ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

ステファヌ・ドゥネーヴ&シュトゥットガルト放送交響楽団

2013-04-12 09:46:15 | 海外オーケストラ
一昨日(10日)、サントリーホールで開かれたシュトゥットガルト放送交響楽団の東京公演を聴きに行ってきた。指揮はステファヌ・ドゥネーヴ。ヴァイオリンは三浦文彰。

【演目】(※はアンコール曲)
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
※J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番よりサラバンド
  ~休 憩~
ベルリオーズ/幻想交響曲
※ビゼー/アルルの女第二組曲から「ファランドール」
※ラヴェル/『マ・メール・ロワ』からパゴダの女王レドロネット
《19時00分開演、21時20分終演》

1曲目。三浦文彰は聴くのはおそらく3年ぶりだと思うが、その音色は以前より格段と成長していてすっかり大人になっていた。しかし、まだところどころに青臭いというか学生っぽさも残っていて、プロとしては甘さが目立ってしまうが、その分のりしろがあるということで今後が楽しみである。

第1楽章はかなりゆっくりとしたテンポ。後半のカデンツァでも三浦は一音一音を確認するかのようにゆっくり丁寧に弾いていく。そして、その音色(使用楽器はJ.B.ガダニーニ 1753 Ex Kneisel)は低音がしっかり伸びていて、この曲にマッチする。

第2楽章のオーボエは素晴らしかった。三浦を完全に食うほどで聴衆を魅了した。第3楽章は第1楽章の主題が第1楽章よりテンポが早く繰り返されるが、ここでも三浦はひたむきに丁寧に弾いていく。ブラームスがもつロマンや重厚さを表現する域には残念ながら達しているとは思えないが、十二分な聴き応えはあった。

数多くあるヴァイオリン協奏曲のなかでも、この曲はある程度年齢がいった人が弾く曲だと思うので、三浦にとっても少し背伸びをしたかもしれない。それでも約40分、堂々と演じたところには好感がもてる。演奏後、彼は会心の笑みを浮かべていたが、それも解るような気がする。ただ、これで満足することなく精進してもらいたい。

2曲目。弦は16型の対抗配置。コントラバスは木管の後方センターに配置する。その横上手(右手)側にティンパニーが2セット。反対の下手(左手)側に大太鼓など他の打楽器を配置。

以前にも書いたと思うが『幻想交響曲』ほどドラマチックな交響曲はないと思う。ベルリオーズが失恋の痛手から書いたこの曲を聴いていると、いろいろとイメージが湧いてくる。その意味において、ステファヌ・ドゥネーヴの指揮はシンコペーション的な少し変則的な動きがあるものの、ドラマチックさを緩急自在にうまく演出しているように思える。

プログラムによるとシュトゥットガルト放送交響楽団は13年に渡ってロジャー・ノリントンのピリオド奏法で名を馳せたそうだが、弦の奏者も誰もが思いっきりヴィブラート奏法でとてものびのびしていた。そして、指揮のドゥネーヴがフランス人ということもあってか、その音色はドイツらしからぬ洒脱にして少し甘酢っぱかった。