【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]南スーダンPKO5原則「武力紛争」で成り立たない状況か、防衛相、法相追及続く

2017年02月09日 13時07分34秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

【衆議院予算委員会 平成29年2017年2月9日(木)】

 29年度予算案は8日目で、そのうち一般的質疑は3日目。

 2009年初当選で政務官経験の無い民進党3期ないし2期生の猛攻で、たびたび審議が止まる、史上最も熾烈な一般的質疑となっています。

 ポイントは2点に絞られてきました。(1)防衛省が持つ南スーダンPKOの日報で「ジュバで戦闘があった」と繰り返し出てくることと憲法9条及びPKO協力法参加5原則との整合性(2)共謀罪について国際テロ防止条約の批准に必要なテロ等準備行為3つについて包括的なものとして立法する事実が無いとする点ーーをめぐる、防衛相、法相の答弁とその揺らぎです。

 民進党の後藤祐一さん、緒方林太郎さんらの問いに、稲田防衛相は「日報に書かれた南スーダンジュバでの戦闘とは、法的な意味での戦闘では無い」としました。憲法9条の武力の行使にあたらず、PKO5原則である停戦合意も維持されているとの認識を示しました。

 浜田靖一委員長の差配で、横畠裕介内閣法制局長官が答弁。「PKO協力法では武力紛争という言葉を使っているが、あえて、武力行使という言い方をしている」としPKO継続を内閣法制局がアシスト。

 緒方さんは「りんごと、赤いりんご、は同じだ」と語りました。

 私は大統領軍と前副大統領軍がたたかい、大統領軍が国連文民の警護に応じなかった南スーダンは、原則から外れているように思います。日本だけでなく、国連の問題もあるでしょう。

 金田法相の答弁もたびたびストップ。民進党の山尾志桜里さんは「TOC条約の批准に必要なテロ準備行為の(1)ハイジャック(2)サリン等(3)サイバーの3つの穴は(現行法及び政令の改正すればいいので)埋まった」とし、包括的な共謀罪の法案については「立法事実が無い」と語りました。金田法相は、成案(改正法案の政府原案)ができるまでに、それ以外の罪が出てくるかもしれない、というたいへん厳しい答弁。

 この後、共産党の高橋千鶴子理事は、法相と防衛相の答弁の祖語について精査するよう委員長に頼みながら、東北の被災者の国保受給状況について厚労大臣に問いました。

 維新の井上英孝さんも共謀罪論争に参戦。維新は、法務省刑事局長も呼んでの議論をして、民進党と一線を画しました。

 委員長の判断で後回しになった緒方さんの残りの質疑。ここで、法務省大臣官房秘書課長が政府参考人として登録されました。課長の答弁は異例。課長は、「大臣が記者クラブに配った文書は、私が記者ブリーフィングすることになり、事務次官に判子はもらっていないが報告したので決裁を受けている。公文書だ」と述べました。

 おそらく今夜麻生財務相が訪米しますから、次回の開催は公報で知らせることにして、昼過ぎに散会しました。

【参議院情報監視審査会 平成29年2017年2月9日(木)】 

 おそらく人事案件だと思います。

【参議院外交防衛委員会】

 国際情勢に関する参考人質疑がありました。岡本アソシエイツの岡本行男さんは「アメリカの有権者で最も多い白人女性の53%がトランプ大統領に投票しており、排外主義というよりも経済的な問題で支持された。トランプ大統領は就任直後ということで過激な判断をしているように思えるが、アメリカ社会の健全性は保たれているのではないか」などと話しました。

 公明党の浜田昌義さんは「ブレクジットやトランプ大統領の動向に関心を持っている」と熱心に質問しました。

【衆議院議院運営委員会】

 本会議の段取りなど。

【衆議院本会議 平成29年2017年2月9日(木)】

 国会同意人事。情報公開・個人情報保護審査会の委員に、泉本小夜子さんら。国家公安委員、NHK経営委員、中央労働委員会などの同意人事がありました。

 三国谷勝範預金保険機構理事長の続投の同意は起立多数で認められました。

 国会同意人事のみで散会しました。

この記事の本文は以上です。

(C)2017  宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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法相、2017年2月9日、「少年法・刑法」改正をついに諮問

