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2022-11-20 | 読書
【2022.11.20(sun)】
感性で描かれる心情

・第167回(2022年)の芥川賞を受賞した中編小説が “群像” に掲載されていた。 
“おいしいごはんが食べられますように”


<群像 2022.01月号>

・春には既に単行本化もされている。➡ <おいしいごはんが食べられますように 高瀬隼子著 講談社 2022.03.24発売>


・このストーリーに登場するのは主人公であろう1人の男性「二谷」と「押尾」「芦川さん」の2人の女性。
「二谷」が視点の人物になるパートと、一人称で「押尾」の語るパートが交互に現れるのが効果的。

・一方「芦川さん」の心底の気持ちは最後まで触れられることがない。
彼女のキャラは終始客観的に描かれ、無邪気なのか計算なのか掴めないままで、読む方は落ち着かない。 

・著者はこの作品を書き上げてから “題” を付けたとのこと。
食が焦点にはなっているが、内容と題名がどう結びつくのか読み進んでも中々分からないし、ラストもモヤモヤ感有り。
テーマはあってもそれを解決するのではなく、この後の展開は読者が考え解釈はそれぞれに委ねられているような気がする。

・とても面白い恋愛小説。二谷と押尾の断片的な思考の表現が上手で、読んでる最中によく笑った。
現代日本のリアルな縮図?、答えを導けないのが世の不条理を表しているのかもしれない。 

・人物の描き方、言い回し、心象表現は女性ならでは、いや高瀬さんだからこそ描けた?
才があり、巧みな著者ですね。 

<参考>高瀬隼子さんの他の作品
「犬のかたちをしているもの 集英社 2019年」:第43回すばる文学賞
「水たまりで息をする 集英社 2021年」:第165回芥川賞候補

・文芸雑誌は余り読んでこなかったが、パラパラめくる内に自分の好みにピッタリの作品に出合うことがある。
新旧様々の作家さんに出逢える。これがいい処かも知れない。 

I.O.

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