【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ゴーン並みとはいわないがせめて人並みの待遇を求めたい、入国管理法改正案、衆で強行採決、水道法改正案は参で質疑スタート、漁業法改正案も審議続く

2018年11月27日 21時57分36秒 | 第197回臨時国会2018年12月までの「定例日無視延長なしのひどい国会」」

(初投稿は19時前で、22時に加筆、再投稿)

[画像]門山宏哲・法務大臣政務官(自民、千葉1区)、衆議院インターネット審議中継から筆者がスクリーンショット。

 今国会最大の対決法案だった「入国管理法改正案」が午後10時前に、衆議院を通過しました。とはいえ、漁業法改正案が衆議院で、水道法改正案が参議院で審議中。第1次小泉内閣発足以降でも史上最大の「規制緩和国会」となりました。ゆるゆるです。「法律」の概念が、市民の権利の保護から、企業の既得権益の保護へと変わりそうです。

【衆議院本会議 第2ラウンド 平成30年2018年11月27日(火)】

 第2ラウンドは20時30分から21時50分頃まで。

 外国人材の受け入れを特定技能1号・2号として拡大する、「出入国管理法及び法務省設置法改正案」(197閣法1号)が採決され、「修正議決」可決し、参議院に送られました。来年4月1日の「出入国在留管理庁」の設置も盛り込まれた法案。

 記名投票採決され、投票総数453、賛成317、反対136で可決しました。自民、公明、維新が賛成し、立憲、国民、無所属の会、共産、自由、社民、未来日本(長島昭久代表と笠浩史さん)が反対しました。

 ◇

 これに先立つ第2ラウンドは13時15分頃から16時10分頃まで。

 「山下貴司法相不信任決議案」が投票総数440、賛成131、反対309で否決されました。

  この後、国会同意人事があり、「検査官に岡村肇・会計検査院事務総長を充てる人事の同意に関する件」などが採決され、「同意を付える」と決まりました。会計検査院、個人情報保護審査会、地方財政審議会、公安審査委員会、中央労働委員会公益委員などの人事が決まりました。ひな壇には、根本匠・厚労相らが登壇しました。

 続いて、桜田義孝五輪相が登壇して、「サイバーセキュリティー基本法改正案」(196閣法45号)を採決し、共由反対、自公立国など賛成多数で可決し、参議院に送られました。

【衆議院法務委員会 同日】

 「出入国管理法改正案」(197閣法1号)が、野党が理事会で同意しない採決、いわゆる強行採決され、自公維が提出した修正案が可決しました。

 対政府質疑は、法相不信任決議案提出のため、休憩。再開では、石破派3期生で大臣とコンビを組む、門山宏哲・政務官が遅れました。これに対して、政務官は、さっさと謝ればいいものを、「参議院農林水産委員会散会後に森裕子さんに話しかけられ10秒ほど話した」などと不貞腐れて、3回やり直しました。

 午前中の質疑で、葉梨康弘委員長は野党からの質問に答弁し、(1)連合審査会をやらなかったのは各省の副大臣を呼んだから(2)総理入り質疑をやらなかったのは昨日の予算委で法務委員の人が質問したから(3)視察をやらなかったのは実習生の法案のときにJITCOなどを訪問したからーーと平然と発言。国民民主党の階猛さんは「私は予算委に立っていない」と反論しました。無所属の会の法務委員の黒岩宇洋さんは上述の本会議の中で「10日間の間に法務省が答弁で他省と調整した形跡がない。この弱腰で、成立後の施行で他省と渡り合えない」と指摘しました。その本会議散会後の、委員会再開時には、門山政務官が参から遅れて帰ってくる連絡もとれていなかったことになります。

 公明党は2015年安保法制と同じく、遠山清彦さんが質問し、浜地雅一さんが附帯決議を読むという、強行採決コンビが登場。遠山さんは2012年の国会では法務委員を辞任して社会保障と税の一体改革特別委員になっており、強行採決のときだけ法務委に戻る印象です。また、再開時には、この方は常勤の国家公務員だと思うので書きますが、委員会強行採決時にマイクをとられた委員長の唇を見ている記録部員が配置されており、強行採決まじかかと思いましたが、門山さんの遅参でタッチの差で30分交代時間が来て委員室から去っていきました。このように、いろいろマンネリな怠惰な国会はこびとなっていますが、来年7月にはいずれにせよ、衆参ねじれが生じますので、今だけ、という感じです。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 「漁業法改正案」(197閣法8号)。定刻通り始まり、野党も質疑しました。きょうは採決せず、次回に。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 「水道法改正案」(196閣法48号今国会は参先議の質疑が始まり、きょうは採決せず、次回は参考人質疑をやることになりました。

  質疑では、立憲の石橋通宏さんが「きょうから審議入りするが、みなさん気づいているだろうが、メディアでも注目されている。通常国会では混乱のなか衆議院では十分な質疑がされずに送られてきた。国民の心配、不安、懸念に充実した審議で答えるという考えを、参議院だからこそ、共有したい」と語りました。立憲からは川田龍平さんも質問。川田さんの妻・堤未果さんの「日本が売られる」が十数万部のベストセラーとなっているようです。川田さんは「コンセッション方式で、日本人のライフラインを外資に売り渡すことになりかねない。外為法以外に、担保する法律はあるのか」と問いました。

 根本大臣が中労委の国会同意人事で衆議院本会議に行っている間は休憩となり、戻ってきて質疑が続きました。

【参議院農林水産委員会 同日】

 定例日が重なる衆議院の委員会が午前中にありました。この委員会は午後1時の設定でしたが、理事会が長引いたようで、5分前後遅れて始まりました。

 この後も、何らかの理由で遅れがあったようで、上述の門山法務政務官が衆議院法務委員会で謝罪する事態になったようです。門山さんは「藤田(幸久)先生と森裕子先生の質問に答えた」と答弁していました。

 最後に、「GI地理的表示法を改正する日欧EPA国内実施法案」(197閣法9号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院国土交通委員会 同日】

 羽田雄一郎委員長が議事を取りました。午後の再開時には「本日、吉田博美さんが委員を辞任されました」との事務局が用意した「委員差し替え」に関する原稿を読み上げました。

 衆議院同様に、 内閣府の宮腰光寛大臣が答弁する「洋上風力発電利用促進法案」(197閣法5号)がこの委員会に付託され、宮越大臣が答弁しました。衆では、全会一致で可決された法案です。

【参議院文教科学委員会 同日】

 一般質疑の後、「原子力損害賠償法改正案」(197閣法2号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 一般質疑の後、「日中社会保障協定の承認案」(197条約3号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院内閣委員会 同日】

 大臣所信に対する一般質疑がありました。

【参議院環境委員会 同日】

 大臣所信に対する一般質疑がありました。国民民主党では、柳田稔さんが質問しました。

【参議院経済産業委員会】

 大臣の所信表明と副大臣、政務官のあいさつがあり、散会しました。

●参議院法務委員会はありませんでした。嵐の前の静けさ。立憲の有田芳生さんや共産の山添拓さんらは院内テレビの衆院委員会の混乱のさまをツイートして、世論を喚起しました。

●参議院総務委員会はありませんでした。

●参議院財政金融委員会はありませんでした。

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