【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

高橋千秋さん「地球の人口が70億人になっても地球の大きさは変わらない」

2011年11月06日 09時41分33秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

【2011年11月1日(火)参院本会議】

 政治家のスケールが小さくなっていると感じます。
 日本人は、討論が下手であるのは間違いありません。しかし、1日の本会議では、高橋千秋さんが良識の府らしい大づかみな質問をしましたが、野田佳彦総理が明確な答弁をせず、自民党のおそらくF議員が揚げ足取りの野次を飛ばし続ける残念な出来事がありました。

 尾辻秀久・副議長が議事を進行し、まず、参議院自民党(中曽根弘文会長)の新しい幹事長になった溝手顕正さん(広島選挙区)が質問しました。

 次に高橋千秋さんが登場。
 ここで、F議員は「もう(与党)民主党の質問はいいよ!」と野次を飛ばしました。ちなみに、ニシヤンこと西田昌司さんの野次・合いの手は溝手質問では飛んでいたのですが、高橋さんのときは全くなかったので、席を外していたのではないでしょうか。

 高橋さんは野田総理に向けて「東日本大震災の復興に向けて、だいたいどのくらいのがかかるのか?」という大変大づかみながら、とても聞きたい質問をしました。

 このあと、高橋さんは次のような質問演説をしました。

 「国連によると、きのう、地球の人口は70億人になりました。2050年には95億人まで人口が増えると言われています。しかし、地球の大きさは変わりません。その一方、日本では人口が減り続けています」。

 そして、厚労省の審議会が年金支給年齢を68歳に引き上げるという動きを示したことについて、「若い人は投資をして年金保険料を払わなくなってしまう」と述べ、「人口減少や医療の問題、高齢者の増加により、健康保険財政も厳しくなる」としました。そして、日本経済の6重苦として①法人税の高さ②少子高齢化による消費減③人件費や電力料金の高さ④関税の高さ⑤円高⑥大震災ーーをあげて「私はJA出身で農業関係者の支持もいただいている。その一方で政権交代後には経産政務官や外務副大臣として外交政策にも携わった」としてTPPへの交渉参加について、揺れ動く心境を示しました。

 で、これに対する野田総理の答弁は、「被災地の復興を加速していきたい」として、「何年か」には答えませんでしたが、これが一つの答えかも知れません。そして、世論に驚きを与えた「68歳への引き上げは政府として決定したわけではない」としました。どうやら、昔からある、官僚が審議会を利用して世論誘導する常套手段だったようで、国民ももう騙されないようにしないといけません。高橋さんは2回の政務三役経験の中から、政務三役のトップにいる総理を官僚の呪縛から救い出してあげました。F議員の「民主党の質問はいいよ!」という野次に対して、答弁という結果で必要性を示しました。

【F議員の揚げ足取りのヒドイ野次】

 さて、高橋さんの質問に、F議員がどういう野次を飛ばし続けたか。参議院本会議場の一般傍聴席で取ったノートを読み返しても腹が立ってしまいますが、現在の参議院の姿としてご紹介します。

 高橋 国連によると、きのう地球の人口は70億人になりました。
 F そんな余計なことはいいよ。

 高橋 2050年には95億人まで人口が増えると言われています。
 F だからどうしたんだよ。

 高橋 日本では人口が減り続けています。
 F 何が言いたいんだよ!

 高橋 総理はホノルルでの12日・13日のAPECでは、TPPについてどう述べますか。
 F 個人的に聞けよ、同じ党なんだから。

 高橋 さて、日本人は表現が下手だと言われています。
 F あんたが下手なんだよ!

 以上です。もう本当に腹が立ちます。このF議員は日本医師会の会員です。医師会はJAとともに、TPP交渉参加に反対していますが、こういう揚げ足取りで議論をしていたら、困ります。子どもの頃は、お医者さんというのはばくぜんとアタマがいい人だと思っていましたが、最近は二世、三世も多いし、医学部も多いですからそうでもなくいようですね。


[画像]首相とともに伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝した高橋千秋さん。


[写真]三重1区選出で当選25回を数えた尾崎行雄・衆議院名誉議員の「尾崎咢堂記念館」(三重県伊勢市)を訪れた高橋千秋さん。

【与党の洗礼と友情】

 ところで、千秋さんはことし、外務副大臣として与党の洗礼を受けました。

 週刊誌で、銀座で「20代と思われる」女性と飲食をしていたと報じられました。この週刊誌を後追い報道した夕刊フジの見出しは「民主ドスケベ副大臣!職員キャバ嬢代わり」というヒドイもので、「民主党の高橋千秋外務副大臣(54)=参院三重選挙区=が、東日本大震災発生2日後の3月13日夜、公務前に東京・銀座で、外務省所管団体の20代の女性職員と飲酒をしていたことが分かった」としています。ところが、後で聞いてみたら、これヒドイ話で、まず、「20代の女性」となっていますが、実際には「39歳の女性」だと聞きました。それはある意味ステキですが、「外務省所管団体の職員」というのは、タイヘン向上心の強いすばらしい方のようですが、期限付き採用ということで、そろそろその期限が満了するので、就職の相談に乗ってほしいということで話をしたようです。政治家は疑われるようなことをしてはいけませんが、就職の相談となると、第三者の立ち会いは難しいです。自民党の政治家なら、私設秘書に東京で私有しているクルマを止めさせた後、カウンター席で時間を潰さればいいのでしょうが、民主党ではそこまでお金はありません。

