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武器はガチャ、そして(17)

2016-11-15 21:11:30 | SF小説
そして、最終の第三ステップとして、ロボットアームを搭載したロケットでガチャの容器を格納したチタン容器を打ち上げ、ロケットを小惑星の基地に固定し、ガチャの容器を納めたチタン容器をロボットアームで取り出し、保管場所の基礎に固定して、チタン容器を基礎にあわせて結合する作業が進められた。

ガチャの容器を格納したチタン容器打ち上げ用に人工衛星が種子島ロケット発射場から発射の準備が整えられ、燃料の注入を終えて発射の秒読みが開始された。

「燃料タンク異常なし。」
「軌道制御ロケット異常なし。」
「ロボットアーム異常なし。」
「チタン容器格納カプセル異常なし。」
「秒読みを開始します。」
「10、9、8,7、6、5、4、3、2、1、発射。」
「1分経過、5分経過、10分経過、順調に上昇しています。」

こうして、ガチャの容器を格納したチタン容器カプセルを搭載したロケットが打ち上げられ、永い時間をかけて無事に小惑星に到着し、既にロケットの固定用に建設された基礎に固定された。

「ロボットアームで格納容器を取り出します。」
「格納容器の基礎設置が終わりました。」
「格納容器固定の基礎に地上からレーザービームを照射します。」
「照射成功。格納容器は基礎に固定されました。」
「レーザービームの照射が終わったので、基地に設置したカメラの運用を開始します。」

地上の管制室のモニターには、基礎に固定された格納容器の画像が映し出され、この映像が常任理事国に配信され、ブラックホールの健全性が開示されることになった。

武器はガチャ、そして(16)

2016-11-14 21:12:09 | SF小説
そして、設計済みである最終保管場所の建設がスタートした。
その全容は、

第一ステップとして、
保管場所の建設コントロール用にカメラを搭載した着陸船が三基で三方向から監視を行い、指令船が上空から全体を監視する構成になっている人工衛星を打ち上げ、建設完了後はこの人工衛星で保管基地の画像を地球に送り続ける。

第二ステップとして、
人工衛星のデータに基づき、地球上から強力なレーザービームを照射して保管場所の基礎工事を行う。これは、小惑星への隕石衝突による衝撃で、チタン容器が宇宙空間に放出されるのを防止するための基礎である。

第三ステップとして、
ロボットアームを搭載したロケットでガチャの容器を格納したチタン容器を打ち上げ、ロケットを小惑星の基地に固定してガチャの容器を納めたチタン容器をロボットアームで取り出して保管場所の基礎に固定する。
そして、そのチタン容器を基礎に合わせて結合する。
との計画になっている。

そして、第一ステップとして、保管場所の建設コントロール用に人工衛星が種子島ロケット発射場から発射の準備が整えられ、燃料の注入を終えて発射の秒読みが開始された。

「燃料タンク異常なし。」
「軌道制御ロケット異常なし。」
「ロボットアーム異常なし。」
「着陸船異常なし。」
「指令船異常なし。」
「監視カメラ異常なし。」
「秒読みを開始します。」
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、発射。」
「1分経過、5分経過、10分経過、順調に上昇しています。」
こうして人工衛星が打ち上げられ、永い時間をかけて無事に小惑星に到着し、着陸船が予定した場所に着陸して運用が開始された。

その次の第二ステップとして、
人工衛星のデータに基づき、地球上から強力なレーザービームを照射し、ガチャの容器が納められたチタン容器の固定装置の基礎工事を行い、固定の準備が整った。
そして、アンカーボルト用基礎の穴の位置の微調整が開始された。

「位置確認レーザー光線、照射。」
「位置修正、仰角プラス1度、方位右プラス5度。」
「了解、位置修正。仰角プラス1度、方位右プラス5度。照射。」
「位置確認OK。本番照射します。全員遮光ゴーグル着用。」
「照射。」
「成功しました。続けてもう一基の基礎に照射します。」
「位置修正、仰角マイナス3度、方位左プラス2度。」
「了解、位置修正。仰角マイナス3度、方位左プラス2度。照射。」
「位置確認OK。本番照射します。全員遮光ゴーグル着用。」
「照射。」
「成功しました。」

武器はガチャ、そして(15)

2016-11-13 09:31:54 | SF小説
第十四章 最終保管場所

科学推進省では大臣をはじめとする官僚がガチャの容器の保管場所に関する緊急会議を開催していた。

「今は日銀の地下金庫に納めて、自衛隊が警備に付いているが、この方法は長期的に安全な保管方法ではない。いや、日銀が不適当というのではないが、日本の中枢機関に人類の脅威となるものを保管することは、如何なものかと考えます。指揮系統の中心だから監視が行き届くという考え方が有るのは理解できますが、あまりにもリスクが大きすぎます。」

「それでは日本の何処が最適だと思うのかね?」

「地震国であり、火山国である日本にはどこにも最適な場所など有りません。」

「火山が無くて破砕帯も走っていない沖縄の地下に保管することはできないのかね?」

「沖縄には玉泉洞に代表されるように地下の地層は地下水によって侵食されて強度が低いのです。」

「それでは、日本以外のどの国に持って行こうというのかね?」

「外国はダメです。発展途上国は交渉がしやすいでしようが、人類の存亡のかかる物に対する保管リスクが大きすぎます。」

「それでは何処へ持って行こうというのかね?」

「小惑星です。小惑星に保管基地を建設し、地球から監視するのです。日本や地球上で保管するのが不適当なのであり、早急に宇宙に保管場所を建設すべきです。」

「それではどの小惑星にするのかね? そして、その小惑星を選択した根拠は何なのかね?」

「木星の衛星であるエウロパの近くにある1986QZ68537で、地球からの距離は、地球と太陽との平均距離に基づく天文単位auは3auで、大きな木星の近くあって安定した小惑星だからです。」

