【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党、暫定総支部長を全員解任

2013年08月31日 06時09分29秒 | 第47回衆院選2014年12月アベノミクス解散

 民主党(海江田万里代表、大畠章宏幹事長)は、2013年8月31日(土)、党組織規則第13条にもとづく「衆議院暫定総支部長」を全員解任しました。

 組織規則第12条2項「総支部長が当該国政選挙において議席を得た場合には、その任期は次期国政選挙期日まで延長される」とあり、57名の民主党衆院議員は、比例復活者を含めて第47回衆院選公認候補予定者となります。

 新しい総支部長は、9月以降、県連からの上申を受けて、民主党常任幹事会(直島正行議長、隔週火曜日)で決定します。早くも第47回衆院選公認候補(予定者)となります。

 暫定総支部長には、月50万円の活動費が支給されてきましたが、9月1日以降の対応は未定。

[民主党組織規則から抜粋引用はじめ]

(総支部長)

第12条
 総支部の代表者(以下「総支部長」という)は、原則として当該総支部を基盤として国政選挙に臨む党所属国会議員または同公認候補予定者が務めることとし、その任期は当該国政選挙期日または国会議員としての任期満了日のうち後にくる日までとする。
2. 総支部長が当該国政選挙において議席を得た場合には、その任期は次期国政選挙期日まで延長される。
3.  国政選挙の結果、議席を得ることができなかった衆議院小選挙区総支部長は、すみやかに別に定める暫定総支部長への異動、または総支部の解散を行わなければならない。

(小選挙区総支部の暫定総支部長)

第13条
 衆議院小選挙区総支部において、総支部長がその資格を喪失した場合(落選、離党、除籍等)、当該県連は党規約および組織規則の定める手続きを経て、暫定総支部長を選任する。
2.  前項に定める総支部が解散された場合、当該県連は党規約および組織規則の定める手続きを経て、暫定総支部長を代表者とする総支部を設立する。
3. 衆議院小選挙区総支部の暫定総支部長は、原則として当該県連の代表者または当該県連所属の国会議員とする。
4.  当該総支部を基盤として国政選挙に臨む衆議院議員または同公認候補予定者が決定した場合には、暫定総支部長は、党規約および組織規則に定める手続きを経てすみやかに交代しなければならない。

[おわり]


安倍自民党政府、地方交付税大幅カット 地方切り捨てor補正しめつけ? 平成26年度予算(案)

2013年08月27日 05時00分41秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

 安倍自民党内閣の平成26年度予算(案)編成で、総務省が地方交付税を大幅カットすることが分かりました。2013年8月27日付日経新聞によると、総務省は概算要求で「16・8兆円」とする方針。政府原案は年末に決まりますが、財務省の査定で、増額されることはありえません。

 執行中の平成25年度当初予算では、17・4兆円の地方交付税交付金が歳出の上限として認められています。

 次の平成25年度予算書の当初予算の特別会計の29ページをみるとわかります。17.4兆円のうち、0・6兆円は東日本大震災被災自治体向けの特別枠です。

 なお、総務省・財務省・内閣府主管(共管)の「交付税および譲与税特別会計」には、33・3兆円の銀行からの借り入れがあります。これは国債とは別枠で、「1000兆円の借金」に含まれる「隠れ借金」であり、きわめて問題です。つまり、2年分の地方交付税を国が銀行から借り入れている現状があります。もちろん銀行は融資先が財務省で、目的が運転資金なら低利でも貸し倒れリスクゼロで確実に儲かりますから大喜びで融資します(財務省の入札方式)。財務省はここにメスを入れたいという考えもあるでしょう。これは支持できます。長期的には、自治体の自主財源を増やすべきとの視点は私も一致するところです。

 それはさておき、日経新聞は「当初予算ベースは前年度より3000億円減」の16・8兆円と表現しています。これはどういうことかと、平成24年度第1次補正予算書の特別会計の11ページで「地方交付税交付金が0・4兆円追加補正」されているから、こういう計算になるのですが、私はこのような報道は絶対にあるべきではないと考えています。自民党による世論誘導に新聞記者自らが引っかかっています。

 インチキ安倍自民党は平成24年度第1次補正予算を「15か月予算」「2本目の矢」「機動的な財政出動」などと詭弁を弄しています。

 神野直彦政府税制調査会長の著書「財政学」の90ページから91ページにかけても、「人間の生活のサイクルとなっている1年間が通常、財政をコントロールするのに適切な期間だとされている」「予算原則は財政民主主義から導き出される」としており、日本国憲法第86条に規定された予算単年度主義は財政民主主義の基本だとしています。

 昨秋ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京大教授も予算単年度主義を批判しましたが、ノーベル賞学者が言おうと、自民党が言おうが、財務省が言おうが、日経新聞が言おうが、予算単年度主義は絶対に守るべき国会による財政民主主義の原則であり、誰が何と言おうが自民党が間違っています。そして、わずか半年後に、それに気づかずに「当初予算ベースは前年度より」と15か月予算だと(おそらく)気づかずに、記事にしているマスコミの情けなさに憤慨いたします。

 それはさておき、自民党というと、地方の支持者が多いように思われがちですが、実際には、60歳代では二大政党制のメリットをしった民主党支持者が増え、20歳代ではリクルートを知らない自民党支持者、ソ連を知らない共産党支持者が増えており、年代による支持政党の偏りは減っているようです。まだ具体的な数字はありませんが、参院選の街頭でそれを感じました。

 地方交付税をカットしておいて、補正予算で積み増す自民党の伝統伎が出るかもしれませんが、自民党なら地方に手厚い政策をしてくれるというのはもはや幻想です。

 安倍自民党による地方切り捨てが本性をあらわしだしました。

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鉢呂吉雄さん健在ぶりを朝日新聞で確認「民主党を消してしまうわけにはいかないからね」

2013年08月25日 05時25分22秒 | 第47回衆院選2014年12月アベノミクス解散

 鉢呂吉雄さんが健在ぶりをアピールしました。

 2013年8月25日付の星浩さんの「日曜に想う」に鉢呂さんが登場。北海道4区で再起を期して活動を始めている、と紹介されました。

 鉢呂さんは「65歳だし、潮時かなとも思ったが、ここで民主党を消してしまうわけにはいかないからね」と語っています。

 海江田万里代表は第47回衆院選総支部長について、「2016年1月現在で満70歳以下」という年齢制限を各県連に示しています。鉢呂さんは大丈夫ですが、大畠章宏幹事長は「党本部としてそういう選定基準を決めたということではなくて、今検討しているということです]と木曜日の記者会見で語っています。

 鉢呂さんは1990年初当選の岡田世代。8期連続当選。来年、岡田さん、大畠さん、高木義明さんら民自大量14人が永年勤続表彰を受けます。鉢呂さんは党の事情による知事選出馬がありますでのいずれにしろ、岡田さんらとモーニング姿で本会議壇上に上ることはなかったのですが、落選してしまいました。

 ガチンコ相撲の突破力で猪突猛進。2004年は選挙対策委員長として、民主党結党以来初の比例第1党を岡田克也代表とともに実現。翌年の通常国会では国会対策委員長として、年金制度の両院協議会を実現したうえ、郵政民営化法の参院でのハプニング否決に追い込みました。

 民主党北海道連代表は2004年から政権交代まで異例の5年間担当。小沢グループのイメージが強い石川知裕さんですが、鉢呂さんが発掘し、当選させた人材です。そして2009年5月16日(土)の第12回民主党代表選では、国家国民のために「岡田克也首相」の推薦人に名を連ねる「正しい選択」をしましたが、「北海道から初の総理を」とうたった鳩山由紀夫陣営や社会党系から「裏切り者」との誤った批判を浴びました。

 岡田克也さんは昨年12月25日(火)の副総理卒業会見で「むしろ最初の鳩山内閣で私を目立つ形で応援した人は、ほとんど役職につけないという事態でしたので、例えば玄葉さんとか安住さんとか鉢呂さんとか、鉢呂さんなんかは全く何もなかったですから、逆に干された感じ、結果的には、意図的かどうかは別にして、ほとんど役職につけないような状態でした」と述べ、「私は広く人事権を持つ機会というのはなかったのですね」「私を応援していただいた方々に対して、特に報いるとか、そういうことは考えてみれば、あまりしてこなかったし、そういう立場(内閣総理大臣)にもならなかったなというふうに思っています」と反省しました。

