【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

2015年常会に労働時間法制法案、2016年常会に解雇の金銭解決法案提出で労働法制改正へ

2014年08月25日 09時10分00秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 おはようございます。曇天の夏休み最終週の月曜日の朝から、労働法制の話で恐縮です。

 きのう(2014年8月24日)付の日経新聞3面に労働法制に関するまとめ記事がありました。

 これによると、まず、第2次安倍内閣が再び打ち出している、正社員の残業代カットの「ホワイトカラーエグゼンプション」(労働時間法制)について、2015年通常国会(第189回国会)でやりたいとのこと。

 そして、現在は法律上の根拠はない、解雇の金銭解決(解雇の事後の金銭解決)について、2016年通常国会(参院選前の延長なし)に向けて準備。2015年4月をめどに内閣官房、厚生労働省、法務省の合同有識者会議を立ち上げ、枠組みをつくり、その後で、3者構成(労働者代表、使用者代表、公益代表)による厚生労働大臣の諮問機関「労働政策審議会」(労政審)で詰め、2016年通常国会法案提出、2016年春スタートという日程感があることが報じられました。

 日経記事によると、厚労省が集めている解雇をめぐるトラブル事例は、年50000件で、うち裁判になるのが1000件、判決を受けるのが300件。ただし、今の法律では判決で裁判官が「解雇無効」としても、「職場復帰」の命令までしか出せません。

 民法(明治29年法律89号)の第1条は「権利の濫用はこれを許さず」、623条は「雇傭は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し相手方がこれにその報酬を与えることを約するに寄りてその効力を生ず」とあります。ところで、民法の「雇傭」は、労働契約法(平成19年)以降は「労働契約」という言葉にしていますが、民法ではいまだに「雇傭」のままとなっています。それはさておき、「雇傭(雇用、労働契約)」とは、あくまでも使用者と労働者の「契約」ということになります。 このため、裁判では、「有効か無効か」を判断することしかできません。示談はあったにしても、「解雇の事後の金銭解決」を判決で命じられません。

 そこで、日本でも解雇の事後の金銭解決を法制化しようという流れになっています。日経記事が引用している弁護士事務所作成資料によると、「年収にして、イギリス1年分、ドイツ1年半分、イタリア2年分、アメリカは上限なしも人種・性別差別による解雇は上限およそ3000万円」 が相場のようです。日本の示談では「300万円」が相場のようですから、海外の方が少し相場が高いように思えますが、そのことよりも解決までの時間が短くなることがメリットでしょう。

 その一方、ホワイトカラーエグゼンプションについても、なによりも、労働時間の上限を設けて、徹底する。違反があれば社長を逮捕して、手錠、腰縄をするようにすることがすべてに先立ちます。

 懸念すべきことは、「第46期衆議院・第22・23期参議院の民主党」(衆56名、参59名)には、衆参とも厚生労働部門に一人も弁護士がいないんですね。できれば衆参とも一人以上の弁護士議員が、秋の臨時国会から厚生労働部門に飛び込んでもらうと、チャンスかと存じます。日本共産党、社民党の厚生労働部門には参議院に弁護士議員がいます。

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