「なるほど、位置的には地球からコントロールしやすいし安定しているのが理想的であるが、他の国の了解が得られるのかが問題だな。総理大臣の了解が得られれば、国連の宇宙問題協議会総会で趣旨説明を行い、加盟国の賛同を得るようにしよう。」と、科学推進大臣が賛同した。

「是非お願いします。人類が存続するのには、これしか方法は有りません。」
と科学推進省の局長である山上久志が力説した。

「よし分かった。早速、各国と連絡をとり趣旨説明を行い、賛同を得られるように調整を行おう。そして、国連の常任理事国へは、首相自ら訪問して説得を行ってもらい、軍事基地の建設ではない旨を正確に伝えて拒否権を発動しないように説得をお願いしよう。そして、各国に賛同を求めている間に、保管基地の設計を進めて時間の短縮を図らなければ、不測の事態に対応できなくなってしまう。これは日本いや地球存亡の危機なのだから。」
と、科学推進大臣。

そして、常任理事国以外の国の80%から賛同を得て、常任理事国を訪問している総理大臣からの連絡を待った。

「二か国が軍事基地への転用が懸念されるとして了解をしないが、二か国以外は理解をしてもらった。」

と総理大臣の随行官僚から連絡があり、二か国に対して引き続き賛同を得られるように調整が続けられた。

そして、小惑星で建設するガチャの容器の保管場所からの常時監視画像を公開することを条件に賛同が得られたとの連絡があった。

「軍事力を拡張している国は、軍事力を中心に判断するから、今回のような人類存亡リスクを最小限にする安全確保に関する理解力が乏しいのかなあ。とりあえず常任理事国全ての賛同が得られたので一安心だな。早速、建設計画を進めよう。」

と、総理大臣の随行官僚が総理大臣の意向を代弁した。

武器はガチャ、そして(14)

2016-11-12 10:36:07 | SF小説
第十三章 テロリストの脅威

科学推進省では地震の恐怖とは別に、一部の国の過激派によるテロも警戒が強化された。

「もし、このブラックホールがテロリストに渡ると、消滅させる技術が見出だせない今は、テロリストの要求をのまざるをえない。
なぜならば、もし奪われたブラックホールの所在が明らかになっても、戦闘機を使った攻撃ができないことは、皆様もお分かりだと思いますが、空爆が意味するのはブラックホールを巨大化させるだけで、消滅はしないのです。
自爆テロを常套手段とするテロリストは、自分達がブラックホールに呑み込まれて消滅してしまうことは、脅威ではなく英雄として天に召される光栄なことなので、地上戦による奪還も成功する見込みは皆無に等しいのです。
ですから、今できることは、ブラックホールの保管場所である日銀の地下金庫の警備態勢を完璧な状態に強化することです。」

「それでは自衛隊を一個師団配置に付け、ミサイル防衛システムの配備も行いましょう。
それから、サイバー攻撃に対処するために、コンピュータシステムのハッキング対応も強化し、すべての通信が暗号化すると同時に、ハッカー攻撃の24時間監視も強化しましょう。」

そして、この防衛態勢は直ちに実施され、日銀の近辺は自衛隊と警察による警戒と共に交通規制がしかれた。

武器はガチャ、そして(13)

2016-11-11 21:28:29 | SF小説
第十二章 地震発生

新二郎の携帯電話の緊急地震警報が鳴り響き、程なく揺れが始まったが、揺れはそれほど大きくはなく直ぐに治まった。
「お父さん、ビックリしたね。」
「そうだね。」
その時、科学推進省では地震の脅威を深刻に考えていた。

「今はガチャの容器は地下の緊急用の備蓄倉庫にステンレスの箱に入れて保管しているが、地震がもっと大きくて、この建物が倒壊してステンレス容器がつぶれたら、ブラックホールの容器のガチャも破損して、ブラックホールがむきだしになってしまう。これは、多くの容器の内、一個でも破損するとその中のブラックホールが他の容器を次々と呑み込み急激に巨大化して地球自体が呑み込まれてしまう可能性がある。」
「それでは、保管する建物は日本一頑丈な日銀の地下金庫にして、ブラックホールを入れたガチャの容器は厚さ10センチのチタン合金の容器に一個ずつ入れるようにしよう。これだと100トンの破壊力に耐えられる。」
「100トンの破壊力を例えるとどれくらいなのかね? 1トンの鉄球が100mの高さから落ちてきた時の衝撃と同じかね?」
「イメージとしては、そういうことになりますね。」
「しんかい6500は厚さ7.35センチのチタン合金でできていますし、溶接部分の強度を保つために原子力発電所で使われる真空中でビーム溶接されています。ですから6500メートルの深海の圧力に耐えられているのです。是非この技術を活用しましょう。」
「それでは仮に地震で建物が倒壊しても大丈夫だな。それでは、その案を進めよう。」
その方針に従い、チタン合金製の容器の作成と、日銀の地下金庫への搬入が開始された。
「このチタン合金の容器にガチャの容器を一個ずつ入れるんだ。」
「このオモチャを入れるんですか?」
「そうだよ。いつ地震が発生するか予測できないから早く終わらせよう。」と科学推進省の若手技術者が不安を抱えて語った。

その作業中にも余震が発生してヒヤリとさせられたが、無事に全てのガチャの容器をチタン合金の容器に入れて日銀の地下金庫に保管することができたので、全員がほっとしている時にも、また余震が発生した。
「無事に終わって良かったね。しかし、これは老婆心ではなく現実の脅威だからね。」
こうして任務遂行を終えた科学推進省のメンバーは事務所に帰って行った。