2017年02月09日 00時00分01秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」

(8日投稿、9日付にフォワードデートしました)

 法務大臣は、平成29年2017年2月9日(木)、法制審議会(第178回会議)

 「少年法における少年の年齢及び犯罪者処遇を充実させるための刑事法の整備に関する諮問について」を

 諮問。

 少年法改正や、それによる刑法改正案を審議していくことになりそうです。

 少年法改正の動きはずっと続いており、当ブログでも大臣答弁などを受けて、

 2015年10月に(2017年通常国会にも、18歳・19歳を成年とする民法などの改正法案を提出したい意向 岩城法相


 2015年10月に(18歳・19歳を少年法から除外することも含めた検討会、少年法改正案提出につながる可能性も) 


 という記事を書いております。

 私は、民進党下野政権交代後、なんとなく、法務委員会に関心を持って国会傍聴をしていますが、少年鑑別所の規定が、少年法にあったことから、「不起訴」となる事項も一緒に入っていることに驚き、2014年5月のエントリー(◎私たち大人は「少年鑑別所法案」を今国会で成立させる「圧力団体」になろう 声なき声を国政に

 に書いたりしました。

 幹部公務員に聞いても、日本の法学部では、少年法をメーンの専攻にしている教授はおらず、少年法が卒業に必要な授業にはなっていないようです。

 私はどちらかというと、少年法のご厄介になる若者が多い環境に生まれ育っています。警察のご厄介にある少年にすべての責を負わせるのは、社会として無責任だと考えます。もちろん、限界はありますが・・・

 上記の少年鑑別所法が国会で成立した後、いろいろな動きがありました。

 厚生労働省の方では、児童福祉法改正をめぐって関係者から「18歳の春に、児童養護施設卒業と就職を同時にするのはリスクが多いので、21歳程度まで引き上げるべきだ」との声が体勢になりましたが、改正法では省かれました。

 改正公職選挙法で、選挙権が18歳・19歳に付与されました。

 民法改正でも18歳・19歳の在り方が問われています。

 さらに、おもに、18歳の判断となるであろう、奨学金のあり方を審議する、日本学生支援機構法の改正案や平成29年度予算案を閣議決定し、国会で議論。

 さまざまな議論が並行的に続いています。

 すこぶる恵まれた家庭に生まれ育った私にできることを、一言居士として、例え殴られても、これからも言っていきます。

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【追記有】会社法改正案、2019年以降の国会提出視野 株主総会の関連資料を郵送からインターネットへ

2017年02月09日 00時00分00秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

(8日投稿で、9日付にフォワードデートしました)

 「会社法改正案」の2019年以降の国会提出も視野に、法務大臣は、平成29年2017年2月9日(木)の法制審議会第178回会議に「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する諮問」を諮問。

 事前報道によると、株主総会の資料を事前に郵送していたものを、インターネットでもできるようにすることが議題となります。このほか、社外取締役など、細かい改正要望も、包括的に議題になるかもしれません。

【追記 2018年12月29日】

 要綱案が出来上がりました。

 会社法改正案(198閣法 号)は2019年1月召集の第198回通常国会に提出されることになりました。おそらく2月半ば以降に提出されると思われます。

【追記終わり】

 ところで、法務省は、同日から、森田貴・東京大学名誉教授(兼)弁護士を委員に加えるようです。森田さんに関しては、この記事を投稿した時点で衆議院で審議中の、民法債権編(債権法)120年ぶり抜本改正法案の原案での、法務省顧問としてのかかわりを名指しで批判する著作が複数の弁護士から世に出ています。法務省顧問から法制審議会の会員となることで、森田さんをめぐる様々な働きかけが広がる可能性は、完全には否定できないと思います。

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