【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎平成24年度第1次補正予算が1票差で成立、本予算審議で国会本格化へ

2013年02月26日 17時33分45秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

 アベノミクス3本の矢の2本目、大型補正が可決・成立しました。

 公共事業を中心に歳出を10兆円追加し、基礎年金の国庫負担部分で3党合意を反映した技術的修正を加えた、平成24年度第1次補正予算(一般会計、特別会計、政府関係機関)は、2013年2月26日(火)午後4時半過ぎの参議院本会議で、賛成117票、反対116票の1票差で可決し、成立しました。3本の矢の2本目が紙一重で通りました。

 本予算では否決させてやるわ!覚えてろ!自民党!

 このほか、改正株式会社企業再生支援機構法(183閣法1号)と、改正地方交付税法および改正特別会計法(183閣法2号)の補正予算関連2法も成立。政権交代後の法律成立はこれが初めて。

  参議院規則では、議長の判断ないしは、出席議員の5分の1以上の署名で記名投票表決(堂々巡り)をすることになっています。民主党の足立信也さんほか58名(合計59名)が記名投票表決をのぞんだため、堂々巡りとなりました。

 平田健二議長が名裁き。参議院本会議は、まず民主党・新緑風会の桜井充さん、みんなの党の中西健治さんら合計5名が提出した修正案を否決しました。この修正案は良くできていたと評価します。地域の元気臨時交付金を0・7兆円減らすなど、自治体が基金化して繰越明許することになる交付金を減額しました。これには、本会議で「飛ばし予算、AKB48もびっくりのフライングゲット予算だ」(みんなの党の山田太郎さん)という的確な批判がありました。委員会での民主党の桜井充さん(元財務副大臣)の提案理由説明では、「単に次年度に繰り越すための基金であり、財政の原則からすれば、来年度当初予算に計上すべきだ」としました。なお、「年金特例債を削除する」内容でしたが、これは昨年6月15日の3党合意に反するものではなく、野田佳彦さんの「明日の安心」の置き土産を必ずしも反故にするものではありません。1月の日本銀行と政府が「物価上昇目標2・0%」のアコードを結んだときに、同時に「対政府取引における非常時の一部貸し付けに関する特則」の変更があり、関東大震災のようなことがあったときに、日銀が財務省理財局の「国債整理基金特別会計」に緊急で貸し付けることができるようななったことから、これを取り崩すことになったのです。ですから、昨年6月15日の時点では不可能だったファイナンスが、年度途中でできることになったので、民主党とみんなの党が補正予算の修正案で活用しようとしたのだろうと思います。

 なお、参議院での、予算修正案は、2009年2月の、麻生定額給付金補正に対する福山哲郎さんら提出の修正案以来でしょう。ただ、今回は110対122で否決されました。福山修正も両院協議会では成案を見ていません。が、ナイストライです。

 参議院の審議では、補正予算書にもとづかない質疑が衆議院よりも多くて不満でした。その中で、日本維新の会の片山虎之助さん、中山恭子さんらが「今はもう2月末だから、15ヶ月予算でない」と指摘していてよかったです。衆議院では、みんなの党の柿沢未途さんが指摘していました。こういうことができない民主党の表現力のなさにはうんざりしています。はっきり言えば、田舎者なんだろうと感じます。

 こういったところをなんとか糾合していけないものか。

 その意味では、今回の補正審議でもっとも政治家らしさを見せたのは、シンドバッド石井こと、石井一・参議院予算委員長だったのではないでしょうか。たとえば、しめくくり質疑の直前にも、「それでは理事に白真勲を指名します」と後輩を呼び捨てで理事に指名しました。石井先生に呼び捨てされるとは名誉なことです。さらに、桜井充(みつる)政調会長は、「桜井みのる君ほか4名提出」と呼ばれていました。これは、民主党のまじめな人は分からないようですが、この場合、悪いのは一方的に桜井さんの方です。石井先生に「桜井みのる君」と名前を覚え切れてもらっていない、桜井さんの方が修行が足りないのです。司法試験崩れ、公務員崩れ、学者崩れが多い民主党には分からないでしょうが、政治の世界は「カラスは白い」と先輩が言えば、「カラスは白い」んです。すなわち理屈を突き詰めた先には、政治の答えはない。理屈を突き詰めたい人は、国会議員でなく、裁判官、官僚、教授になればいいんです。まあ、高学歴なのに、それらの職業に挫折したから、民主党の公募に手を出したんでしょうが、本来、そういう人の居場所は政界にはありません。やはり、無産階級者に代議士は荷が重かったのかなと感じます。もちろん、同情はしますが、あのふんぞり返り方は人間として恥じるべし。私は、引退という決断も応援したいところです。

 自由民主党という巨船から、イカダに乗って船を出たシンドバッド、石井ピン。経世会、改革フォーラム21、新生党、新進党、民主党と改革の道をずっと同じに歩んできた先生は、石井一先生と岡田克也先生の2人しかもういないのです。ピンさんにはいつまでもお元気で、改選後もお元気でやっていただかないと正直、私困ります。

 極限状態においても、まったくぶれなかった石井先生。そういえば、石井先生は、3年前の参院選で民主党が惨敗したときも、我が党両院議員総会で総理大臣を呼び捨てにしていました。

 「菅も悪い。枝野も悪い。小沢も悪い。石井も悪い」

 名前は忘れましたが、ある幹部が、麻生太郎首相の解散先送り兵糧攻めのときに、「来年になれば政党助成金が100億円入ってくる。それを担保にお金を借りれば、今年中に100億円の選挙資金が入るから、兵糧攻めでも我が党は戦える!」と雑誌のインタビューで言っていました。安心した兵隊も多かったようです。ちなみに政党助成法はその支出先として借金の返済に充てることを禁じています。ですから、何らかの幹部の個人名義の不動産でも使わない限り、その幹部が雑誌のインタビューで披露したファイナンスは不可能です。その幹部は、政治改革派だし、自治大臣経験者ですから、それが不可能なことを知っていたはずです。そうやって、不可能に思えた政権交代を実現したのです。世界中の少年少女のあこがれ、シンドバッド。私は、そのある幹部を尊敬しています。

 シンドバッドは、足腰が弱っても、心は次の航海をめざすもの。心が弱り、航海をやめた腰抜けシンドバッドは去るべきです。世界中の子どもたちのあこがれなんですから。1票差で、3本の矢の2本目を通す。これから、参議院予算審議から目が離せません。

 来週から本予算審議も始まる見通しで、第183回通常国会は巡航速度に入り、シンドバッドの20回目の航海も本格化してきます。


[写真]前列左から、石井一先生、奥田敬和先生、羽田孜代表、渡部恒三先生、左藤恵先生、後列左から、松尾官平先生、北澤俊美さん、永野茂門先生、田村秀昭先生、釘宮磐さん。

[お知らせ1 はじめ]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが交通費など諸経費がかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力ください。どうぞよろしくお願いします。

[お知らせ1 おわり]

[お知らせ2 はじめ]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますのでご協力下さい。

[お知らせ2 おわり]

[お知らせ3 はじめ]

 このブログは次のホームページを参考にして、記事を作成しています。
 最近の法律・条約(内閣法制局ホームページ)
 衆議院議案(衆議院ホームページ) 
 今国会情報(参議院ホームページ)
 
予算書・決算書データベース(財務省ホームページ)

 衆議院インターネット審議中継
 参議院インターネット審議中継

 国会会議録検索システム(国立国会図書館ホームページ)

 民主党ニュース(民主党ホームページ)
 goo ニュース

[お知らせ3 おわり]



最新の画像もっと見る

コメントを投稿