【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田克也「税収上振れ分は国債減額しろ」松野頼久「剰余金を歳出に回すな」補正の代表質問でスタート

2016年01月06日 17時01分31秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

【平成28年2016年1月6日(水)衆議院本会議】

 おととい、召集日にあった、安倍首相の外交報告と、今年度第1次補正予算案についての財政演説に対する代表質問がありました。

 なお、ことしも、登壇者全員の名前を網羅することはしません。記述が散漫になることと、インターネットメディアの特性として、固有名詞を出すことがとくに重要ですが、専門を絞った方がアクセス数が安定します。当事者は名前が載らないと嫌でしょう。このブログを始めた1年後である2008年ごろからそういう考え方ですのでご了解ください。

 ことし1年の野党議員のトップバッターは岡田克也さん。民主党代表が自ら先陣を切りました。

 岡田さんはまず、「やっと国会が開かれました」「平和安全法制の説明を果たしていない」とし、国会会期としては12日前、世間的には100日前に成立した安保法の見直し論議に先鞭をつけました。

 今次補正予算案について、「(今年度の当初見積もりから)1・9兆円の税収の上振れ分をアベノミクスの果実だから自由に使って良いとばかりにバラマキをしている。今は円安株高で税収が増えているのであって、将来に備えて思い切って国債を(政府案以上に)減額すべきだ」と語りました。

 歳出では、「最も疑問なのは3600億円計上した年金生活者等給付金で、1100万人以上の高齢者に1人当たり3万円を給付している。3党合意による臨時福祉給付金は600万人でなぜ拡大したのか。その一方で(3党合意にはないが)公明党が熱心に取り組んだ子育て世代臨時特例給付金はなぜ廃止したのか」とし、前日の年頭記者会見で設定した「若者、若者、若者の一年」という民主党のパラダイムを国会審議で具現化しました。

 TPP、軽減税率。次に日印原子力協定の妥結で安倍首相が言明した「核実験をした際の協力停止」が条約案に盛り込まれているのかどうか質しました。つづいて、地球温暖化にかかる、先月のCOP21パリ協定条約妥結について。この後、年末の10億円基金拠出による「従軍慰安婦問題の解決は率直に評価したい」としました。選挙制度改革では、佐々木調査会の「7増13減」について「不十分ながらも民主党の提案を大枠で一致している。私は党内をまとめますので、安倍さんの断固たる決意を示してほしい」と促しました。

 まとめとして、「経済成長は一人一人の幸福実現のための手段であって目的ではありません。仕事と子育てを両立させることも、充実した介護も一人一人の幸せに必要だから政治は責任を果たさねばならない。国が号令をかける一億総活躍ではなく、一人一人が尊重されるべきで、一人を見捨てる安倍政治が一億人を幸せにできるわけがない」と断じました。そして、「安倍政治の最大の被害者は若者です。今般の補正予算案はその典型です。18歳選挙権元年であることしは国民にとって希望が見える国会とすることを誓って代表質問とします」。

 安倍首相の答弁は「補正予算案は一億総活躍社会大綱とTPP対策大綱から必要性緊急性の高いものを盛り込んだ」としました。国債減額については「民主党政権ではできかなった2年連続の国債減額を成功させた」として、財政ファイナンスを正当化しました。給付金については「賃金上げの恩恵が及びにくいのが高齢者です」とし詭弁を弄しました。安倍首相は「軽減税率の財源は今後検討していく」としました。日印原子力協定条約の「文言は検討中だ」としました。パリ協定条約では「日本が示した高い削減目標は欧米からも高い評価を得た」と自画自賛しました。従軍慰安婦は「昨年末の日韓外相会談の発言とその直後の韓国大統領との電話会談での反省をおわびの表明だ」とし、「子や孫の世代におわびを繰り返させない。最終的かつ不可逆的に解決された」としました。

 この後、自民党の松本純さんが「政調会長代理の松本純でございます」とし、未入閣(官房副長官経験はあり)ながらも党の要職の立場から発言し、「地球儀を俯瞰する外交」「三本の矢を次に次に放ったアベノミクスの成果」「一億総活躍社会」「新三本の矢」「GDP600兆円」を唱えました。松本さんへの答弁で安倍首相は低年金高齢者への給付金の理由として、上述の理由に加えて、あろうことか小泉・安倍内閣の怠慢である「デフレ特例水準の解消」まで論拠としてあげました。これは許せないことです。甘利TPP相、森山農相も答弁しました。

 続いて、松野頼久さん。「(前年度の)剰余金とあわせて4兆円の補正だが、剰余金を歳出に回せる状況ではない」として、財政健全化に充てるべきだとして、同一会派の岡田さんと軌を一にしました。「農業農村整備費は農業土木で、(補正だけで)900億円だ」とし補助金の増額とあわせて「結局は土地改良事業と補助金だ」と自民党の補正による農業土木・補助金のバラマキを指弾しました。

 与党・公明党の古屋範子さんは核実験で「北朝鮮に抗議する」と語り、従軍慰安婦解決を「日韓新時代の幕開けだ」と評価しました。この後、軽減税率について公明党の与党内密室協議の手柄を語りました。これに対する安倍首相の答弁で「税制抜本改革法第7条のもとづく検討だ」としました。私は税制抜本改革法ではなく、平成24年社会保障と税の一体改革のための改正消費税法だと理解しています。

 共産党の穀田恵二さんはフランステロもきっかけに米国主導の有志国連合のシリア・イラク攻撃を批判。辺野古移転をめぐる沖縄県庁と政府の泥仕合を、沖縄戦の歴史をひもときながら批判しました。この後、選挙制度改革について「民意を鏡のように反映すべきで、衆議院小選挙区は廃止すべきだ」と語り、ここだけは民主党・維新の党と考えが違うように感じました。そして、穀田さんは「立憲主義を踏みにじり憲法破壊の暴走を繰り広げる安倍内閣での憲法改正は許されない」としめくくり、民維共が軌を一にして、2016年が始まりました。

 おおさか維新の会の馬場伸幸さんに対して安倍首相は「安保法制では当時の党内にいろいろな議論があったと推測されますが、対案提出のリーダーシップをとってくれた馬場議員には敬意を表したい」と語りました。

【同日 衆議院議院運営委員会】

 本会議の段取りなどを決めました。

【同日 参議院】

 きょうの審議はありませんでした。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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