ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

クールなラフマニノフとポップなチャイコフスキー

2010-02-19 12:28:29 | N響
一昨日(17日)、サントリーホールでのNHK交響楽団第1669回定期公演を聴きに行ってきた。指揮はセミヨン・ビシュコフ。ピアノはアレクセイ・ヴォロディン。

【演目】
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調
  ~休 憩~
チャイコフスキー/交響曲第4番嬰ヘ短調
《19時00分開演、20時50分終演》

アレクセイ・ヴォロディンは1977年ロシア・サンクトペテルブルク生まれ。2003年チューリヒのゲザ・アンダ・コンクールで優勝。その後、マリインスキー管をはじめヨーロッパの有名オケと共演。特にゲルギエフとは定期的に共演している。バッハからガーシュウィンまで幅広いレパートリーをもつ。N響初登場。

1曲目。冬季オリンピックが開催されているからではないだろうが、極寒のラフマニノフという感じだ。アレクセイ・ヴォロディンが奏でる音色は氷柱から滴り落ちるような冷たさをもつ音色。加えて、冒頭の弦の音色も凍てついた大地にブリザードが走るような響き。サントリーホールの2階席にいるにもかかわらず、身震いするような第1楽章だった。

第2楽章はピアノ主体のアダージョなのだが、曲にあまり抑揚がない。ヴォロディンの音色は第1楽章同様に冷たいままで、表情豊かになっていかない。逆にオケが見事な抑揚をつけて、ピアノを引き立てていった。どことなく主客転倒の感じで消化不良だった。

第3楽章。ラフマニノフならで情熱的旋律が奏でられるが、ここでもヴォロディンは軽々しくクールな演奏を続ける。ちょっと物足りなさを感じるがこれが彼の芸術性なのだろう。フィギュアスケートの採点ではないが、技術点は十二分にあるが、芸術点(今は構成点)はもう少しあげてほしいという演奏だった。

2曲目。45分ぐらいかかる曲で、ビシュコフは楽章間も時間はしっかりと取った。しかし、演奏自体はあまりタメを作ることなく高速回転で演奏されていき、さほどロシアぽくない。どちらかというと、アメリカのポップス・オーケストラのような爽快感で流れていく。それでも、最終楽章ではチャイコフスキーならではのジェットコースター感も味わえ、最後は超高速回転の盛り上がっていき、N響にしては珍しく豪快に締めくくる。

このような演奏だと一言も二言もあるオジサンたちには受けつけないかなと思ったら、案の定、2階席のオジサンたちはサッサと帰宅の途についてしまったが、逆にオバサマたちはみんな楽しそうに拍手を送っていて、先日のNHKホールほどではないにしろ拍手が長く続いた。