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【社説】 被ばく労災 廃炉の担い手こそ守れ(東京新聞)

2015-10-21 16:48:04 | 福島、原発

                                                                      画像byShoichiro IkenagaさんFB

東京新聞 TOKYO Webhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015102102000139.html

【社説】 被ばく労災 廃炉の担い手こそ守れ

 東京電力福島第一原発の事故処理で高線量の被ばくを伴う作業が続いている。被ばくによる労災も現実となり、壁が厚い補償認定の見直しが必要だ。廃炉への道は作業員の安全が守られてこそある。

 廃炉に向けた過酷な作業が続く現場では、過密な労働環境で事故が相次いでいる。二〇一三年度に三十二件だった死亡・負傷は一四年度には六十四件に倍増した。

 各地で原発再稼働を進める政府はさらに、重大事故時に許容される作業員の緊急被ばく限度を、現行の年一〇〇ミリシーベルトから二五〇ミリシーベルトに引き上げようとしている。作業員にさらなる被ばくを強要するのは命の軽視ではないか。

 原発労働者の安全対策や補償は不十分だ。がんを発症しても労災認定の壁は厚い。厚生労働省が胃、食道、結腸がんについて、事故翌年の一二年に公表した労災補償の考え方では、がん発症との関連がうかがわれるのは「被ばく線量は一〇〇ミリシーベルト以上」「被ばくから発症までの期間は五年以上」などと高いハードルを課している。

 だが、「何ミリシーベルト以下ならがんは発症しないという境界はない」と指摘する専門家は少なくない。厳しい基準を一律に当てはめるだけでは、収束作業で増える労災の認定が進まなくなる。厚労省によると、福島原発事故の作業での労災申請は十一件。認定例は原子炉建屋の覆い設置などに従事後、急性骨髄性白血病を発症した北九州市の元作業員のケースのみ。

 現場の安全対策を問う裁判も始まった。事故収束作業に従事し、胃などにがんを発症した元作業員男性が九月、東電と元請け会社などに損害賠償を求める裁判を札幌地裁に起こした。男性は「事業者が安全配慮を怠り無用な被ばくをさせた」と主張。被ばく線量は一一年七月から四カ月で五六・四一ミリシーベルト。線量も発症までの期間も基準に満たないなどとして労災を認められていないが、高線量の作業は線量計を持たずに行ったという。

 男性のケースのほかにも、線量計に鉛カバーをして線量を低く抑えたり、被ばく線量をごまかして働かせている問題が発覚した。男性の裁判を通じて、作業実態が明らかになれば全体的な点検、見直しは不可避になる。

 国や東電は、がん検診や健康管理手帳の交付について、福島原発事故後の「緊急作業」に従事した人に限らず幅広く、離職後も含めて受けられるようにすべきだ。何十年もかかる廃炉作業は担い手が守られなければ成り立たない。

 

 


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