ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

ビシュコフ&N響(前半)~デュビュニョンの日本デビュー~

2013-04-25 21:24:01 | N響
昨日(24日)サントリーホールでのNHK交響楽団第1753回定期公演を聴いてきた。指揮はセミョーン・ビシュコフ。ピアノはカティア&マリエル・ラベック。

【演目】(※はアンコール曲)
デュビュニョン/2台のピアノと2つのオーケストラのための協奏曲「バトルフィールド」
※バーンスタイン/ウェストサイドストーリーから「ジェットソング」
※山田耕筰(デュビュニョン編)/赤とんぼ
  ~休 憩~
ベルリオーズ/幻想交響曲
《19時00分開演、20時55分終演》

1曲目。リシャール・デュビュニョンは1968年スイス・ローザンヌ生まれ。歴史学を勉強した後、20歳から音楽を始め、パリ音楽院、イギリス王立アカデミーで作曲を学ぶ。これまでにジャニーヌ・ヤンセンなどのための曲を書いたりして、ヨーロッパでは注目されている作曲家らしい。自身もコントラバスやオーボエを奏でるという。

今回の曲はもともとロサンゼルス・フィル、パリ管、ケヴェントハウス管、スイス・ロマンド管の共同委嘱作。初演は2011年11月11日にロサンゼルスで今回のコンビであるセミョーン・ビシュコフ指揮、ピアノはカティア&マリエル・ラベックで行われた。ちなみに、マリエルはビショコフ夫人。

ステージには2台のピアノがセンターに置かれ、それを境に左右に2つのオケが編成される。弦は共に8-6-4-4-3で、下手(左手)側に高音系の木管金管打楽器そしてエレキベースが加わり、上手(右手)側に低音系の木管金管打楽器が配置される。

プログラムによると、デュビュニョンが初期ルネサンス画家のパオロ・ウッチェロが描いた『サン・ローマの戦い』をヒントに書かれたということで、「開戦の合図」「交渉」「パレード」「戦い」「休戦」「とどめの一撃」「葬送と凱旋の行進曲」「平和と和解」「祝祭」の9曲によるドラマチックな展開になっている。

で、曲の作りは非常にオーソドックスな感じで、いわゆる現代音楽っぽくなくかなり解りやすい。作曲家がフランス人ということもあるせいか、ドビュッシーやベルリオーズの影響を受けていると思われる。またストラヴィンスキーのバレエ音楽の感じがしたりもする。全編を通して下手側は攻め手側という感じで威勢のいい音色を奏で、上手側は守る側でなんとか死守しようとする音色で、そのせめぎ合いがよく表れている。そして、2台のピアノは指揮官の戦略や思考を表しているようで興味深い。

ただ、なにぶん初めて聴いた曲なので、しっかりと把握することはできなかったが、この曲は別にラベック姉妹が演奏するのではなく、他の人たちが弾いても面白いのではないだろうか。もし男同士のピアニストだと曲にもっと生々しかが入るような感じもする。

演奏終了後、初来日という作曲のデュビュニョンが紹介されたが、演奏にはかなり満足している様子だった。というのも、日本初演にもかかわらず、N響はビシュコフの指揮の下、丁々発止の見事な演奏をしたからだろう。この力量は称賛に値すると思う。

アンコールは1曲目の“戦い”というテーマの関連性から『ウェストサイドストーリー』の「ジェットソング」を2台のピアノで、もう1曲は1台のピアノの連弾で『赤とんぼ』を弾き、ラベック姉妹の魅力を垣間見せてくれた。

※後半の感想については明日アップする予定。