【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【2/7】今国会が初めて不正常に、北村誠吾公文書管理担当相が「項」と「号」を言い間違え一部野党が退席の後、休憩に。内閣官房不倫疑惑では男性補佐官は逃げ女性医官は堂々と答弁するが疑惑は深まる

2020年02月07日 15時17分17秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]内閣官房・内閣府(8号館)、東京都千代田区永田町。

 一部野党は、さきほど、令和2年2020年2月7日(金)の14時58分頃に、衆議院予算委員会を退席しました。

 共同会派の黒岩宇洋さんが、北村誠吾・公文書管理担当大臣に、桜を見る会の招待者名簿の管理に関して、公文書管理法の施行令のどこに書いてあるかを問いました。

 北村大臣は度重なる答弁で、数字などを取り違えました。その後は「失礼しました、さきほどの答弁では〜〜」と修正しながら改めて答弁するため、かえって延焼。事務方の話を聞き、質問者の質問を聞いていないことをたしなめられ、「条・項・号」のうち「項」と「号」を取り違えました。このため、渡辺周・筆頭理事が質問者に話しかけ、一度委員会を休憩し、答弁を整理するように要求。委員長が拒んだため、質問時間を流したまま、15時過ぎに退席しました。

 与党からは「事務方に聞けば済む質問だ」「政府参考人を呼ばないからこうなった」「意地悪だ」などの野次が飛びました。

 北村さんは、衆議院議員会館内の自室に赤絨毯を敷いています。国会議事堂内や霞が関大臣室フロアはいたるところに赤絨毯が敷かれていますが、議員会館内の自らの事務所内におそらく自費で赤絨毯を敷いているのは、北村さんだけと思われ、初入閣でそのユニークさが広く知られてきたようです。

 国会は来週、月曜午後に一般質疑、11日の建国記念日の後、2月12日(水)に集中審議、13日(木)に地方税法改正案の審議入り、14日(金)に地方公聴会を開くことが内定していました。

 黒岩さんの持ち時間の再配分や、テレビ入りで首相から「黒岩さんは人間としてどうかと思う」と言われたことをめぐって与野党での話し合いがなされるとみられます。

【再追記 17時】10日(月)の衆議院予算委員会を公報に載っていた開議時刻13時ではなく、10時に変更することで与野党が折り合った、との情報があります。やり方としては異例な対応です。【再追記終わり】

【追記 2020年2月7日16時30分】

 棚橋委員長は上述の経過の後、16時2分頃、休憩を宣言しました。今国会は19日目、3週目の金曜日午後になって初めて不正常となりました。16時半に早々と散会しました。正常化は週明けになります。

 共同会派は黒岩宇洋さんの後に、中堅の馬淵澄夫さんも質問する予定でした。そこまで時計を空回しして、共産党の穀田さんの質問時間の前で休憩したと思われます。

【衆議院予算委員会 令和2年2020年2月7日(金)】

 「令和2年度予算案」は7日目でそのうち一般質疑2日目。

 3本柱「桜」「IRカジノ」「中東」がやや不発気味ということもあってか、野党で最も長く国対委員長をつとめる穀田恵二さんがバッター表に。過去の例ですと、穀田さんは2月下旬に登場することが多く、ヤマ場をつくれないもどかしさがあるのかもしれません。

 自民党はきょうも3期生。笹川ファミリーですが、先代と微妙に違う選挙区で県議から衆議院になった笹川博義さんが登場。笹川さんは「県議をつとめたが、決議を国に送っても梨のつぶてだ」と再考を促し、「鳥獣駆除について聞きたい。猪は人間の気持ちを忖度せず猪には猪の事情がある」と地元の要望も語りました。

 立憲民主党の小選挙区当選1期生の早稲田夕季さんは質問通告後に起きた、地元選挙区内の「逗子市での女子高校生18歳の民有地崖での巻き込まれ事故。昨日現場に直行したが、同じ子を持つ母親として胸を締め付けられる思いだった」と語り、災害対策予算と結びつけて展開しました。

 今国会では、前総務事務次官の更迭は話題になりませんが、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長、和泉洋人首相補佐官と、医官である大坪寛子内閣官房兼厚生労働省審議官の不適切な関係など、キャリア官僚をめぐる異質な人事行政をただす場面がますます増えています。

 早稲田さんは「和泉洋人・首相補佐官を呼んだが出てこない」としてやむなく、大坪寛子審議官だけがあらわれ答弁しました。ちなみに、大坪審議官は昨日は厚労省の新型コロナウイルス国内状況の記者会見に出ていました。大坪審議官はまず、昨年8月の山中伸弥さんへの「恫喝」疑惑について「健康医療戦略室として和泉室長を室次長の私が行った。山中先生からは、研究費用の一部を法人化したい。基礎研究をする部分と法人化する部分に分けたい、との申し出があった。私がこういうことですか、とペーパーにまとめ、先生に確認した後のペーパーが今出回っているものだ。山中先生は法人に対しても国費を充当したい、とのことだった」という趣旨の答弁をしました。おそらく双方に大手製薬会社との思惑があったのではないでしょうか。山中先生を聖人君子だととらえるバイアスがありますが、国費でなくても研究費を全額負担したい製薬会社は何社もあるはずですから、政策課題として今後も重要と思われます。

 そして、世間の関心がさらに高まるかどうか分かりませんが、和泉室長と大坪室次長がインド出張時に、滞在したホテルの部屋が、つながっている「コネクティングルーム」だった点について。大坪さんは「それ以前に、和泉さんは首相官邸内で倒れて緊急搬送されたことから、医師免許を持つ臨床経験もある私と、秘書官が、補佐官をはさむかたちで滞在した」としました。早稲田さんは、3人が同じフロアで、他の同行者は別のフロアだったと指摘しました。外務省は「内閣官房から便宜供与要求書があったのは事実で、補佐官室の指示で部屋割りをした」と答弁。大坪さんは「平成30年度は、ミャンマー、インド、中国、フィリピンに出張した」とし「和泉補佐官には私が同行することもあったが、私の室の他の者が同行することもあった」と説明しました。早稲田さんは、インド出張時に、医師としての復命書があったかどうか、資料を提出するよう求めました。

 黒岩宇洋さんの質問に対して、橋本岳厚労副大臣は「答弁書にはない答弁をするが、新型コロナウイルスで、先生方からのお問い合わせへのレスポンスが通常より遅くなっているかもしれないが、ご配慮いただきたい」と官僚をフォロー。黒岩さんは、海上自衛隊1等海佐が女性向け無店舗型派遣風俗業とのからみで更迭されたことについて、河野太郎防衛相は「風俗業を10年程度手伝っていた」と認めました。黒岩さんが「手伝っていただけで、経営していたのかどうか」との問いには明確な答弁はありませんでした。

 安倍内閣は、数年以内に退陣しますが、霞が関のしらけムードを立て直すのは、かなり長い年月がかかります。

【衆議院財務金融委員会理事懇談会 同日】
 
 理事懇談会がありました。前日の本会議で審議した「税制改正法案」(201閣法3号)に加えて、「関税定率法改正案」(201閣法9号)「国際金融公社IFC加盟法及びIDA加盟法を改正し追加出資する法律案」(201閣法10号)の3つの予算関連法案の審議の順番などを話し合ったと思われます。

【参議院 同日】

 とくにありません。
 
【追記終わり】

 以上です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