 星さんは、鉢呂さんと対比させる格好で、小選挙区で勝った岸本周平さんを登場。「住宅地図の一軒一軒を塗りつぶして訪ね歩いた」との体験を紹介しました。これは当然で、8月末で任期切れとなった暫定総支部長も全員が地域で同じようにやっているでしょう。仮に日常個別訪問をやっていない総支部長など屑ですから、県連は一人たりとも本部に第47回衆院選総支部長として推薦すべきでありません。常任幹事会決定までの生活費は自分で何とかしろとしか言いようがありません。現職のとき顔が上を向いていた報いです。

 鉢呂さんは、選挙後のあいさつ回りで、「民主党の内輪もめにはうんざりだ」と言われましたが、話を聞いていくと、「民主党の社会保障や地方分権は良い。あの政策をもっと伸ばしてほしかった」と聞いたそうです。

 鉢呂さんは「民主党が目指す方向は間違っていない。きちんと説明して実行する力が弱かった。足元の力をつけるしかない」として、2015年4月の第18回統一自治体選挙での組織拡大をめざしているそうです。

 頼もしい限り。

 第47回総選挙で確実に小選挙区で国政復帰してもらわないと困りますが、連合の古賀伸明会長や山口北大教授は第48回総選挙での民主党の政権復帰をめざしています。そうなると、鉢呂さんは72歳ぐらいですから、法相や、あるいはクリーンな人なので、農相なども十分任せられるでしょう。

 ところで、星さんの記事で、「鉢呂吉雄元経済産業相」という肩書になっていますが、これやめません?(笑)。鉢呂吉雄さんでいいのではないでしょうか。

 そういう立場にならなかった岡田さんもやがてはそういう立場になって、鉢呂さんにしっかり完全燃焼していただきましょう。

 二大政党バカ一代。岡田民主党の可能性への挑戦は、いま始まったばかりです。

 がんばれ、鉢呂!負けるな鉢呂!

[岡田副総理記者会見から引用はじめ]

(記者)

 フリーランスで宮崎です。これはお答えいただかなくてもいいのですが、3年半前の代表選に岡田さんが出馬されたときに、当時野党でしたが、マスコミオープンで48人ぐらいの衆参議員が出陣式や残念会のほうに出席されたと思います。
 そのときに、当時野党の岡田候補はこういうふうにおっしゃったと思います。このことを一つの励みとして民主党は強くなる。御支援していただいたここにいらっしゃる議員の皆さんの御厚情には、これから恩返ししていく。そのためには、まず政権交代だとおっしゃったかと思います。
 私はこれを聞いたときに思ったのは、政権獲得後の具体的には政務三役ですとか、そういったことも含めた恩返しなのかなというふうに、私はそのとき感じました。この48人のうち、この3年3か月に政務三役になれなかった方は5人いらっしゃいまして、そのうち4人は参議院1期生だった方です。もう1人は土肥隆一さんです。
 このときの恩返しというのは、そういった論功行賞といいますか、そういう意味だったのか。また、それが結果3年3か月、実際党を運営していく中で、ちょっとこの代表選での内輪での行き過ぎた争いにも若干つながったようにも思いますけれども、その辺今振り返って、3年半前のこの御恩返し発言というのは、どういう意味だったのでしょうか。

(岡田副総理)
 私は広く人事権を持つ機会というのはなかったのですね。外務大臣のときは、自分の副大臣2人、政務官3人の人事、あと幹事長のときですね。幹事長のときには、基本的に副大臣、政務官、それから党の役職、そこは私が事実上決めさせていただきましたが、あのときに考えたのは、小沢(一郎)さんに近いと言われている人たちをまず役職につけるということで、かなりの人がそれで役職につきました。そういう意味では、私を応援してくれたということとはちょっと違う判断で人事を行ったということであります。
 私を応援していただいた方々に対して、特に報いるとか、そういうことは考えてみれば、あまりしてこなかったし、そういう立場にもならなかったなというふうに思っています。むしろ最初の鳩山内閣で私を目立つ形で応援した人は、ほとんど役職につけないという事態でしたので、例えば玄葉さんとか安住さんとか鉢呂さんとか、鉢呂さんなんかは全く何もなかったですから、逆に干された感じ、結果的には、意図的かどうかは別にして、ほとんど役職につけないような状態でした。
 私は自分が外務大臣を受けた後で、そういうことに気がついて、ちょっと非常に申しわけない思いでした。そういう意味では、もう少し気を配るべきだったかもしれません。ただ、その後彼らも菅政権、あるいは野田政権の中で非常に重要な役割を果たしてくれたというふうには思っています。

[引用おわり]

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「民主党にもうちょっと期待しましょうや」古賀伸明・連合会長、6年後(第48回衆院選)の政権交代をめざす

2013年08月23日 22時16分23秒 | 第48回衆院選(2017年10月10日公示)

 連合の古賀伸明会長は2013年8月23日(金)放送のBSフジテレビ「プライムニュース」に出演しました。日本のテレビ局は敵の経団連(ボンクラ米倉弘昌会長)が主導してつくったため、連合会長が出演する機会が少なく、労働運動の分断工作により、労働組合に加入すると貧乏になるという正反対の理屈で、多くの無産階級労働者が労組に入らず、身をほろぼしてきました。

 古賀さんは、まず、3期目続投について、「それはまったく観測報道。立候補すらしていない」として、10月3日・4日の連合大会で決まるとしましたが、終始笑顔。

 その後、民主党が衆院選、参院選で連敗した理由について「3年3か月の民主党のガバナンス、マネジメント、まとまりのなさ、政策推進能力(のなさ)が信頼を失い、それがまだ戻っていない」と分析しました。

 そのうえで、「民主党のもうちょっと期待しましょうや」と語りました。橋下徹・日本維新の会党首については、「一緒にやれない」としながらも、「官公労について誤解がある」と語りました。自民党・経団連・マスコミの悪のトライアングルによる情報工作に橋下さんが洗脳されていることを示唆したと思われます。

 山口二郎北大教授が「民主党の再生は3年後ではなく、5年から10年かかると思っている」と語ると、古賀さんは「そうですね」と相づちを打ち、「僕も一緒ですよ。総選挙が終わった時には、10年かかると言ったが、10年では長すぎる。次の次ということで6年と(最近では)言っている」と述べ、第47回衆院選では党勢回復により野党第1党としての議席数を回復し、第48回衆院選で政権交代をめざす考えを明確に打ち出しました。私も同感であり、頼もしく感じます。

 非正規労働者の組織率が5~6%であることについては、「一歩一歩前進している」として増えてきているとの考えを言明しましたが、名指しはしませんでしたが、一部の産別で温度差があるとしました。

 そのうえで、企業合併による高度成長期の組合数の増加にあぐらをかき、働き方の多様化に応じた組合員勧誘のしかたができていなかったとし、「1990年の連合結成時に先輩たちが目指した通り、1000万連合(1000万組合員)をめざしたい」とし、その目標年次を2020年としました。政権交代の目標を「10年後」としたことと、1000万連合の目標年を2020年としたことには相関関係があるかもしれません。

 いずれにしろ、労働組合法第7条で、企業は組合と交渉しなければ法律違反になります。非正規の人も一人でも入れる労組に入って身を守るべきです。まあ、組合費ぐらい払ってくださいよ。

 1000万連合という足腰の下、民主党の第48回衆院選での政権交代に向けて、私も無産階級のみなさんとしっかりと心を一つにして、すえながく、支持してまいることを確約します。

 


第185臨時国会提出の産業競争力強化法案、企業合併で「新陳代謝」 大いに支持したい【追記あり】

2013年08月22日 05時14分23秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

 2013年8月22日付読売新聞1面トップによると、第185回秋の臨時国会に政府が提出する「産業競争力強化法案」(仮称)に、再編が必要な業界を国が調査・公表し、企業の再編計画を国が認定すれば、減税措置を受けられる「産業の新陳代謝策」が盛り込まれる方向性になったそうです。

 この法案は、安倍首相が掲げる3本の矢(通称・アベノミクス)の3本目の肉付けとなる法案。国主導の業界再編と言えば、通商産業省主導の八幡製鉄と富士製鉄の合併(新日本製鉄)が思い浮かびますが、今回は、財務省の持論だと考えられます。

 記事によると、液晶テレビ分野の電機・部品メーカー、鉄道車両、水ビジネス業界などが対象になりそうです。

 この記事では対象外のようですが、アメリカには、自動車発明者がつくったフォード、GM、クライスラーの3社があります。では、日本の主要産業である、自動車には、トヨタ、ホンダ、スズキがありますが、このほかにも、日産自動車、三菱重工業、三菱自動車工業、三菱ふそう・バストラック、日野自動車(トヨタ子会社)、ダイハツ、マツダ、カワサキなどがあります。あるいは、家電に関しては、量販店で、パナソニックと韓国サムスンの商品で、値段が安ければサムスンを買うのではないでしょうか。パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、日立、NEC、富士通の中から選ぶ必要はありません。

 このように、もはや国内で争い時代ではなく、1業界1社でも、競争相手は海外にいますから、商品開発力はむしろ高まる分野も多いでしょう。そのうえで、売上高は合併企業の単純な足し算にとどまっても、利益は増えるはず。国税である法人税は利益にかかるので、財務省としては売上高はどうでもよく、利益が上がることの方が大事です。

 社会保障を充実させながらも自由主義経済至上主義者である「やさしい新自由主義者」こと岡田克也さんの考えはどうでしょうか。

 岡田さんは2011年2月3日の民主党幹事長会見で「新日本製鉄と住友金属の経営統合が報じられております」「これは成長戦略を考えるうえで、非常に
重要な意思決定がなされたと私は受け止めております。久しぶりに元気の出る話」としたうえで、「八幡・富士が合併したときにもこれはずいぶん様々な議論がありました。ただ、あのときには世界一の鉄鋼会社ができるということだったと思います。今は残念ながら、おそらく合併しても、規模でいえばベスト5に入るか入らないかという状況」
と話し、珍しく古巣・通産省の最大の実績を振り返りました。この会見では、記者の質問に対して「まず再編は、私、個人的には必要だと考えております。ただ、それを国とか役所が先導することがいいかどうかは、また別の議論であります。それは自主的になされることが望ましいと思います」と語り、国主導に関しては消極的な考えを示しました。要するに、岡田さんは、再編するかしないかも含めて会社、市場に任せるという徹底的な自由経済論者なのです。

 一方、岡田さんはトヨタ自動車が震災後にセントラル自動車を完全子会社化したり、パナソニックが旧サンヨーの白物家電部門をハイアールに売却したことについて、私が2011年8月4日に質問した際には「国際的に見れば、やはり企業の数は」「自動車・電機はじめ多いのは事実で、ある程度の集約化は避けられないのではないかと思います」「ただ単に足し合わせるだけではなくて、一定の集約化がなされなければ、これは厳しい国際競争を勝ち抜くための再編の意味がありませんから、「1+1」が2になるのではなくて、「1+1」が1.5とか1.7になることによって競争力がかえって増すと、そういう再編・集約が望ましいのではないかと思います。サンヨーの件も、そういう観点で私はよく理解できるところであります。」と語りました。

 このときは、震災後経済で厳しい時でしたが、いったい何を1・5にするのかははっきりしませんが、固定費、さらには人件費のことも含めた考えだろうと思います。労働者の党、民主党の実力者の発言として気になるところですが、雇用を確保するためにも競争力を強化すべきだという考えでしょう。とくだん、岡田さんが年金制度の充実のために、消費税増税をなしとげたことが、小泉・竹中新自由主義によるセーフティーネットの整備と軌を一にしていることはないだろうと感じます。ただ、私は正直、2011年8月4日の記者会見で、岡田さんが、「1+1が1・5」と発言した後に、雇用のことも言えばいいのになあ、と考えました。今後、チェックさせていただきたいところです。

 連合の前身である同盟は、新日鉄をはじめとする企業合併のときには、組合員の尊重のために、まず同盟系労働組合が企業内の最大多数組合であることをめざし、積極的に合併しました。これは悪い意味で気を見るに敏な共産党による魔の手が伸びる前に、自由主義経済のもとで働く者を大事にする労働組合が最大多数組合になるねらい。この企業合併による労働組合合併により、自由主義を守る同盟が強くなり、日本の高度経済成長をつくりました。日本の高度経済成長による楽天的な国民性をつくったのは経団連ではなく、同盟だったのです。共産党系はJR発足後も、国鉄労働組合(国労)と名乗り名実ともに時代に取り残されましたが、たとえば、連合の古賀伸明会長の出身労組は、パナソニック労組にすでに名前を変えています。こういった柔軟な労働組合運動が日本経済の発展をつくってきました。ですから、企業合併すれば、賃金が高い方の会社にあわせる給与体系が期待できます。

 社長ポストが減り、社長交際費が減る経団連の連中は腰が抜けるでしょうが、財務省と連合がしっかりと手を携えて、株式会社ハイテク日本を、量より質でつくってまいりましょう。日本は必ずよみがえることができます。野党と言えば「歳出増賛成、歳入増反対」の無責任財政政策が常でしたが、日本初の「歳入増賛成」責任野党の民主党の法案への対応が注目される、秋の臨時国会になりそうです。

【追記 2013年10月16日(水)午後3時】

 産業競争力強化法案(183閣法3号)が15日、国会に提出されましたので、法案全文や法案要旨などのアドレスをお知らせします。

http://www.meti.go.jp/press/2013/10/20131015001/20131015001.html

【追記おわり】

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社会保障制度改革プログラム(工程表)閣議決定 窓口負担は2倍増かつ少子化対策見送りへ【追記あり】 

2013年08月21日 16時39分04秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法


 安倍自民党内閣は2013年8月21日(水)の閣議で野田首相が政治生命をかけた3党合意の背骨である「社会保障制度改革推進基本法」(長妻昭筆頭発議者、平成 24 年法律第 64 号)の第4条の規定に基づ く「法制上の措置」を閣議決定しました。いわば、社会保障制度改革推進プログラム・工程表です。

 この情報は、内閣官房の次のホームページから取り出すことができます。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/

 このうち、まず、政府は、本骨子に基づき、社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」として、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明ら かにする法律案を速やかに策定し、次期国会(2013年10月召集予定の第185臨時国会)冒頭に提出する、と断定しました。

 次の3点の法制化も決定しました。

 「次期医療計画の策定時期が平成 30 年度(2018年度)であることを踏まえ、必要な措置を平成29 年度(2017年度)までを目途に順次講ずる。その一環としてこのために必要な法律案を平成 26 年通常国会(2014年1月召集予定の第186?通常国会)に提出すること を目指す

 「難病対策に係る都道府県の超過負担の解消を図るとともに、難病及 び小児慢性特定疾患に係る公平かつ安定的な医療費助成の制度を確立 するため、必要な事項について検討を加え、その結果に基づいて必要 な措置を平成26年度(2014年度)を目途に講ずる。このため に必要な法律案を平成26 年通常国会(2014年1月召集の第186?通常国会)に提出することを目指す」  

 「第6期介護保険事業計画が平成27年度(2015年度)から始まることを踏まえ必要な 法律案を平成26 年通常国会(2014年1月召集の第186?通常国会)に提出することを目指す

 と第186(?)通常国会に「提出を目指す」とした法案はこの3本だけのようです。

 少子化対策では「平成27年度(2015年度)以降の次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120 号)の延長について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講 ずる」とあります。少子化対策の新しい法制化は先送りされたようです。

