【衆議院予算委員会 平成29年2017年2月8日(水)】
平成29年度予算案の7日目で、そのうち一般的質疑が2日目。
ここ数年のうちに、一般質疑が1日だけでテレビ入り集中審議を多くした年もあったように思います。今年は日程に余裕があります。野党・民進党は閣僚経験の無い若手だけで固めています。このため一般的質疑も多くなりそうです。このほか、理事会では集中審議の2日目で合意し、3日目も視野に。
そして、午後1時に再開したところで、「2月15日(水)に愛知県、沖縄県で地方公聴会を開く」ことが浜田靖一委員長から諮られ、全会一致で可決しました。
審議はおもに、共謀罪、文科省天下り問題、働き方改革となっています。このうち、共謀罪では「法案を出すな」、働き方では「法案を早く出せ」という攻防になっていますが、共謀罪と金田法相の資質に民進党のターゲットが絞られつつあります。
きょうの審議では、自民党の星野剛士さんが登場。与党もまずは共謀罪について金田法相への質問から入りました。
おととい、金田法相が、法務省内法曹記者クラブに、文書を配布し、撤回する騒動がありました。法相はこの文書に「法案提出後に法務委員会で法務省刑事局長をまじえて審議すべきだ」という内容のことを自分で書いたそうです。きょうの審議のなかで、法務事務次官と官房長が文書に目を通していたことを指摘され、法相は「知らなかった」としました。逢坂誠二さんは総務政務官でしたが、「私も経験があるが、大臣がこのような文書を配布しようとすれば、事務方が止めるか、あるいは、政務三役に止めてもらおうとするはずだ。大臣は法務省内で孤立無援なのではないか」としました。
金田法相は「法務省内では大臣には大臣の所掌事務がある、刑事局長には刑事局長の所掌事務がある」と珍答弁。大臣が法務省全体の責任を負うつもりがないとも受け止められかねず、民共自社の野党幹事長は金田法相辞任で足並みをそろえることを決めました。
共謀罪以外では、民進党の鈴木義弘さんは新三本の矢GDP600兆円をただしました。なかなかかみ合わなかったのですが、麻生太郎財務大臣に呈して「大臣は相手の目を見て答弁してほしい」と語りました。
共産党の大平喜信さんは「被爆地広島の出身だ。広島選出の岸田外相に核兵器の無い世界をどうつくっていくのか聞きたい」。
日本維新の会の2人の質問は、まとまりがなく、うち一人は「出直してきます」と語りました。国対チームをつくって質問している民進党とそうでない維新とでは、一般的質疑が連続する予算委員会でのたたかい方がかなり変わってくるなと感じました。
あすも午前9時から。
【参議院国民生活・経済に関する調査会 平成29年2017年2月8日(水)】
参議院では3つの調査会とも、参考人質疑がありました。新しい3つの調査会が迎える最初の通常国会となります。
川田龍平会長率いる、国民調は、水野和夫法大教授、日本総合研究所の河村小百合さんらから世界経済金融・格差について、15分程度ずつ話を聞き、質疑しました。
河村小百合さんは名前に覚えがあったのですが、預金封鎖について、NHKニュースウォッチ9が取り上げた時に登場した人です。
自民党の元栄太一郎さんは「河村先生から、戦後の預金封鎖について話があったが、もっと詳しく聞きたい」との質問がありました。
これについて、河村さんは預金封鎖が必要になるシナリオについて説明しました。私が簡単にまとめると、量的緩和により過剰流動性が生まれており、日銀が金利をコントロールできなくなった時に、海外との金利差が生まれると資金が流出する。この際に、国債の利回りが高まり、政府が見積もった利払い費が例えば年5兆円追加になると新規国債も発行できず社会保障費も削れず預金封鎖が必要なる、との見解のようです。示唆に富みますが、どうも、河村さんは日銀のバランスシートだけで量的緩和をとらえているように感じました。そこで経歴を見たら、新卒で日銀に勤めていた人のようです。
水野さんは「永久ゼロ国債を発行すれば、100年間、株式と違って配当は無いけれども、日本政府からよい行政サービスという配当を得られると思えばいい」という趣旨の答えをしました。私は水野さんの論に賛成です。
河村さんは「そうなってもいいのかと自民党の国会議員の先生に言ったら、そうなってもいい、日本なんか潰れればいいんだ、と言われた」とし、自民党内にもハードランディングな異次元の緩和の出口を考えている人がいることが浮き彫りになりました。
民進党の風間直樹さんは「日銀の財政毀損がある可能性が指摘されたが、既に私の関心はその後の、新しい日銀の設立に向かっている。新日銀にどのように信用秩序を付与するか。政府から新日銀に不動産の供与などか、金などの実物資産を付与するのか」としました。これには河村参考人らも、「随分先の話で驚いた」としながらも、「中央銀行がしっかりしないと国民生活が守れない」と強調しました。
【参議院国際経済・外交に関する調査会 平成29年2017年2月8日(水)】
鴻池会長のもと、榊原英質さんや、白石隆教授、日中友好協会会長らから、参考人質疑をしました。
【参議院資源エネルギーに関する調査会 平成29年2017年2月8日(水)】
金子原二郎会長のもと、資源エネルギーをめぐる国際情勢について、参考人質疑をしました。実務者からは「モンゴルの大統領の前で、欧州人が鉱業法改正を要求したら、モンゴル大統領はあす改正すると答えた」とし、「欧州は動乱期にすぐに包括的なプランを持ってくる」とし、資源外交の実態を語りました。この調査会では、原子力発電の未来についても、順次議題にしていくことになります。
共産党の岩渕友さんは「私は福島出身だ」とし、今後予想される、原子力発電をめぐる長期的な議論でがんばりたいとの意向が漏れ伝わってくるところがありました。
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