 岡田克也さんは報道直後の6月16日の記者会見では「友人として言うとすれば、「もう少し慎重に」とアドバイスしたいと思います。」としました。

 しかし、8月4日の記者会見で、小沢グループの筒井信隆・農水副大臣の週刊誌報道について、フリーランスの安積明子(あずみ・あきこ)記者から聞かれた際には「週刊誌に載ったからそれが事実であるかのような、そういう前提のご質問 にはお答えできません。高橋副大臣からは、私も直接説明を聞きましたが、かなり事実誤認が記事の中にはあるということでした。筒井副大臣とは私、お話ししておりません。確かに手をつないでいる写真が写っておりましたので、その範囲においては何かあったのかなという感じはしますが、中身は承知しておりませんので、特にコメントすることはありません」とのことでした。岡田さんと高橋さんの強い絆を感じさせた場面でした。

 一方、前原誠司外相の辞任に伴い、松本剛明副大臣が外相に昇格し、後任の副大臣に高橋千秋さんが入った際には、私(宮崎信行)は次のような質問を3月10日にしています。「徳永久志外務政務官がニュージーランド・クライストチャーチの(震災の)現地に行かれた。今、(現地の駐在者は)山花郁夫外務政務官にかわられているが、そこでは野党時代には経験したことのない大変な経験をされていると思う。外務省では松本剛明外務大臣、(その後任の)副大臣には経産政務官の経験がある高橋千秋さんが起用された。政府外議員の中で、与党でありながら責任ある振る舞いをしていないような人も中にはいるのではないかと思うが、政務三役の人事で今回政務官経験のある人が起用されたということで、与党になって政務三役と政府外議員のあり方、あらためて今どういうふうにお感じになるか」との質問。

 これに対して、岡田さんは「ちょっと質問の趣旨がよくわからないのですが、いずれにしろ副大臣人事は総理がお決めになることですので、総理は松本新大臣はじめ関係者と協議されて人選されたと理解しております」と語っています。

 私は「政府外議員に与党としての責任ある振るまいが足りないから、政務三役経験者が補充人事で起用されることになるのではないか?」と質問したつもりですが、岡田さんは「高橋千秋・外務副大臣」の人事は、菅直人総理が松本新外相と話して人選した、と強調しました。こういうのは、ニコニコ動画だと、質問者の小生に対して、「なんの質問だ?」「宮崎は出入り禁止だ」などとコメントが書き込まれてしまうのですが、聞いて良かったと思うし、岡田さんと高橋さんの友情は素晴らしいと考えます。


 ちょっと訳の分からないことを書いてしまいましたので、最後に一つエピソードを。先日、三重県で政治家をしている人と、東京の会社で働いている三重出身の人、ともに北勢・四日市の2人に賛同を得た話。私は、三重の人はのんびりと大づかみなところがある。それはなぜかと考えた。伊勢湾の海の幸がある。そして紀伊山地の山の幸がある。そして、がつがつやりたければ、名古屋に出てもいいけど、名古屋からの商業流通や文化のつながりがある。そして、港であり、商都であり、工業都市である。世界に名だたる工場に勤めれば、一定の時間、一定の場所で、一定のルールで仕事をすれば、夕方には生活するには十分な報酬とともに、アフターファイブもエンジョイできる。だから、ある程度、のんびりしても大丈夫。そして、山を越えれば伊勢神宮もある(これがイチバン大きいかも知れませんが)ということで、人生エンジョイできる。もう少し、伊勢湾と紀伊山地の勾配がゆるやかな方がいいけど、それは自然だからしかたがないので、台風が来ると大変なので、政治家はちゃんとしたのを選ばなければならない。だから三重の人はのんびりしているーーと話すと、賛同を得ました。もちろん、人は皆同じではありませんから、個人差はあるでしょう。あくまでも私見です。怒らないでください。

 だから、千秋さんの「復興は何年かかる?」「地球の人口は70億人になったが、地球の大きさは変わらない」と、演壇でしゃべれるのは、憲政の神様・尾崎行雄が、東京市長時代(衆院議員兼務)に、債務で首が回らない国の代わりにポトマック川に送った桜が今でも咲いていることに相通じる感があります。このポトマック川の桜ですが、最初に送ったときは、西海岸で検疫に引っかかって、焼却処分され、その旨を通知してきて、尾崎行雄はその姿勢に感心したそうです。今のは二度目に送ったものです。岡田さんや高橋さんも、何度か失敗しているような気もしますが、桜の花が咲くときがまた来るかもしれません。岡田さんがあまりにのんびり屋さんなので、年齢と選挙区の関係で、そろそろついていけなくなる人もでるでしょうが、気にする必要はありません。国は生き続けます。臥薪嘗胆、今は辛抱と勉強と足腰固めの時期です。

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