 昨年の社会保障と税の一体改革関連法案は「社会保障4分野」として、「少子化・子ども子育て支援」を人生前半の社会保障としました。これに関しては30代40代から支持がある一方、20代からは「4分野とも充実させないで消費税増税分はすべて借金返済に充てるべし」との意見が強くなっており、通常国会での法案提出は先送りを示唆した格好になります。団塊ジュニア、ロスト・ジェネレーションはまたしても政治から切り捨てられました。

 その一方、安倍総理自体が受給者である難病対策では、潰瘍性大腸炎だけでなく他の病気にも広げる法案が通常国会で提出されることになり、対象の指定に関して、各種患者団体や製薬会社から自民党への働きかけが活発化しそうです。

 一方、前期高齢者(70歳から74歳)の病院窓口負担を1割から2割への引き上げですが、これは平成18年健康保険改正法(舛添法)で「本則2割」となっておりので、現在の暫定1割を、厚労省の一存で、2割にすれば対応できるようです。当然法案は国会に出ません。

 安倍晋三首相のもとで、1割から2割へと倍増することになります。ただ、これは年間2000億円もの巨費がかかっていましたし、69歳3割が70歳2割になれば、本人は安くなったという印象ですから、賛成です。やるべし。ただ、こういった生殺与奪の権を安倍ちゃんに握られていることをすべての日本国民は心しなければなりません。

【追記 2013年10月16日午後3時】

 社会保障制度改革プログラム法案は15日、国会に提出されました。法案全文と法案要旨のアドレスをおしらせします。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/185.html

【追記おわり】

 ◇

 以下、自民党政府の閣議決定全文です。

 1  
   社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の 骨子について 
平成25 年8月21 日 閣議決定   
社会保障制度改革推進法(平成 24 年法律第 64 号)第4条の規定に基づ く「法制上の措置」に関し、 ① 同法第2条の基本的な考え方にのっとり、かつ、同法第2章に定める 基本方針に基づき、 ② 自らの生活を自ら又は家族相互の助け合いによって支える自助・自立 を基本とし、これを相互扶助と連帯の精神に基づき助け合う共助によっ て補完し、その上で自助や共助では対応できない困窮等の状況にある者 に対しては公助によって生活を保障するという考え方を基本に、 受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため講ず べき改革(以下「社会保障制度改革」という。)の推進に関する骨子につい て、社会保障制度改革国民会議の審議の結果等を踏まえ、次のとおり定め る。 政府は、本骨子に基づき、社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づ く「法制上の措置」として、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明ら かにする法律案を速やかに策定し、次期国会冒頭に提出する。  
一 講ずべき社会保障制度改革の措置等
  人口の高齢化が急速に進展する中で、活力ある社会を実現するために も、健康寿命の延伸により長寿を実現することが重要である。このため、 以下の社会保障制度改革を推進するとともに、個々人が自助努力を行う インセンティブを持てる仕組みや、サービスの選択肢を増やし、個人が 選択することができる仕組みを入れるなど、高齢者も若者も健康で、年 齢等にかかわりなく、働くことができ、持てる力を最大限に発揮して生
 

きることができる環境の整備に努めるものとする。あわせて、住民相互 の助け合いの重要性を認識し、これらの取組の推進を図るものとする。  
1.少子化対策
(1)急速な少子高齢化の進展の下で、社会保障制度を持続させていくた めには、その基盤を維持するための少子化対策を総合的かつ着実に実 施していく必要があることに鑑み、就労、結婚、妊娠、出産、育児等 の各段階に応じた支援を切れ目なく行い、子育てに伴う喜びを実感で きる社会を実現するため、子ども・子育て支援の量的拡充及び質の向 上を図る観点並びに仕事と子育ての両立支援を推進する観点から、次 に掲げる措置(待機児童解消加速化プランの実施に当たって必要とな るものを含む。)等を着実に実施する。 その際、全世代型の社会保障を目指す中で、少子化対策を全ての世 代に夢や希望を与える日本社会への投資であると認識し、幅広い観点 から取り組む。 ① 子どものための教育・保育給付及び地域子ども・子育て支援事業 の実施のために必要な措置 ② 保育緊急確保事業の実施のために必要な措置 ③ 社会的養護の充実に当たり必要となる児童養護施設等における養 育環境等の整備のために必要な措置
(2)平成27年度以降の次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120 号)の延長について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講 ずる。  
2.医療制度
高齢化の進展、高度な医療の普及等による医療費の増大が見込まれる 中で、国民皆保険制度を維持することを旨として以下のとおり、必要な 改革を行う。
(1)個人の選択を尊重しつつ、健康管理や疾病予防など自助努力を行う インセンティブを持てる仕組みの検討など、個人の主体的な健康の維
 

持増進への取組を奨励する。
(2)情報通信技術、レセプト等を適正に活用しつつ、事業主、地方公共 団体及び保険者等の多様な主体による保健事業の推進、後発医薬品の 使用の促進及び外来受診の適正化その他必要な措置を講ずる。
(3)医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用等を図り、効率的で質 の高い医療提供体制を構築するとともに、今後の高齢化の進展に対応 し、地域包括ケアシステム(医療、介護、住まい、予防、生活支援サ ービスが身近な地域で包括的に確保される体制)を構築することを通 じ、地域で必要な医療を確保するため、次に掲げる事項その他診療報 酬に係る適切な対応の在り方等について検討を加え、その結果に基づ いて必要な措置を講ずる。 ① 病床の機能分化・連携及び在宅医療・在宅介護を推進するために 必要な次に掲げる事項 イ 病床機能に関する情報を都道府県に報告する制度の創設 ロ 地域医療ビジョンの策定及びこれを実現するために必要な措置 (必要な病床の適切な区分の設定、都道府県の役割の強化等) ハ 新たな財政支援の制度の創設 ニ 医療法人間の合併、権利の移転に関する制度等の見直し ② 地域における医師、看護職員等の確保及び勤務環境の改善等に係 る施策 ③ 医療職種の業務範囲及び業務の実施体制の見直し
(4)(3)に掲げる医療提供体制及び地域包括ケアシステムを構築するに 当たっては、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重され、 人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備を行うよう 努める。
(5)次期医療計画の策定時期が平成 30 年度であることを踏まえ、(3) に掲げる必要な措置を平成29 年度までを目途に順次講ずる。その一環 としてこのために必要な法律案を平成 26 年通常国会に提出すること を目指す。
(6)持続可能な医療保険制度を構築するため、次に掲げる事項等につい て検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。
 

① 医療保険制度の財政基盤の安定化について次に掲げる措置 イ 国民健康保険(国保)の財政支援の拡充 ロ 国保の保険者、運営等の在り方に関し、保険料の適正化等の取 組を推進するとともに、イに掲げる措置により、国保の財政上の 構造的な問題を解決することとした上で、国保の運営業務につい て、財政運営を始めとして都道府県が担うことを基本としつつ、 保険料の賦課徴収、保健事業の実施等に関する市区町村の積極的 な役割が果たされるよう都道府県・市区町村で適切に役割分担す るために必要な措置 ハ 健康保険法等の一部を改正する法律(平成 25 年法律第 26 号) 附則第2条に規定する所要の措置 ② 保険料に係る国民の負担に関する公平の確保について次に掲げる 措置 イ 国保及び後期高齢者医療制度の低所得者の保険料負担を軽減す る措置 ロ 被用者保険者に係る後期高齢者支援金の全てを総報酬割とする 措置 ハ 所得水準の高い国民健康保険組合に対する国庫補助の見直し ニ 国保の保険料の賦課限度額及び被用者保険の標準報酬月額の上 限額の引上げ  ③ 保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等について次に掲げる 措置 イ 低所得者の負担に配慮しつつ行う、70 歳から 74 歳までの者の 一部負担金の取扱い及びこれと併せて検討する負担能力に応じた 負担の観点からの高額療養費の見直し ロ 医療提供施設相互間の機能の分担や在宅療養との公平の観点か らの外来・入院に関する給付の見直し
(7)次期医療計画の策定時期が平成 30 年度であることも踏まえ、(6) に掲げる必要な措置を平成26 年度から平成 29 年度までを目途に順次 講ずる。法改正が必要な措置については、必要な法律案を平成27年通 常国会に提出することを目指す。
(8)(6)に掲げる措置の実施状況等を踏まえ、高齢者医療制度の在り方 等について、必要に応じ、見直しに向けた検討を行う。
 

