ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

良かったのか悪かったのか、N響のレクイエム

2013-04-20 23:25:52 | N響
昨日(19日)NHKホールで開かれたNHK交響楽団第1752回定期公演に行ってきた。指揮はセミョーン・ビシュコフ。

【演目】
ヴェルディ/レクイエム
《19時00分開演、20時40分終演》
  ソプラノ:マリナ・ポプラフスカヤ
  メゾ・ソプラノ:アニタ・ラチヴェリシュヴィリ
  テノール:ディミトリ・ピタス
  バス:ユーリ・ヴォロビエフ
  合唱:新国立劇場合唱団

ソプラノのマリーナ・ポプラフスカヤはMETの『ドン・カルロ』でエリザベッタを演じたのを観ているいが、そのときと同じで声質はいいものの声量が今ひとつ。ましてや今回は第1曲ではうまく声が出ず、また第7曲での表現力にも難があり決して褒められるものではなかった。

メゾ・ソプラノのアニタ・ラチヴェリシュヴィリは厚みのある艶やかな歌声で、歌手陣の先頭をきる活躍で大健闘。その容姿はどことなくジプシー的であるので、『カルメン』を演じたらハマりそうだなあと思ったら、プログラムにはミラノスカラ座の『カルメン』で「国際的名声を獲得する」と書かれていた。w

テノールのディミトリ・ピタスはの歌声は美しく、また端正なマスクは観客を引き込ませる役者としての素養もちあわせていて、テノールのスターになる可能性を秘めている。早々に新国立劇場も彼にアプローチをするべきである。

ユーリ・ヴォロビエフはバスということもあるが、手堅い感じがする歌手だった。それは演奏会形式だからなのかもしれないが、もう少し押しが強くても良かったのではないだろうか。

ビショコフは激情型の指揮者なのでかなり煽るところが多い。だが、今回は劇場型もしっかりと兼ね添えていて、特に合唱団に対して表現力をしっかりコントロールしていた。そして、約150人の新国立劇場合唱団もその指揮にしっかり対応していて、抑揚された歌声で全編を通して引き締ったパフォーマンスを演じた。いつもながら思うが新国立劇場合唱団のレベルは高い。

N響の演奏はレクイエムということもあり、全体としては控えめであったが決して悪くはなかった。特に低弦の響きはよく、ビショコフも終演後にチェロを称えていた。一方で、一部の金管からは妙に突出した音色が聴こえてきて興ざめすることが2、3度あった。

なんか良いところと悪いところが極端に現れた演奏会だった。