【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

後藤茂之氏、注目の罰則の見返りの補償について「事業者に対する支援を講ずるよう努める」との法文案を示すあり得ない対応、全くゼロ回答、きのうの政府与野党コロナ協議会

2021年01月14日 07時25分41秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]財務省内部、9年前の2012年8月、宮崎信行撮影。

 久々に怒りました。本格的な冬の到来とともに、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、国民が不安がっているいま。なるべく私も持ち味に安定感を示したいのですが。

 羽田孜・羽田雄一郎親子のご厚情を裏切り、後ろ足で砂をかけて自民党に寝返った後藤茂之衆議院議員(65歳、長野4区、東大法→大蔵省)。きのう(令和2年2020年1月13日水曜日)、昨年発足した政党間協議機構「新型コロナウイルス感染症政府・与野党連絡協議会」に出席。この中で、新型インフルエンザ特措法及び感染症法の10か月ぶりに再改正にあたって、野党が求めた「罰則と引き換えの損失や休業の補償」について、「特措法改正の方向性」とのペーパーを、泉健太・立憲民主党政調会長らメンバーに配りました。

 この中で、「事業者に対する支援を講ずるよう努める」との法文案を示しました。

 朝日、日経をはじめとする各紙が報じました。

 政府は、「特措法、感染症法、検疫法を各々改正する法律案」(204閣法  号)をまとめて、来週22日(金)の閣議をめざして決定したい意向のようです。朝日が報じました。18日(月)から国会が始まり、おそらく同日から予算審議に入ると思いますから、早期審議入りの与野党合意がある政治日程としては、内閣官房・厚労省・内閣法制局の調整が不眠不休で行われていると思います。

 立憲民主党と国民民主党は、罰則と引き換えの「休業に伴う損失の補償」を求めてきました。共産党は罰則なしの補償を求めてきました。召集前の前哨戦が異例の熱さを帯びていますが、枝野幸男代表は、売上高ないし粗利益の損失の一定割合の補償などを要求。知事らはきょねん4月以降「休業・時短の協力金」という言葉を使っています。首相は今月の記者会見では「給付金」と言いましたが、今週の日曜討論で「例えば売り上げの5割とか難しい」と語り、一定割合の補償・給付金に初めて言及しました。

 9月の組閣で、田村憲久さんが再入閣したため、協議会を離れました。後任は、同じく厚労族の自民党政調会長代理の後藤茂之さん。今思えば、財務省出身者を送り込む思惑が何らかの勢力にあったのかもしれません。4月以降の経緯からすると、罰則は野党の大部分も賛成するが、給付については温度差があり、自民党は知事などと同様に1事業者か1店舗ごとの月6万ないし8万円の一律の現金給付にとどまるとの争いでした。

 これがいきなり、きのう「事業者に対する支援を講ずるよう努める」。協議をしようという姿勢すら見えず、後藤さんはかなりの政局音痴です。たんに財務省が一円も払いたくないのでしょう。また第1次補正の持続化給付金のように経産省・中小企業庁などがアイディアを出しても、財務省主計局を通らなけらば一円も予算はつかない法律の立て付けになります。

 自分が頭が良いと思い込んでいる後藤氏に、同様の後輩官僚が追随した、もはや財務省による無知のクーデター。本省勤務者も菅内閣はどうせ秋までだから、おびえる必要ないですよ。

 日本の余力ならば、1年間で200兆円の新規の特例公債ないし建設公債は、借換債とは別に発行可能。国債償還の平均残存期間が例えば8年なら、8年間で1000兆円ほど発行できます。日本銀行の所有分は財務省理財局が利息は払わなかったり、財務省造幣局が500兆円玉1枚を発行して国債を買い取って償却したりすればいいのです。

 企業というものは、現預金がゼロになると倒産。逆に言えば、どんなに大赤字でも現預金があれば絶対に倒産しません。キャッシュ・イズ・キング。現預金さえあれば、従業員全員に全額給料を払い続けて自宅待機してもらい、ゴールデンウィークを過ぎれば、霧も晴れてきます。その後も2年経っても寒くなると余波がきますが、100年経てばスペイン風邪パンデミックの延長戦がA型インフルエンザウイルス感染症だと知らない人が過半数だという日常に戻れます。

 こんな簡単なことも理解できない、財務省情けない。 

 自民党も羽田・民主党を裏切った後藤さんを信用してはいけない。手を汚して初入閣をねらっているのでしょうが、菅義偉総裁が解散まで居座って、入閣させないようにするほうが、自民党のためでもあります。

 ま、落ちついてステイホーム。

 このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
インターネット版官報

Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki


最新の画像もっと見る

コメントを投稿