(9)難病対策に係る都道府県の超過負担の解消を図るとともに、難病及 び小児慢性特定疾患に係る公平かつ安定的な医療費助成の制度を確立 するため、必要な事項について検討を加え、その結果に基づいて必要 な措置を講ずる。
(10)(9)に掲げる必要な措置を平成26年度を目途に講ずる。このため に必要な法律案を平成26 年通常国会に提出することを目指す。  
3.介護保険制度
(1)個人の選択を尊重しつつ、介護予防など自助努力を行うインセンテ ィブを持てる仕組みの検討など、個人の主体的な取組を奨励する。
(2)低所得者を始めとする国民の保険料に係る負担の増大の抑制を図る とともに、給付範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点 化を図りつつ、地域包括ケアシステムの構築を通じて必要な介護サー ビスを確保する観点から、次に掲げる事項その他介護報酬に係る適切 な対応の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措 置を講ずる。 ① 地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の見直しによ る次に掲げる措置 イ 在宅医療及び在宅介護の連携の強化 ロ 高齢者の生活支援及び介護予防に関する基盤整備 ハ 認知症に係る施策 ② 地域支援事業の見直しと併せた地域の実情に応じた要支援者への 支援の見直し ③ 一定以上の所得を有する者の利用者負担の見直し ④ いわゆる補足給付の支給の要件に資産を勘案する等の見直し ⑤ 特別養護老人ホームに係る施設介護サービス費の支給対象の見直 し ⑥ 低所得の第一号被保険者の介護保険料の負担軽減
(3)第6期介護保険事業計画が平成27年度から始まることを踏まえ(、2) に掲げる必要な措置を平成27 年度を目途に講ずる。このために必要な 法律案を平成26 年通常国会に提出することを目指す。
 

(4)(2)に併せて、後期高齢者支援金の全てを総報酬割とする措置に係 る検討状況等を踏まえ、介護納付金の算定の方法を被用者保険者につ いては総報酬割とする措置について検討を加え、その結果に基づいて 必要な措置を講ずる。  
4.公的年金制度
年金生活者支援給付金の支給、基礎年金の国庫負担割合の2分の1へ の恒久的な引上げ、老齢基礎年金の受給資格期間の短縮、遺族基礎年金 の支給対象の拡大等の措置を着実に実施するとともに、次に掲げる事項 について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。 ① マクロ経済スライドに基づく年金給付の額の改定の在り方 ② 短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲の拡大 ③ 高齢期における職業生活の多様性に応じ、一人一人の状況を踏まえ た年金受給の在り方 ④ 高所得者の年金給付の在り方及び公的年金等控除を含めた年金課税 の在り方の見直し ⑤ ①から④に掲げるもののほか、必要に応じ行う見直し  
二 改革推進体制
  一に掲げる社会保障制度改革の措置等を円滑に実施するとともに、引 き続き、社会保障制度改革推進法の基本的な考え方等に基づき、2025 年 を展望しつつ、中長期的に受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保 障制度を確立するための改革を総合的かつ集中的に推進するために必要 な体制を整備する。  
三 その他
1.財源の確保
一に掲げる措置については、関連する法律の施行により増加する消費 税及び地方消費税の収入並びに社会保障給付の重点化・効率化により必
 

要な財源を確保しつつ行う。 
2.地方公共団体等との協議
一に掲げる措置等のうち病床の機能分化、医師等の確保及び国保の見 直しに関する事項について必要な措置を講ずるに当たっては、これらの 事項が地方自治に重要な影響を及ぼすものであることに鑑み、地方六団 体等の関係者と十分に協議を行い、当該措置についてこれらの者の理解 を得ることを目指す。


配偶者の海外転勤同行休業法案を人事院提出へ 総論賛成だが、労働協約締結権が先だ

2013年08月21日 07時14分47秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

 斎木昭隆外務事務次官というと、夫婦そろって美形のオシドリ外交官ということで、外務省ですら嫉妬されるし、霞が関では当然嫉妬されることが多いのですが、国益のために強気なタフネゴシエーターであることは間違いないでしょう。ただ、オシドリ外交官が可能になるのは、外務省がそれを可能にする人事の道を整えていたからでしょう。

 人事院は、2013年8月8日に、安倍自民党内閣に意見書を提出。配偶者が海外転勤する国家公務員に最長3年間無報酬の「休業」を認める法案(国家公務員法改正法案?)が第185臨時国会に提出される可能性が高まりました。

 私が知っている限りでは、女性の厚生官僚の旦那さんが、X新聞横浜支局の記者だったのですが、同居できませんでした。その男性記者は、私に「政治部出身ならわかるでしょ」と、国会待機など厚生官僚の残業の多さを嘆いていました。ところで、この記者、「安倍総理大臣の名前で私に戦没者記念式典の招待状が来た」というコラムを書いていて、厚生省の取り込み方もうまいなと感じました。

 人事院は、結婚・事実婚に限らず、配偶者(民間人含む)の海外転勤に同行するときの休業と、その代わりの臨時職員の任用ができる制度を整えたい構え。総論は賛成です。ただ、官僚には、労働契約も、労働協約もありません。労働契約は使用者と労働者の個別の契約、労働協約は使用者と労働組合の取り交わし文書のことです。

 法律を改正すると天皇陛下が公布されます。その天皇の権威のもとに威張るのが官僚です。外務省は東宮を支配し、厚生省は皇居を支配しています。自律的労使関係もないくせに生意気だ。まさに現代の宦官といえるでしょう。時折、国会議員のブログに「労働者の党なのに、質問通告が遅い」との書き込みをする官僚がいます。これも、総論は賛成ですが、労働契約も労働協約もない自律的労使関係を持たない官僚は、24時間365日働かされても文句をいう権利はありません。質問通告など午前8時で十分です。

 このような法改正ではなく、民主党政権が出した、国家公務員制度関連4法案(人事院を廃止し労働協約締結権を付与する法案)を修正し、成立させるべきなのです。

 一人一人の国家公務員が連合傘下の労働組合員になる。

 それがすべてのスタートであり、そこから労働環境の改善が始まります。

 ディーセント・ワーク(まともな働き方)の官僚を増やして、皇居を厚生官僚から、東宮を外務官僚から救い出しましょう!


キャリア女性1985年夏の敗戦 タイピスト、翻訳、通訳など労働者派遣法「専門26業種」廃止へ

2013年08月21日 06時02分27秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

 2013年8月6日付で書いた「自民党政府、労働者派遣法改正法案を第186通常国会に提出へ 「40条の2」再改正」は多くの方にお読みいただいているところですが、きのう(2013年8月20日火)、この法案の基となる「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」ができました。
 これに関する情報は、
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000015879.html
のホームページから取り出すことができます。

 1985年というと、竹下登先生が大蔵大臣としてプラザ合意を実現したバブル絶頂期。この第102通常国会では、男女雇用機会均等法(昭和60年法律第45号)」が昭和天皇によって6月1日に公布されました。

 そして、7月5日には「労働者派遣法が昭和60年法律88号として公布されました。

 これは自民党政権が男女雇用機会均等法とセットで、労働者派遣法により、女性大生にいわゆる総合職としてキャリアサラリーマンとして企業戦士の道を選ぶか、あるいは、通訳、翻訳、タイピスト、社長秘書として、派遣労働者になるかを迫るメニューの提示だったのでしょう。

 「育児休業・介護休業法」が公布されたのは、1991年5月15日法律76号として、今の天皇陛下によって公布されました。このころには、おそらく住友銀行は不動産融資から撤退しはじめ、バブル崩壊という言葉は世間にはありませんでしたが、後から指標を振り返ればバブルは崩壊しだしたころです。

 この1985年の男女雇用機会均等法とセットでつくるべき法律は、育児休業・介護休業法であったことは言うまでもなくこの6年間の遅れが日本社会を崩壊に追い込んだ、まさに「1985年夏の敗戦」としか言いようがありません。

