おはようございます。曇天の夏休み最終週の月曜日の朝から、労働法制の話で恐縮です。
きのう(2014年8月24日)付の日経新聞3面に労働法制に関するまとめ記事がありました。
これによると、まず、第2次安倍内閣が再び打ち出している、正社員の残業代カットの「ホワイトカラーエグゼンプション」(労働時間法制)について、2015年通常国会(第189回国会)でやりたいとのこと。
そして、現在は法律上の根拠はない、解雇の金銭解決(解雇の事後の金銭解決)について、2016年通常国会(参院選前の延長なし)に向けて準備。2015年4月をめどに内閣官房、厚生労働省、法務省の合同有識者会議を立ち上げ、枠組みをつくり、その後で、3者構成(労働者代表、使用者代表、公益代表)による厚生労働大臣の諮問機関「労働政策審議会」(労政審)で詰め、2016年通常国会法案提出、2016年春スタートという日程感があることが報じられました。
日経記事によると、厚労省が集めている解雇をめぐるトラブル事例は、年50000件で、うち裁判になるのが1000件、判決を受けるのが300件。ただし、今の法律では判決で裁判官が「解雇無効」としても、「職場復帰」の命令までしか出せません。
民法(明治29年法律89号)の第1条は「権利の濫用はこれを許さず」、623条は「雇傭は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し相手方がこれにその報酬を与えることを約するに寄りてその効力を生ず」とあります。ところで、民法の「雇傭」は、労働契約法(平成19年)以降は「労働契約」という言葉にしていますが、民法ではいまだに「雇傭」のままとなっています。それはさておき、「雇傭(雇用、労働契約)」とは、あくまでも使用者と労働者の「契約」ということになります。 このため、裁判では、「有効か無効か」を判断することしかできません。示談はあったにしても、「解雇の事後の金銭解決」を判決で命じられません。
そこで、日本でも解雇の事後の金銭解決を法制化しようという流れになっています。日経記事が引用している弁護士事務所作成資料によると、「年収にして、イギリス1年分、ドイツ1年半分、イタリア2年分、アメリカは上限なしも人種・性別差別による解雇は上限およそ3000万円」 が相場のようです。日本の示談では「300万円」が相場のようですから、海外の方が少し相場が高いように思えますが、そのことよりも解決までの時間が短くなることがメリットでしょう。
その一方、ホワイトカラーエグゼンプションについても、なによりも、労働時間の上限を設けて、徹底する。違反があれば社長を逮捕して、手錠、腰縄をするようにすることがすべてに先立ちます。
懸念すべきことは、「第46期衆議院・第22・23期参議院の民主党」(衆56名、参59名)には、衆参とも厚生労働部門に一人も弁護士がいないんですね。できれば衆参とも一人以上の弁護士議員が、秋の臨時国会から厚生労働部門に飛び込んでもらうと、チャンスかと存じます。日本共産党、社民党の厚生労働部門には参議院に弁護士議員がいます。
tag (宮崎信行)
[お知らせ1]
このブログは、LINE株式会社が経営するポータルサイト「BLOGOS(ブロゴス)」に、同社編集部のコピーアンドペースト(コピペ)で転載されています。Googleニュースでヒットする当ブログ記事は、このBLOGOSに転載された内容です。転載については、包括的な事前の許可に過ぎず、個別エントリーごとに筆者(宮崎信行)が対応しているわけではありません。また「ピックアップ見出し」は同社編集部が付けており、筆者(宮崎信行)はノーチェックです。
筆者・宮崎信行が執筆、編集し、管理している無料ブログはgooブログ内の「国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行」のみです。
[お知らせ2]
この無料ブログ(goo)のほかに、有料版の今後の政治日程by下町の太陽(会員制ブログ版)(レジまぐ)を発行しています。
購読料は、月864円(税込)となります。
自動継続のため、安定した収入源として、こちらの無料ブログを続けられる原動力となっております。
購読方法はシステムを提供している「レジまぐ」(メディア・インデックス社)へお問い合わせください。
[お知らせ3]
「国会傍聴取材支援基金」を設けています。日本唯一の国会傍聴ブログの継続にご協力ください。半年に1回、会計報告もしております。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
どうぞよろしくお願いします。
[お知らせ4 はじめ]
このブログは次の各ウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)
予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)
民主党ニュース(民主党ウェブサイト)
[お知らせおわり]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます