめて、と言ったけどやめない。息もできない痛さだった」

 男性は救急搬送され、骨折と診断された。

■目届かぬ海では船長が意識不明

 昨年7月の座り込み開始から500日以上。連日のように機動隊による強制排除が続く。こんな場所が、日本のどこにあるだろうか。
 今年11月からは、沖縄県警だけでなく警視庁の応援部隊も投入されている。安倍政権が総がかりで沖縄の民意にのしかかり、男性の骨は「ボキッ」と鳴った。

 陸上だけではない。埋め立て工事の現場となる海では、全国から動員された海上保安官が待ち受ける。現場周辺は、あらかじめ罰則付きの立ち入り禁止海域に指定された。市民のカヌーや漁船がその海域に入った途端、高性能ゴムボートの海上保安官が襲いかかる。海は陸に比べて目が届きにくい。

 11月2日、カヌーを降り、海面に浮かんでいた女性(42)は突然、海上保安官に両肩をつかまれ、水中に3回沈められた。身に着けた小型ビデオカメラは、伸びてくる海上保安官の手を写し、その後、水没する。「やめて! 助けて!」。女性の叫び声に、海上保安官が耳を貸す様子はない。

 11月18日には、海上保安官4人がかりで押さえ込まれた船長の男性(62)が一時、意識不明になった。男性は「殺されるかと思った」と振り返った。

 記者に聞こえないところでは、暴言を吐く警官や海上保安官もいるという。

「お前は犯罪者だ」

「それでも日本人か」

 拘束され、「ブタ1名確保」と言われたとの訴えさえあった。

■「このままでは死者出るかも」

 県警や海保は一貫して否定するが、言動はエスカレート傾向にある。「このままでは死者が出る」という市民側の懸念は、決して大げさではない。
 沖縄は考えられる全ての民主的な手続きを使って、普天間飛行場返還と引き換えの新基地を拒否してきた。古くは1997年、名護市民投票で。最近は昨年の知事選で、公約に反して新基地建設を認めた仲井真弘多氏に代わり、反対を掲げる翁長雄志氏を選び直した。

 翁長氏は、仲井真氏が国に与えた埋め立て承認を取り消した。安倍政権の答えは、取り消しの撤回を求めて県を訴えることだった。裁判が始まった12月2日、被告席から証言台に立った翁長氏は「日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか」と訴えた。

 この夏、国会前、そして全国の街頭に「民主主義って何だ」という問いがあふれた。沖縄で、私たちは問わざるを得ない。

■「民主主義ってどこだ」


 米国の意向に従うために、民主主義を破壊する。沖縄で起きていることは、今後本土に広がるだろう。安保法制が「本土の沖縄化」を加速させる。いま黙認すれば、いざ本土の番になって自治体が抵抗しようとしても、手段は全て奪われた後だ。愛知県岩倉市、長野県白馬村、東京都武蔵野市。そのことに気付いた少数の本土自治体の議会が、地方自治侵害を懸念する意見書を採択している。
 辺野古の現場では、いまも対峙が続く。

冒頭に登場した男性は、病院でコルセットを巻くと、すぐに座り込みに戻ってきた。「機動隊には負けない。またみんなと一緒に頑張りたい」

 そうする理由は、いくらでもある。美しい海をつぶさせない。これ以上、沖縄差別を許さない──。骨は折られても、県民の心は折られていない。(初出:朝日新聞出版「AERA」12月14日号)

 

  • 阿部岳(あべたかし)
  • 沖縄タイムス社北部報道部長

1974年東京都生まれ。上智大学外国語学部卒。97年沖縄タイムス社入社、政経部県政担当、社会部基地担当、フリーキャップなどを経て現職。著書「観光再生―テロからの出発」(沖縄タイムス社)。

 

 

 


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