 さて、報告書通りに、自民党が法律改正に成功すると、企業はある職種を人を変えれば、ずっと派遣労働者に任せ続けることができ、常用雇用の義務がなくなります。私は、来年の通常国会中に原発事故から3年が経つ東京電力が「原発廃炉業種」を派遣労働者にまかせっきりにするための法改正ではないかと考えます。

 専門26業種は実は法律ではありません。労働者派遣法施行令の第4条などに決まっています。「施行令」なので、事実上、厚労省官僚の一存で変えられるものです。

 専門26業種は次の通り。
(1)パソコンのシステム・プログラムの設計(SE)
(2)機械の設計・製図(CAD・CAM)
(3)放送番組の映像・音声機器の操作(カメラマン、サウンドマン)
(4)放送番組の制作における演出(ディレクター、アシスタントディレクター)
(5)事務用機器の操作
(6)通訳・翻訳・速記
(7)秘書
(8)ファイリング
(9)市場調査
(10)財務処理
(11)対外取引・国内取引の文書作成
(12)高度の専門知識が必要な機械の性能・操作方法の紹介・説明
(13)添乗員・旅行者送迎
(14)建築物の清掃
(15)建築設備の運転・点検・整備
(16)建築物・博覧会場の受付、案内(コンパニオン)
(17)科学に関する研究開発
(18)事業の実施体制の企画・立案
(19)書籍の制作編集
(20)商品・広告などのデザイン
(21)インテリアコーディネーター
(22)放送番組の原稿朗読・司会(アナウンサー、局アナ)
(23)OAインストラクション
(24)テレマーケッティング
(25)セールスエンジニアの営業
(26)放送番組における大道具・小道具などの制作・設置など。

  一見してわかるのが、テレビ局関係が多いということ。このため、派遣労働に関する報道は、新聞では熱心にされますが、テレビでは「現場の空気」から報道されない傾向があります。これはやむを得ないでしょう。この専門26業種で、けさの朝日新聞によると、現在64万人が働いているようです。

 もちろん労働組合法第7条などで、使用者(企業)は労働組合との団体交渉をしなければいけない義務がありますので、労働組合に入っている派遣労働者は、対等な関係で使用者と交渉できます。ただ、「人事に聞いても延長についてはっきり答えてもらえないので」という大手出版社の女性編集補助者が「雇用を延長してもらうために、今一生懸命、たくさんの新しい企画書を出している」と聞いて、その場にいた全員で沈黙してしまった経験もあります。やはり、労働組合に入るのが第一歩でしょう。

 まさに、労働者殺しの自民党。

 1985年法の施行直後から派遣労働をしている人を知っています。早稲田大学文学部卒の女性で、1990年代前半に私が学生時代に新進党衆議院総支部でアルバイト(兼)ボランティアをしていたころに働いておられました。私のイギリス議会史の先生が文学部でゼミを持っていたころのゼミ生だったそうで、初期のころから派遣労働をしており、学生時代の女性の友人と旅行したり、食事したりするのが楽しかったそうです。私の総支部はついに一度も当選できなかったのですが、平日に休みをとって、土曜日はだいたい出勤なのですが、土曜日だけ金ラメ入りのスーツを着て、先輩秘書から「あ、地が出てきましたね」とからかわれたり、事務所の運営の悪い面を、土曜日の帰宅の電車でこっそり教えてもらったりしました。その後、日本を代表する派遣事業者の設立にかかわり、現在は役員として活躍されているようです。その広告を見ると、日本を代表する御用会社と航空会社の共同出資子会社ということで、今も昔も変わらず、キャリア女性の心をくすぶる心理学が健在であることを感じます。

 高学歴の人は、学業熱心なら人ほど、政治家が敷いたレールにあっさり乗ってしまうので、時代の変化に対応できず、奴隷になっていきます。私も同年代のサラリーマンの奴隷ぶりには落胆しますが、同情はまったくしません。政治を変えてこそ、社会の一員です。当事者意識はいつでも持てるかもしれませんが、当事者能力は学生時代から当事者意識を持っていないと備わりません。「そなえよつねに」という国際的なボーイスカウト(ガールスカウト)運動で使われている考え方を支持したいところです。
 
 労働者派遣法は、民主党政権で「労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護にかんする法律」に名称が変わりましたが、実態は変わっていないようです。そして、自民党政権により経団連の要請をうけて、ふたたび労働者切り捨てが加速します。

 民主党がしっかりチェックしていかねばなりませんが、いかんせん、選挙に負けたしまったのでどうにもなりません。私は来週27日の連合の「職場から始めよう運動」のシンポジウムに行こうかと思って予約済みです。一人一人の労働者の駆け込み寺になれるような信頼と知識を一人一人の党員、一つ一つの総支部が身に着けなければ、3年後の政権復帰はありません。


タクシー減車で労働環境改善法案 民自公3党、ガソリン値下げ隊の友情で提出へ

2013年08月20日 11時06分19秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

 2013年8月20日付日経新聞が報じたところでは、二大政党プラス1(民主党、自民党、公明党)は第185臨時国会にタクシー減車化法案を提出することになりました。国が指定する地域のタクシー外車に営業車両の削減を義務付けることで、運転手の労働環境を改善します。

 この法律は、民主党が第1次野党期ラストの第171通常国会で、政府提出法案に対して、民主党が対案をだし、衆院国土交通委員会での実務者協議で修正され、全会一致で可決・成立した「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」(171閣法27号、平成21年法律64号)で、民主党修正の「政府は、タクシー事業の許可、運賃及び料金、タクシーの増車等に係る事業計画の変更、事故の報告等タクシー事業に係る道路運送法に基づく制度のあり方について早急に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」の条項が発動したもののようです。

 民主党の三日月大造さんは2009年4月21日(金)の衆院本会議で、修正前の閣法の趣旨説明に対して「小泉改革の流れの中、二〇〇二年、改正道路運送法の施行、いわゆる規制緩和が行われ、タクシー行政は大きく変わりました。待ち時間の短縮、多様なサービスの導入など、一部の地域でプラスの効果も見られますが、むしろ看過、放置できない多くのマイナスの効果が各地で発生することとなりました。  長期的な需要低迷の中、多くの地域で、タクシー車両が大幅に増加し、供給過剰状態となり、タクシーの経営環境は大変厳しくなっています。タクシー運転者の賃金は、全産業男性労働者との比較で六割に満たず、金額にして二百万円以上もの差がつき、タクシーの運転では生活できない、家族が養えない現状にあります。まさに格差社会の象徴的存在となっています。」と質問演説しています。

 この1年前の衆国交委は、歴史的なガソリン値下げ国会の主戦場となっており、第171回国会でも川内博史理事ら主要メンバーは変わっておらず、前年の対決型委員会による友情が、民主党、自民党、公明党の友情につながったようです。

 修正協議をリードした自民党の福井照さんは、文部科学副大臣として、先々週2013年8月8日の第95回甲子園の開会式で訓示しました。


[写真]甲子園開会式で5万人の聴衆の前で訓示する福井照・文部科学副大臣(自民党)、NHK画面から。

 福井さんは宏池会の所属のようですから、清和会による労働者切り捨てに耐えられなかったのでしょう。

 提出を予定している法案はまだ入手できていませんが、報道によると、都市部など競争が激しい地域で、事業者や首長らで構成する協議会が減車計画を作成できるとし、この計画に基づく減車は独占禁止法の適用除外となります。協議に応じない事業者は国土交通大臣が勧告・命令できるところまで盛り込んでいるようです。

 新聞の観測では「ただ安倍政権が成長戦略の柱として規制緩和策を推し進めているだけに、改革に逆行しかねないとの批判もありそうだ」と書いていて、自民党内で、弱者切り捨てを進める清和会と、それに反発する経世会・宏池会の争いになりそうです。それを国会にどれだけ噴出できるかも、自民党黄金の3年間をうらなう、第185臨時国会の見どころとなりそうです。

 「しっかり働けばがっぽり現金を稼げる」という新規就業者の夢を確実にかなえる、タクシー業界であれねばなりません。

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北朝鮮から救えなかったのは「田中さん」か? 特定失踪者、韓国の元北朝鮮工作員が証言

