こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

谷川岳(旧道)散策、一ノ倉沢出合、2013年5月

2013-05-30 | 谷川岳・草津白根山

先週(5月22日)、私達は谷川岳旧道(国道291号線)を歩いた(ロープウェイ駅 → マチガ沢出合 → 一ノ倉沢出合、往復約6 km)。この国道では、今年から冬季通行止め期間が終了しても、谷川岳登山指導センター下から出合まで、一般車両の通行ができなくなる(みなかみ町観光協会HP)。

 

旧道沿いでは、ブナの新緑が鮮やかであった。左側に写っている石垣は明治18年に完成した清水峠道の遺構であろう。ところで、この道は上杉謙信などが利用した歴史街道でもある。

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谷側から、湯桧曽川での流れと白毛門の急峻な山腹を流れる雪融け水の音が響いてきた。流れの音を聞きながら、私達は新緑のトンネルのなかを歩いた。

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ところどころにあるトンネルの切れ目では

湯桧曽川の対岸に、残雪を抱く白毛門、笠ヶ岳、朝日岳がある。ここでは、出会った人との歓談が弾んだ。その人は語った、「学生時代(山岳部)、残雪の白毛門は訓練の場であった。そして、5月頃の雪渓歩きは油断大敵である。」と。

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通常は、1時間ほど歩くと一ノ倉沢出合に着く。しかし、私達はいくつかのスポットで、花の様子を知るために寄り道をしながら、出合に向かった(1,5時間)。出合では雪融けがかなり進んでいた。しかし、沢は依然として厚い雪渓で覆われていた。


烏帽子岩奥壁、中央稜テールブリッジ、コップ状岩壁に雲漏れ日が射すときを待って。なお、岩壁は午後になると日陰に入ってしまう。

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岩壁(滝沢)には、稜線の雪融けに起因して、落差の大きい、この時期ならではの滝が現れていた。

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雪渓の下から、雪融け水が激しく流れ出している。数人が雪渓の上を歩いていた。雪渓には外からは見えない割れ目があるかもしれない。そのような場所で踏み抜いたときのアクシデントの結果を想像して、私達は臆病者になってしまった。杞憂のことかもしれないが。

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振り返ると、白毛門、笠ヶ岳と沢を覆う雪渓。岩壁の姿をカンバスに描いている人がいた。

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マチガ沢出合にて(帰路)。中央(稜線)のピークはトマノ耳(山頂)である。

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マチガ沢出合にて

ツツジでは、花の色がはっとするほど濃かった。

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谷川岳(天神尾根)散策、展望と花、2013年5月

2013-05-27 | 谷川岳・草津白根山

一昨日(25日)、北関東の天候は曇りであったが、私達は谷川岳(天神尾根)に向かった。新潟県側の天候は晴れであることを知ったからだ。途中、自動車道(北関東、関越)では赤城山、榛名山、子持山、武尊山、そして谷川岳がほとんど見えなかった。もしかすると、赤城山などでは雲海の世界が広がっているかもしれない。行き先を変更しようか。


しかし、水上ICで、残雪の谷川連峰が青空に聳える姿を見たとき、私達の迷いは消えた。天神平と天神峠には多くの観光客が訪れていた。しかし、リフト降り場近くの残雪(雪渓)が妨げとなったのであろう。天神尾根は、静かに展望と花を楽しむ上で格好の場所となっていた。


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山頂を眺める。中央は山頂(トマノ耳、1963 m)、その右側の岩峰はもう一つの山頂(オキノ耳、1977 m)。それらの前の岩尾根は西黒尾根(登山道)である。山頂付近(左側)には肩の小屋が見える。


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山頂付近(天神尾根登山道)のクローズアップ。登山者(4名)が肩の広場に至る天神尾根登山道を覆う雪渓の上を歩いている。ところで、群馬県谷川岳登山指導センターのHP(今日の谷川岳)に、登山ではアイゼン、ピッケルなどのしっかりとした雪山装備が必要であると記されている。

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さて、雪が消えた尾根道の周辺では、タムシバ、ショウジョウバカマ、イワウチワ、イワナシ、マンサクなどの花が開いていた。また、アズマシャクナゲの蕾も赤くなっていた。画像において、左端の岩稜は俎倉(マナイタグラ)尾根である。

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俎倉(中央)を背景としてタムシバの花

 

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ところで、麓の谷川温泉で眺める俎倉の姿は壮観だである。ときには、この尾根に沿って流れる滝雲を見ることもできる(2009年4月撮影)。

 

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山頂を背景とするタムシバの花

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開きつつある花には、如何にもモクレン科の花らしい質感と美しさがある。

 

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タムシバ(田虫葉)
モクレン科モクレン属の山地に自生する落葉性木。天神尾根のものは低木型である。芳香があることから、このものにはニオイコブシとの別名がある。花は葉の展開に先がけて開く。



タムシバ以外の花

ショウジョウバカマ(猩々袴、シュロソウ科ショウジョウバカマ属)尾根沿い斜面には、このものの群生地のようなところがある。

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イワウチワ(岩団扇、イワウメ科イワウチワ属)。花名は岩地に生えることと葉が団扇に似ていることに由来する。

 

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北陸から近畿地方には、トクワカソウと呼ばれる近縁種が分布している。谷川岳は関東と北陸を分ける分水嶺(中央分水嶺)だ。イワウチワとトクワカソウが混在していても不思議でない。両者は葉の形で区別できると言われている(山渓ハンディ図鑑2、山に咲く花(増補改訂版、2013年)。しかし、谷川岳では区別が難しい個体が多いような気がする。

 

 

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終わりに、当日の展望から

左から、笠ヶ岳(1852 m)、朝日岳(1945 m)、白毛門(1720 m)。そして、右最奥は至仏山(2228 m)である(12時頃)。

 

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私達は、天神峠から天神平までスキーゲレンデを歩いて下山しようとした。ところが、ゲレンデの下部は残雪で埋まっていた。私達はまたしても残雪に降参となった。ともかく、強行突破は避け、ゲレンデを登り返した。

ちなみに、ゲレンデでは、雪が完全に消えると、ナエバキスミレやサンカヨウなどが咲く。

 

 

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5月25日午後撮影。EOS 6D、EOS EF17-40 mm F4L USM、EF70-200 mm F4L IS USM、RAW、現像ソフト Aperture 3。