2013年08月20日 09時32分32秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 2013年8月20日付読売新聞7面(国際面)に、元北朝鮮工作員で現在は韓国安保関連機関職員の「金東植」氏(仮名、50歳)の独占インタビューを掲載しました。写真はぼかし加工をされている金氏ですが、7月に「誰も私を通報しなかった」というタイトルの韓国語の著書を出版し、驚きをもって報じられているそうです。

 このうち、1990年代前半に、工作員が訓練を受ける朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の首都(平壌)にある、「順安招待所」で、「田中さん」(タナカさん)という身長170センチメートルぐらいの男性に日本語を習っていたと証言しました。奥さんも日本人だったと証言しました。

 特定失踪者問題調査会のホームページを見ると、田中さんは複数いますが、1978年6月にウィーンで失踪した、現在64歳の「田中実さん」の可能性があります。

 この特定失踪者問題調査会の事務局は、元民社党職員が務めている関係から、民主党政権ではほとんどの拉致問題担当大臣が民社協会員が務めました。もともと民社協会は親韓国(反北朝鮮)なので、このルートで、昨年、韓国にいる脱北者から、複数のルートで、北朝鮮で生存している日本人拉致被害者(特定失踪者)の情報が入っていた、と当時私は聞いていました。

 岡田克也副総理は2012年8月31日の、参院での「野田および自公民問責決議」の後の記者会見で、冒頭自ら発言し、「さきほど、日朝間での予備協議が終わったということで」「より高いレベルでの日朝政府間協議をできるだけ早い時期に北京で開催する方向で調整することになったということであり」「日本として重大な関心を持つ拉致問題しっかりとした議論がなされるよう期待をする」「私が外務大臣のときにも」「水面下のいろいろなことはあった」「福田内閣のときに再調査を行うという、そういう合意ができた」「ぜひこのチャンスを逃すことなく、前に動かす、そのことをしっかりと野田内閣としてやっていかなければいけない」と語っています。

 しかし、この後、自民党が「近いうち解散を守れ」と抵抗野党化してしまい、3代目の金国防委員長への政権交代直後からの融和ムードと終わってしまいました。

 民主党政権化では、尖閣諸島を栗原さんから国が買い取り整備しやすくするなど外交安全保障での実績がありました。できれば、拉致問題も解決したかったところですが、野田問責を打たれたあとの厳しい状況で、総選挙対策に期待しているのではないか、と足元を北朝鮮に見られたのかもしれません。


岡田交付金(沖縄一括交付金)の大幅増額を内閣府が概算要求へ 山本一太大臣ぶんどれ!

2013年08月18日 12時57分30秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

 2013年8月18日付の読売新聞によると、内閣府は、平成26年度当初予算案で、沖縄振興予算を500億円増額する概算要求書を提出する見通しとなりました。内閣府は、2000年橋本行革で沖縄開発庁を吸収しています。

 このうち、民主党マニフェストを、沖縄県庁先取りで実現した「沖縄県地方一括交付金(沖縄振興一括交付金)」いわゆる岡田交付金についても増額を求める方針です。

 岡田克也さん(昭和51年通産省)が民主党幹事長として各大臣につくらせた岡田交付金については、仲井真弘多沖縄県知事(昭和33年通産省)から各自治体への配分や基金による年度繰り越しについて、時々地元マスコミで記事になっていますが、おおむねうまくいっているんだろう、と拝察します。

 岡田交付金は沖縄振興だけでなく、地方一括交付金の先取り版ですので、政権交代があっても継続しなければならず、山本一太・内閣府特命担当大臣の手腕も問われます。

 ただ、47都道府県全体での、地方一括交付金化については、民主党の次の政権獲得時に持ち越されそうです。

 平成26年度予算は第186通常国会の2014年2月に衆院で審議入りし、3月には参院で可決し、成立する見通しです。

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防衛審議官(防審)設置法案を3たび第186通常国会提出か 石破官僚主導で成立も【追記あり】

2013年08月18日 12時50分29秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

 読売新聞(2013年8月18日付)の報道によると、防衛省は、事務次官と、防衛政策局長の間に「防衛審議官(防審)」を置く防衛省設置法改正法案を第186(?)通常国会へ提出する考えを示しました。これに先立ち、今月末の平成26年度予算の概算要求に盛り込む方針。

 この防衛審議官設置法案は、民主党政権時の2011年2月8日に国会に提出されています。その後、大震災がありながら、5月31日に衆院で可決しました。しかし、参・議院運営委員長(自民党員)は、法案をつるし、付託されたのは、延長会期末直前の8月30日。翌日、継続審査が議決されましたが、その後、成立することはありませんでした。

 防衛省としては夢をもう一度との思いでしょうが、これには防衛省特有の問題があります。防衛省には、防衛参事官制度と言って、他の省では「局長―審議官―参事官」の序列なのに、防衛省では「事務次官―防衛参事官ー局長」という序列でした。こうやって大臣の周りにいる防衛省採用の背広組を増やすという思想があったのですが、石破茂防衛大臣が防衛参事官を廃止し、防衛大臣補佐官を新設しました。補佐官には、自衛隊OBなど民間人が起用されています。おそらく、防衛省の背広組としては、次官級ポストがほしいので、この法案を何度も出してくるのでしょうが、防衛大臣補佐官を定員通り3人設置して、背広組を起用することができれば、それで十分なのではないでしょう。

 廃案になった防衛省設置法改正法案には、防衛医科大学に看護学科を新設する内容も盛り込まれていました。仮にできたら、大変な人気学科になるでしょう。しかし、免許をとった看護師を、自衛隊が採用すればいいだけではないか。

【追記 2013年8月18日(日)午後10時半】

 と思っていたら、防衛医科大学の看護学科は、なんと、昨年の解散当日に、改正自衛隊法(平成24年法律100号)で新設されていました。これまでの陸上自衛隊看護学科を改組するようです。通常国会では「防衛省設置法改正案」だったのが、「自衛隊法改正案」として11月6日に提出され、16日に成立・衆院解散となっており、さすがにあのドタバタではチェックしきれていませんでした。訂正がてら、追記します。Twitterでのご指摘ありがとうございました。

【追記おわり】

 安倍総理の後釜をねらう石破茂幹事長による国会戦術がどうなるか。しっかりと防衛省をとりこんで、総理への道をめざすために、官僚の言いなりになるかどうか。2014年の後半国会の見どころの一つとなりそうです。


港湾法改正法案、第186通常国会提出へ 国出資で巻き返せ!

2013年08月17日 13時30分03秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[写真]横浜港、筆者撮影。

 日経新聞(2013年8月17日付)の報道によると、政府は平成26年、2014年1月召集の第186(?)通常国会に、「港湾法改正法案」を提出することにしました。横浜を中心とする京浜港と、神戸を中心とする阪神港の運営会社に国が出資することになりました。自治体が運営管理者だった日本の港湾行政がようやく国主導へと変わります。

 私は三井物産や日経新聞の創業地、横浜で、1998年9月のベイスターズ優勝から2002年2月まで、日経記者をしましたが、すでにシンガポール、プサン、香港、高雄には、コンテナをはじめ、はるか遠くまで追い越され、もはや追いつけませんが、ようやく巻き返しが始まったと考えます。完全に賛成です。

 記事によると、東京港、横浜港、川崎港の3つの運営会社は2014年に統合するそうです。大阪港と神戸港の運営会社も2015年統合の予定。国の出資比率は当初3分の1になる見通し。もちろん、これまでの港湾管理者の幹部を尊重することは当然ですが、国交省だけでなく、財務省税関の全面協力は必須でしょう。

 安倍晋三首相は第183通常国会の2013年5月14日の参院予算委で「まさに、今委員が御指摘になったような公共投資が必要なんですよ、まさに。それが地域の言わば競争力を高めていくわけでございまして、御指摘をされましたような京浜港、東京港、そして川崎、横浜、神戸、大阪、これは六大港といって、実は私の下関も六大港なんですが、これからは残念ながら外されてしまっているんですが。つまり、それは国際競争力を持つためには、水深が今十八メートル以上なければ国際港としてのこれは競争力がないわけでありまして、これ一メートルしゅんせつするにも大きな投資、まさに公共投資が必要であって、そういうものを行っていくことによってこれはまさに未来の投資として地域を活性化させていくし、日本が国際的な戦略性を持つ中において競争力を持っていくんだろうと、このように思います」と答弁しています。

 このように総理たるものが「下関が残念ながら外されている」と邪心を見せてはいけません。下関も、博多も、名古屋も外す。あくまでも横浜(京浜港)と神戸(阪神港)に選択と集中したうえで、国費を集中して投下する。私も横浜港の取材の現場からは10年以上遠ざかっているので、うまく言葉が出てきません。仮に英語ができる人が、シンガポール港湾公社のホームページのアジアのコンテナ積み替え量の港別ランキングの地図をみたら驚きますよ。こんな日本の惨状が日本では情報として共有されていないのかと。結論で言えば、そうしないと、日本の経済は必ず潰れます。もうほかに選択肢はありません。

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特定秘密保全法案(仮称)提出へ 情報公開法改正とセットで議論すべきだ

2013年08月17日 11時02分19秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

[写真]情報公開法改正に心をくだく枝野幸男さん、民主党ホームページから。

 自民党政府が、「特定秘密保全法案」(仮称)の作成を進めています。

 これは、仙谷由人さん(菅内閣官房長官)が海上保安庁による尖閣諸島動画のインターネット流出事件を受けて、すみやかに2011年1月4日に設置し、主導した有識者会議の報告を法案化するものです。

 正直、民主党側でやってきた私も、こういった勉強会の存在を知らなかったので、「官邸ってなんなんだろうな」という気もしますが、報告書をすべて読んで、考えてみました。

 情報は下のホームページにあります。

 ◇

政府における情報保全に関する検討委員会
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/kaisai.html

 ◇

【警察庁警備局長が参加、都道府県警察本部は対象から外すべきだ】

 まずこの勉強会の上部組織である検討委員会は、仙谷官房長官を委員長としていましたが、メンバーに、警察庁警備局長が入っています。このほか、法務省公安調査庁次長、防衛省防衛政策局長、外務省国際情報統括官、国土交通省海上保安庁次長が入っています。

 この中で、警察官僚の事情が反映されたと思われる部分があります。

 「自治体について、警察事務において、公共の安全および秩序の維持に関して特に秘匿を要する情報を作成・取得する例がある」として「自治体が取り扱う特別秘密はおもとして警察事務に関連するものと考えられることから、自治体に対する本法制の適用範囲を都道府県警察に限定することも考えられる」とあります。

 都道府県警察に特定秘密を指定することもあっていいと思いますが、それは「2段階目のアプローチ」でしょう。

 県議会の壇上で、地方議員がこのような法律の運用に関する質問や、条例制定に関する議論ができるわけがありません。仮にできても、地方議会は多数決。警察官僚のいうがままに条例を制定することになります。国会対策がうまい警察官僚が、県警に対するヒエラルキーをつくるのが目的と考えられます。法案から削除すべし。

【秘密保全法案とは】

 先に、意見を述べましたが、報告書にはなんと書いてあるかをまとめた記事をこれから書きます。

 防衛秘密につづき、省が「特別秘密」をあらかじめ指定することができるようになるのがスタートの法案のようです。

 法案の必要性について、「わが国では、外国情報機関などの情報収集活動により、情報が洩れる事案が従来から発生している」とし、「加えて、IT技術やネットワーク社会の進展に伴い、政府の保有する情報がネットワーク上に流出し、きわめて短期間に世界規模で広がる事案が発生している」としています。たしかにその通りで、後者に関しては、ウィキリークスがあげられるし、前者に関しては、複数の海上自衛官による中国人美人妻へのイージス(米日韓共同作成・保有)情報の流出が挙げられます。

 ただ、これは政府与党と情報について議論するときに必ず念頭に置いていただきたいことですが、イージス漏れは報道で知っているけれども、知らないこともあるはずです。たとえば、あくまでも想像ですが、日本の家電メーカーの設計図が経産省からニュージーランドに漏れ、英米の企業に渡るという国際的ネットワークがひょっとしたらあるのかもしれません。

 こうして、防衛秘密に加えて、「特別秘密」の創設として、報告書は次の3つを挙げています。

 (1)国の安全
 (2)外交
 (3)公共の安全および秩序の維持

 の3つです。

 このうち(3)は間違いなく、警察官僚が潜り込ませたものであり、総論賛成各論反対で、第1段目のアプローチとなる法案では、上記の理由から削除すべきです。

 特別秘密の指定をする権限を持つのは、その情報をつくり、持つ「各行政機関に与えるのが適当である」としています。ただ、できれば、機関ではなく、大臣とすべきようにも思います。国会での議論を望みます。

 特別秘密を守る国家公務員は、指定された職員とその配偶者。さらに、委託を受けたシンクタンク職員などとなります。大学研究者と新聞記者は処罰の対象になりません。配偶者を入れることは、上にも書いた海自のイージス情報漏れからしても、賛同します。今後の各省の運営では、特別秘密を指定されている職員を官舎(社宅のこと)に優先的に入れ、それ以外の職員は住宅手当を出して、すきな住宅を確保してもらうという働き方を構築すべきです。

 漏えいに関しては、国家公務員法100条の守秘義務が自衛隊法とともに強化され、「懲役10年以下」になります。妥当なところでしょう。自首による減免措置があるので、情報漏れ事案を途中でストップさせることが可能になります。

【情報公開法改正法案(インカメラ審査法案)をセットで議論すべきだ】

 では、情報公開法にもとづく、文書開示請求があった場合、特別秘密に抵触するとして、「不開示」になった場合はどうなるか。そのためには、最終的には裁判官が、強制的にその文書を見たうえで、不開示が正しいかどうか、判決する「インカメラ審査」が不可欠です。ところが、これはまだ法制化されていません。「オープン・ガバメント」をかかげる民主党政権は、とくに枝野幸男さんががんばって「情報公開法改正法案」(177閣法60号)を出しました。現在の情報公開法は橋本行革実行直前の1999年にできて以来大枠は変わりません。いわば、1997年に、朝日新聞政治部1年生だった小村田義之記者(現・朝日新聞論説委員)が1面トップでスクープして以来、大枠はその記事のまま来ています。

 しかし、各省が法律の一つの条項を縦に、ほぼ一律に惰性で「不開示」で押し通すケースが相次いでおり、インカメラ審査の法制化と手数料の引き下げは、民主政治を担保するうえの生命線ともなりつつあります。そこで、「枝野法案」を民主党政府が用意し提出しました。これは民主党の政権の背骨となる重大法案だったと考えます。

 が、情報公開法改正法案の提出は震災の1か月半後という時期にずれ込んでしまい、ついに趣旨説明すらされないまま、民主党は政権を失いました。とことんオープンでクリーンな民主党政権の背骨ともいえる法案でした。

 政権交代後の最初の通常国会の後半国会初日の衆・内閣委で、三宅雪子議員が転倒事件をおこしたことで、野党・自民党との不正常な内閣委運営がしばらくあったからなんです。彼女はそのことを知らないし、供託金没収の上落選ということで責任を取り終えましたが、いまだに腹が立ちます。

 それはそれとして、やはり、民主党、自民党に限らず、国会による霞が関のコントロールのためにも、有権者の提訴により裁判所がインカメラ審査のために霞が関に文書を出させることが必要でしょう。

 そのためにも、自民党政府は、特別秘密法案(仮称)に加えて、民主党政権時の情報公開法改正法案を丸飲み再提出したうえで、じっくりと自民党と民主党が両方賛成できる修正協議をしたらいいでしょう。ねじれが解消したからと言って、数の力で衆参強行採決するような法案ではないし、それをすると、自民党は次の総選挙で負けるでしょう。

 民主政治はすべて情報公開から始まります。情報のメリハリのためには、そのルールをしっかりとつくり、理解することが必要です。情報こそ政治のすべてです。

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